難関校合格者の約4割が読者。『朝日小学生新聞』が子どもに伝えたいこと

難関校合格者の約4割が読者。『朝日小学生新聞』が子どもに伝えたいこと

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若い人ほど新聞離れが進んでいると伝えられるなか、難関中学合格者の約4割が購読していると言われる、小学生に向けた新聞があるのをご存知だろうか? 創刊から50年近い歴史を重ねる『朝日小学生新聞』は、11万部という発行部数を誇り、通常の新聞と同じように毎日発行されている。

そんな「小学生新聞」の世界では、いまどんなニーズがあり、どんなことが行なわれているのだろうか? インターネット、スマホ時代において、子どもの頃から新聞を読ませるメリットとは? 『朝日小学生新聞』『朝日中高生新聞』の編集長を務めた佐藤善一さんにうかがったところ、率直にお話をしてくれた。


取材・文:佐々木鋼平(CHIENOWA)
プロフィール

佐藤善一(さとう よしかず)
1967年横浜生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、1993年に朝日新聞社入社。姫路支局、大阪支局整理部、横浜総局、東京社会部などを経て、2014年6月から2016年8月まで『朝日小学生新聞』『朝日中高生新聞』編集長。高校1年生、中学1年生の子を持つ父親。
http://www.asagaku.com/
誤解してほしくないのは、新聞は教科書ではないということ。知らない世界に触れるきっかけであることが大切。
—若者の新聞離れが顕著だと言われる今日この頃ですが、『朝日小学生新聞』の編集長として、子どもの頃から新聞に触れることのメリットについてどうお考えでしょうか?

佐藤:自分が知らないもの、答えがわからないものに触れる機会は大切だと、この仕事を通して私自身が痛感しています。ただ、誤解してほしくないのは、新聞は教科書ではないということです。言葉の意味や読み方を知ることは大切ですが、記事を通して知らない世界に触れながら、その大きさ、深さを感じ、なんだろう? と考えること。自分はこう思う、自分ならこうすると考えることが大切なんです。

『朝日小学生新聞』紙面
—麻布、雙葉、駒場東邦といった難関中学合格者の約4割が『朝日小学生新聞』読者という調査結果を公表されていましたよね。子どもを持つ親としても衝撃的だったのですが、あの結果についてはどのように感じられましたか?

佐藤:日々、新しいニュースに触れながら、読んで考える習慣を身につけることで、結果的に学力アップにもつながったのではないでしょうか。毎日の生活習慣のなかで、世の中の動きを知る手段というのはあるようでないものです。そういう意味で、毎日規則正しく届き、それぞれのペースで読むことのできる新聞は、可能性のあるメディアだと思うんです。読んでくれている受験生は、忙しいなかでも時間をうまく使って、生活習慣のなかに新聞を取り入れているのかもしれませんね。
大人以上にシビアな子どもの読者に、どうすれば新聞を手に取って読んでもらえるか?
—とはいえ、スマホは持ち運びも便利ですし、インターネットを通じて世界中の情報にアクセスすることができます。こういったデジタルメディア隆盛のいま、紙メディアで購読する意味とはなんでしょうか?

佐藤:情報は早くて量が多ければいい、というものではありません。インターネットで検索すれば、無数の情報が瞬時に手に入りますが、情報といっても玉石混合ですよね。そもそも憶測ではなく事実なのか、信用できるものなのか、しっかり見極めないといけません。情報は仕分けし、価値判断し、整理して組み合わせることで、初めて価値が生まれます。新聞記事はそういった編集作業を経て作られるものなので、同じ「情報」でも、似て非なるものだと言えるかもしれません。

『朝日小学生新聞』紙面
—膨大な情報から取捨選別し、記事として読者に届ける際、「編集」は重要なキーワードになると思います。小学生向けの新聞を日々作られるなかで、「パッと見はわからないけれど、じつはココにこだわっている!」というポイントはありますか?

佐藤:大人以上に「読むこと」に慣れていない子どもたちに、新聞を手に取ってもらうにはどうすればいいのか? を常に考えていますね。難しい言葉、出来事をかみ砕いて説明するだけでなく、1面の写真やイラスト、図表、見出しの文言や色、目次にも写真を使うなど、かなり細かい部分まで一つひとつこだわって編集しています。

—ある意味、普通の新聞を編集するより大変な部分もあるのではないかと思います。一番苦労される点はどんなところでしょうか?

佐藤:大人の場合、社会的な意義やニーズ、仕事などの動機に迫られて新聞を読むことがありますが、子どもは面白くないもの、興味がわかないものは、大人以上に読んでくれません(笑)。そういう意味で、ずっとシビアな読者なんです。また、親からすれば、子どもが読んでいないもの、興味を持っていないものにお金は使いたくないと思う気持ちもよくわかります。そんなシビアな読者にどうしたら手に取って読んでもらえるか、ページをめくってもらえるか、これは私たちにとって永遠のテーマですね。編集部員だけでなく、会社全体で知恵をしぼっています。

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