日本女子経営大学院から学ぶ、「育休中をイノベーションタイム」にする方法

日本女子経営大学院から学ぶ、「育休中をイノベーションタイム」にする方法

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長年に渡り「人」と「組織」に着目したコンサルティング業に携わったのち、現在は日本女子経営大学院の代表理事を務める河北隆子さん。自らも経営者としての経験を持つ河北さんは、今の時代こそ女性ビジネスリーダーが必要だと言います。

女性活躍推進法の成立によって、女性を取り巻く職場環境に大きな変革が起きている一方で、子育てとの両立を目指すママたちにとっては産休や育休、復職後の短時間勤務などがキャリアの妨げになることも否定できません。クレディセゾンの黒田は育休中に日本女子経営大学院に入学し、子育てをしながら6か月間(隔週土曜日)通学し、卒業しました。受講した「リーダーシップ総合養成コース」は、次世代リーダーに必要なビジネスやマネジメントの基礎スキルを習得し、リーダーとしての視野、観点、思考力を広げることができる総合コースです。そこで経験したことは、「復職後の働き方に大きな影響を与えた」と言います。今回の特集は、河北さんの考える女性リーダーの在り方をうかがうと同時に、理想的な産休・育休中の過ごし方、復職後の働き方についてお伝えします。

取材・文:片貝久美子 撮影:豊島望
プロフィール

河北隆子(かわきた たかこ)
日本女子経営大学院 代表理事 学長。1960年、東京都生まれ。コクヨ(株)管理部、マンパワージャパン(株)マーケティングサービス事業部を経て、コンサルタントとして独立し、トヨタ自動車(株)販売チャンネル変革のブランド浸透・教育プログラム開発展開パートナーとして6年従事。人と組織のイノベーション、リーダーシップ開発、定着化を得意とするイノベーションアソシエイツ社を2003年創業。その後、女性リーダーを養成するビジネススクール・日本女子経営大学院を2014年9月に設立し、翌年1月に開学、現在に至る。生涯学習開発財団認定コーチ、日本アクションラーニング協会認定シニアアクションラーニングコーチ、ジョージワシントン大学大学院コース修了、文部科学省学校力向上教材開発検討委員。子育て、企業、介護を経験。ビジネスや社会問題など、垣根を超えて活躍する「イノベーションを創出するリーダー育成」に新たなに意欲を燃やしている。
http://wis-japan.org/
(※入学申込み受付中)

黒田真由美(くろだ まゆみ)
クレディセゾン広報室に所属。現在は短時間勤務で働いている。1歳の男の子のママ。
いくら女性活躍が推進されても、現場にダイバーシティ思考がなければ何も起こらないんです。(河北)
―河北さんは2014年に日本女子経営大学院を設立されましたが、学院の理念である女性ビジネスリーダーの重要性にご自身が気づいたきっかけは何だったのでしょうか。

河北:大学卒業後、一般企業に就職した新入社員のときに、会社をより良くしようという思いで改善提案書を提出したのですが、上司から「女の子はそこまでしなくていいんだよ」と言われまして……。当時はまだ男女雇用機会均等法もない時代で、新入社員だった私は「えっ、そうなの!?」と、カルチャーショックを受けました。そこから、仕事とはどういうものなのか、自分はどう生きて、どう働きたいのかという自分自身への問い掛けが始まりました。

―ご自身のそうした経験が、のちの、自己キャリアや会社設立へと繋がっていくんですね。

河北:そうです。弊社では男女関係なく、「人」と「組織」のコンサルティング事業に重点を置いていたので、設立当初の対象者は男性管理職がほとんどでした。後々になってようやく女性の管理職の方も出てくるんですけど、それでもやはり女性がリーダーとして受け入れられる環境はまだまだ整っていなかったんですね。そういう中、いろいろな企業に出向く過程で才能のある女性がたくさんいることを知り、彼女たちを活かせないのは組織にとっても、その人自身にとっても、とてももったいないことだと思いました。

―女性活躍推進に注目が集まって以降も状況は変わらないものですか?

河北:劇的に変わったとは言えないと思います。ただこの問題は、これまでの組織環境に私たちが慣れてしまっていることも大きな要因です。私が実際に体験した例を挙げると、とある会社の会議で男性ばかりが意見を言い、女性は一言も発言しないという状況がありました。女性たちに話を聞くと、「アイデアがあってもあの場では言えない」と。女性が一歩引いて意見を言わないことが無意識のうちにスタンダードになっていることに、男女とも疑問を抱いていない状況は非常に危険だと思いました。本来は性別を問わず、違いや多様性を活かして議論し合う化学反応により、イノベーションが起きるわけじゃないですか。女性が管理職に登用されても、会議や現場にダイバーシティ思考が入らなければ何も起こらないことを痛感したんです。ただ、こうして女性活躍推進の動きが高まってきた今こそ、女性をリーダーとしてきちんと育成すべきだという想いで、日本女子経営大学院を設立しました。

—大学院ではどのようなことが学べるのでしょうか?

河北:私たちが考える女性リーダー像は、「女性が自らの可能性を広げ、社会や組織に貢献することに成功し、影響力を持つこと」そして「自分らしく豊かな人生に価値をおくこと」。この2つを両立させた、輝く次世代リーダーを育成することが目的です。自ら考え行動する主体性や、本質的なパラダイムシフトを生み出す力、女性の能力を活かした経営戦略などを学ぶことができます。あとは受講生の生活環境や目標に合わせ、幅広いコースを用意しているのも特徴ですね。

―女性のリーダーシップを育成する場は、これからの社会に必要なものとなりそうですね。黒田さんが勤めるクレディセゾンは、現在社員の約8割が女性という環境ですが、女性登用に関する社内の雰囲気はいかがですか?

黒田:弊社の場合は、女性が発言できないという雰囲気はまったくありません。ただ、研修などで男女が集まる際は、リーダーは男性になることが多いと思います。それはもしかすると、自然と男性に押しつけていたのかもしれません。「ここは(男性が)頑張ってよ!」というムードがあるというか。そういうことが何年も続いていくことで、男性側はきっと「ここは自分がやるところだ」とか、逆に女性側も「ここは引くところだ」という暗黙の了解みたいなものができてしまっていたのではないかと思います。

左から黒田真由美(クレディセゾン)、河北隆子さん(日本女子経営大学院)
河北:男性はもともとリーダーたれと言われて育っていて、女性はどこかでサポーターたれで育っている。それが普通であり、美学だとされているところがややありますよね。なので、女性のリーダーシップは未だ多くの企業で育ちにくいのが現状です。もちろんすべての企業ではないんですが……。ちょっとしたこと、例えば重いものは男性が持ってくれる、前に進むのは男性がやってくれる、だから一歩引いて女性はサポート側に回る。そうすると男性に好感を持たれるため、その期待に無意識に応えて行動してしまう。あるいは、それに甘えてしまう図式が日本にはあります。当学院の生徒さんを女性限定にしている意味も実はそこにあって、女性だけが集まると相手や場に合わせるのでなく、自分でやるしかないと積極的に行動選択をし、誰に遠慮することなく、自分のために学ぶという形に自然となるんですよね。そうすることで、女性のリーダーシップを効果的に刺激する狙いがあります。

―女性のリーダーシップは女性の中で発揮されるということでしょうか?

河北:いえ、あくまでも女性のリーダーシップを呼び覚ますきっかけとして、一定期間、女性限定にしておくという意味です。こうした場に男性がいるとすぐに「男女差」の話になりがちなのですが、男性がいないと、それは「個人差」になるんですよ。そこで初めて、ダイバーシティというものを実感します。男女差ではなく多様性とはどういうことで、お互いの強みや弱みをどうやって補完し合うとうまくいくのか。その実感値を持つのがとても大切なんですよね。

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