家族の愛情が深まる「住まい方」って? 価値観とテクノロジーが変える、これからの暮らし

家族の愛情が深まる「住まい方」って? 価値観とテクノロジーが変える、これからの暮らし

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ここ数年、ネット環境の充実でフレキシブルな働き方が可能になったことや、各地で起こる震災を受け、「移住」「多拠点生活」といったキーワードを耳にする回数がぐっと増えてきました。

家とライフスタイルは密接な関係。どんな家に住むかということは、どんなふうに暮らすかと同じだと言えるかもしれません。でも、子育て世帯にとっては、通勤や通学、はたまた経済的な条件を考え始めると、そう簡単に家や環境を変えられるものではないですよね。

今回、お話をしてもらうのは、いずれも「家」をテーマに事業を展開するYADOKARIのさわだいっせいさんとウエスギセイタさん、そしてCoLifeの池内順平さんです。一児のパパであることと、これからの「住まい方」を考え実践しているという共通点を持つ三名の視点から生まれる、リアルな住まい論に迫ります。

取材・文:梶山ひろみ 撮影:大畑陽子
プロフィール

さわだいっせい / ウエスギセイタ (YADOKARI)
YADOKARI株式会社 代表取締役。2012年「YADOKARI」始動。世界中の小さな家やミニマルライフ事例を紹介する「未来住まい方会議」を運営。250万円の移動式スモールハウス「INSPIRATION」や小屋型スモールハウス「THE SKELETON HUT」を発表。全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」、空き部屋の再活用シェアドミトリー「点と線」、新たな働き方を提案する「未来働き方会議」などを運営。また名建築の保全・再生の一環で黒川紀章設計「中銀カプセルタワー」をシェアオフィスとしても運営。著書に『アイム・ミニマリスト(三栄書房)』『未来住まい方会議(三輪舎)』『月極本(YADOKARI)』がある。
http://yadokari.net/


池内順平
株式会社CoLife(コーライフ)代表取締役社長。人とテクノロジーの融合により、家の中で発生するくらしの不便の解消や快適性の向上に貢献していく「iecon(イエコン)」を運営。慶應大学SFC研究所とインテリジェントホームに関する産学連携の共同プロジェクトを推進中。早稲田大学、在学中にカーシェアリングの実用化に向けた日本初の実証実験を国土交通省の補助金を得て実施。大手不動産デベロッパー入社後、新会社設立や、新規事業として10万世帯を超える居住者会員組織を構築。
http://colife.co.jp/
「震災のときに『これから価値観が変わるんだろうな』と感じて、『未来の住まい方』を考えるようになった」(さわだ)
—YADOKARI、CoLifeともに「家」というテーマで事業を行われていますが、「家」を仕事にしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

さわだ:YADOKARIを始めたのは、2011年に起きた東日本大震災が大きなきっかけです。当時、フリーランスのデザイナーだったのですが、夜中まで働いて、家族と過ごせる時間がものすごく少ない生活をしていました。でも、震災であの状況を前にして、「これから価値観が変わるんだろうな」と感じたし、自分にとっての幸せについて考えてみることにしたんです。ウエスギも悶々としてたよね。

ウエスギ:ぼくはウェブ制作会社の役員をしていたのですが、余震が続いているなか、いつも通りに出勤するという状況に違和感を覚えました。当時のぼくは、お金のために働いて、いい家に住み、モノをたくさん所有したいっていう典型的なステータス主義。でも、震災を機に、物質的には豊かなのにどうしても満たされなくなって、さわだに相談していましたね。

左からさわだいっせいさん(YADOKARI)、ウエスギセイタさん(YADOKARI)
「『暮らし』の分野は、まだまだ遅れている」(池内)
池内:ぼくにとっても、やっぱり震災は大きかったです。2015年にCoLifeを始めるまで、大手不動産会社で都心にマンションを建てる仕事をしていたのですが、震災のときに、ある野菜の宅配業者の方からこんな話を聞いて。「高層マンションのエレベーターが止まったとき、買い物に行けない高齢者の方のために42階まで階段を上り下りしてライフラインをつないでいたのは私たちですよ」って。

—家を作っても、その先の暮らしは別の人たちが支えていたことがわかったと。

池内:そうなんです。それまではせっせと箱を作って終わり、という仕事をしていたけれど、その後の「暮らし」にまつわるサービスがすごく重要だと気づいて。たとえば、自動車業界はメンテナンスが洗練されていますよね。モニターを見ればガソリンの残量を教えてくれるし、車検という制度もある。「暮らし」の分野は、まだまだ遅れているんですよね。

池内順平さん
「暮らしのメンテナンス」で、パパはもっと、家族のヒーローになれる
—みなさん、震災という出来事が転機になっていたんですね。池内さんはCoLifeで、まさに課題に感じていた「暮らしのメンテナンス」の分野に取り組まれていると。

池内:はい。CoLifeでは、IoT(Internet Of Things=モノのインターネット。家電やドアなどをネットに接続すること)技術などを活用して家のメンテナンスを自動化し、快適な空気環境のサポートや電力供給を行うサービスに取り組んでいます。ぼくは「家族のヒーローになりたい」という想いが強いので、家で起こる不便はどんどん解消していきたいんです。毎日掃除機をかけるのが大変だからルンバが、皿を洗うのが大変だから食洗機が生まれたように、テクノロジーは時間のゆとりを生むことにつながると思っています。

さわだ:ぼくたちも、時間のゆとりを生むためにはどうしたらいいか? を考えるようになって。住宅コストを減らすことができれば、趣味や家族にもっと時間やお金を使えるんじゃないかと思うようになったんです。それで、何も建築のことがわからない素人の目線で、「家ってどうして高いんだろう」「耐震や断熱はどこまで必要なのか」「ビニールハウスを家にしたらどうだろう」とか考え始めたんですよね。

ウエスギ:世界中を調べてみると、北欧には「夏の家」と呼ばれる、夏の間だけ過ごす別宅があったり、ロシアには菜園付きのセカンドハウス「ダーチャ」があったりと、海外の先進国には小さな暮らしをクリエイティブにやっている人たちがたくさんいることがわかってきたんですね。まずはそういった事例を紹介しようと、「未来住まい方会議」というウェブメディアを立ち上げたのが始まりです。

さわだ:いまは、自分たちで企画・開発したスモールハウスの販売や、場所・時間・お金に縛られない考え方を提案するリトルプレスも制作しています。

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