大きな心理的影響を残す夜尿症。診療ガイドラインが改定

大きな心理的影響を残す夜尿症。診療ガイドラインが改定

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月1回以上の夜尿が3か月以上続く場合を夜尿症と定義

自治医科大学小児泌尿器科教授の中井秀郎先生

 5歳以上になっても、いわゆる「おねしょ」が頻発する場合、「夜尿症」の可能性があります。日本夜尿症学会は今年、12年ぶりに「夜尿症診療ガイドライン」を改定。夜尿症は“放っておく病気”から“治す病気”へと変わりつつあります。フェリング・ファーマ株式会社と協和発酵キリン株式会社は7月20日に都内で夜尿症に関するメディアセミナーを開き、自治医科大学小児泌尿器科教授の中井秀郎先生が講演しました。

 夜尿症診療ガイドラインでは、5歳以上の子どもで、月1回以上の夜尿が3か月以上続く場合を夜尿症と定義しています。家族歴が強く、両親のどちらかに夜尿症の既往があると子どもの40%が、両親に既往があると70%が夜尿症になり、小学生では女児よりも男児に多い傾向にあります。「日本では、未受診・未治療の患児が多く、治療を受けているのは全体の約20分の1と推計されています。家庭内で悩み、人に相談しても解決せず、勇気を出して医療機関を受診している子どもと家族がほとんどです」と中井先生。「成長とともに自然に治ります」「とりあえず様子を見ましょう」と言われ、再び相談することなく、治療の機会を失っている親子が多いそうです。

 心理疫学的検討では、夜尿のある子どもは、自尊心やQOL(生活の質)が大きく低下してしまうなど、いじめに匹敵するほどの心理的な影響を大人になってからも残すことがある、との報告があります。中井先生は「夜尿病の有病率はアレルギー疾患に次いで多く、ありふれた子どもの症状であることを認識してほしい」と指摘。「起こさない」「焦らない」「叱らない」「比べない」「夜尿のない日はほめる」という態度と習慣が重要であり、「治すための気力を子ども自身から引き出してほしい」と語りました。

約2~3割が生活改善のみで夜尿をしなくなる

 夜尿症の治療に当たっては、「生活習慣の見直し」が中心になる、と中井先生。約2~3割が生活改善のみで夜尿をしなくなるといい、具体的に6項目のリストを示しました。

  • 規則正しい生活をする
  • 水分の取り方に気を付ける
  • 塩分を控える
  • 夜中に無理に起こさない
  • 寝ているときの寒さ(冷え)から守る
  • 寝る前にトイレに行く

 そのうえで、中井先生は2つの治療法を解説しました。そのひとつが、寝る前に患児のパンツに小さなセンサーをつけることで、尿でパンツが濡れるとアラームがなる条件付け訓練法である「アラーム療法」。夜尿発生をすぐにアラームで本人に知らせて覚醒させ、それを繰り返すことにより夜間の蓄尿量が増して、夜尿量の減少、夜尿回数の減少へつながり、夜尿の時間帯が徐々に朝方へ移行して治癒すると考えられています。もうひとつは薬物療法で、抗利尿ホルモン薬のデスモプレシンなどが使用されているといいます。

 診療ガイドライン改定の意義として、「行きつけの小児科で診療してもらえることになり、初診で『経過観察』となることが少なくなります」と中井先生。初診相談時から治療開始までの『経過観察時間』が大幅に短縮されることが予想されると期待を寄せています。

 国内の患児数約78万人――。子どもやその家族にとっては深刻な問題である夜尿症を見過ごすことなく、しっかりと治療したいものです。

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