「男の子のプロ」が教えるママが知りたい育児① なぜ男子はいつも見えない敵と闘っているのか?

「男の子のプロ」が教えるママが知りたい育児① なぜ男子はいつも見えない敵と闘っているのか?

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いま、「男の子育児」関連の本に注目が集まっています。その理由は、男の子の気持ちや行動が理解できずに、悩んで葛藤しているママがたくさんいるから。でも、「男を生きていない」ママが、男の子を理解できないのは当然のこと! そこで、元保育士で自身も3人の息子を育てたという、ファザーリング・ジャパン顧問の小﨑恭弘さんに、「男の子の育て方(全4回)」について連載していただきます。

第1回は、理解不能な男の子の行動パターンを分析。さらに異性であるママは「男の子にとって一番遠い存在」と話す小﨑さんに、その理由を聞いてみました。まずは「息子のすべてを理解したい」「全部わかっている」、そんな気持ちから卒業しませんか?


撮影:大畑陽子
男兄弟の家庭に産まれ、息子3人を育てた元保育士が教えます!
私は男三人兄弟の家庭に産まれ、さらにわが子も男の子ばかり3人を育ててきました。育児休暇を取得しながら、妻と二人で育てた息子たちは現在、大学3年生、高校3年生、中学3年生で、絶賛思春期です。仕事では、保育士として施設や保育所に12年間勤め、多くの保護者と共に語りあい悩みながら、子育てのお手伝いを精一杯してきました。

それらの経験を生かして、現在は保育士や幼稚園教諭、そして小中学校の先生の養成に携わっています。またNPO法人ファザーリング・ジャパンの顧問として、日本の父親支援の活動や研究も行っています。

2014年の著書『男の子の本当に響く叱り方・ほめ方』は、ありがたいことに大好評で累計販売が8万7千部になりました。情報化社会によって子育ての方法が多様化し、いったい何が正しいのかわからないと、頭を悩ませているママパパたちは多いようです。また子どもや子育てに対する、社会の厳しい眼差しも増えてきています。

そんな悩みの解決策として、さまざまな子育て本が注目を浴びるなか、特にママたちに人気なのが「男の子本」です。その最大の理由は「ママは男の子のことがわからない!」ということから起きる不安。わが息子を理解したいという思いが、「男の子本ブーム」を生み出しているのだと思います。
わからなくて当然! 「男の子とお母さんは一番遠い存在」なんですよ。
男の子を育てる大前提として、覚悟を持って知ってほしいことがあります。それは「男の子とお母さんは一番遠い存在」ということです。

お母さんは息子のことが大好き! そして息子もお母さんのことが大好きです。「大きくなったら、ママと結婚する!」、こんなかわいいことを言ってくれることもありますよね。わが子をとても愛おしく感じる瞬間でもあります。

もちろん相思相愛なのは良いのですが、あまりに息子のことが好きすぎて、すべて理解したくなったり、全部を支配しようとするママがいます。母性の強さゆえ、つい「この子は私のもの!」という感覚になってしまいがちですが、これは危ないです。

お母さんと息子は、男女としての性別も、親と子という立場も、もちろん人格も違います。「親子だからわかり合える」「私がお腹を痛めて産んだ子どもだから大丈夫」と思いたい気持ちから、なんでもわかっているという考えで子育てを始めてしまうと、理解できないことだらけで、不安になったり、戸惑ったりしてしまいます。

そうではなく「わからない存在」「理解できないかもしれない」ということを子育てのスタートラインにしてみましよう。すると息子たちの見方や捉え方が変わり、素敵な子育ての第一歩になりますよ。
謎だらけな男の子の行動。じつは「パターン化」していた!?
「男の子」に対する疑問が少しでも解ければ、自分の息子たちのこともよくわかるようになるはず。それでは具体的に、ママたちが男の子に対して、どうしても理解に苦しみ、不思議に思う特徴・行動パターンをいつくか挙げてみましょう。

・棒が落ちていたら必ず拾う
・いつも何か見えない敵と戦っている
・ひたすら汽車とブロックを並べる
・なんでもかんでも「アピール」が過ぎる
・少しでもじっとしていられない


「あるある」とうなずいているママパパも多いのではないでしょうか。では、なぜこのような行動をとってしまうのか? 私の経験談や、男の子の性質から、この行動パターンを分析してみましょう。
・棒が落ちていたら必ず拾う
ママたちに一番聞かれるのが、「どうして息子は棒を拾うのですか?」「何か拾わないといけないルールでもあるのですか?」。……そう、男の子たちは棒を拾わずに生きていけない生き物なのです(笑)。それはもう本能の域。ヒーローの真似ごとで武器を拾う子もいれば、自分の背丈よりも高い棒を拾いたがる子もいます。つまり自分を強く、大きく見せるための健気な努力なので、危険のない範囲で、生暖かく見守ってあげてください。
・いつも何か見えない敵と戦っている
突然、ファイティングポーズをつくり、そして壁によじのぼり、飛び降りる。また意味もなく、床を転げ回り、口や手からミサイルを出そうと一生懸命。このとき、空想の世界で男の子はヒーローとなり、敵と戦っているのです。これは、女の子がお姫様ごっこするのと同じだと思ってください。時々、一緒になって戦ったり、やられたりしてみてください。本気で喜びますから。ママのこと大好きになりますよ。
・ひたすら汽車とブロックを並べる
なんでも並べます。きれいに並べます。しかも、自分なりの思いやルールに沿って並べているので、間違ったり、曲がっていることは許されません。自分だけの美学とルールがあり、こだわりが強いのが男の子の特徴。彼らのこだわりを尊重し、「孤高の生き方! かっこいい!」と理解してあげるのも一つの方法です。
・なんでもかんでも「アピール」が過ぎる
少し褒めてもらったり、また自分に自信があることは、何度もしつこくやります。見せつけてきます。その理由は単純で、褒められ認められることが嬉しいのです。男の子は、周りから自分がどう見られているのかをとても気にしています。それに合わせてプライドも高いですし、そこをくすぐられることは本当に大好き。ただ、その加減がわからないから、過度なアピールになってしまうのです。
・少しもじっとしていられない
男の子は衝動性が高く、そして身体性が高いもの。だからじっとなんかできません。言葉で自分の思いを表現したりコミュニケーションをとるのが得意な女の子は多いですが、男の子は言葉で説明するのがちょっと苦手。そのぶん、体をめいっぱい使って表現しています。それが落ち着きなく見えたり、荒っぽく見えたりするのかもしれません。彼らなりの表現だと受け止めてみましょう。
「息子がわからない」は、ママの視野や世界を広げてくれる!
他にも男の子ならではの特徴はいっぱいあります。でも100人いれば100人の個性があるのと同じで、これらが当てはまる子もいれば、そうでない子もいる。男女差で言えば、社会的な期待や求められる理想像などの違いもあります。

お母さんは、女性として生まれ育ってきました。だから女の子に関しては、自分の経験や育った過程を振り返るなかで、思いを理解したり、共感することができます。逆に「男を生きていない」ママは、男の子をさっぱり理解できないのは当然です。わが家でも、妻が息子に怒っている様子を見ながら、「男の子にそれを言っても無駄なのになあ」と思うこともありました。

でもだからこそ、お母さんの世界から大きくはみだす相手(息子)とのつき合いは、自分の視野や世界を広げてくれるはず。「わからないからこそ、ワクワクドキドキできる」ことを、男の子を育てる醍醐味として、向き合ってみるのはいかがでしょうか。
プロフィール

小﨑恭弘(こざき やすひろ)
1968年兵庫県生まれ。大阪教育大学教育学部 准教授。元保育士。兵庫県西宮市公立保育所初の男性保育士として12年間、保育に携わる。男性保育士では珍しく乳児も担任。父親も男三人兄弟で、自身も三兄弟の長男として育ち、わが子も男の子三人という、男系家族という環境から「男の子のプロ」として、NHK Eテレ『すくすく子育て』ほか、テレビや新聞、雑誌などで活躍。著者に『男の子の本当に響く叱り方ほめ方』『思春期男子の育て方』(以上、すばる舎)、『うちの息子ってヘンですか?』(SBクリエイティブ)などがある。

『うちの息子ってヘンですか?』

1,404
著者:小﨑恭弘
出版社:SBクリエイティブ

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