古くから伝わる日本の文化を、現代に馴染むように私らしく表現したい。【100人100色】Vol.7

古くから伝わる日本の文化を、現代に馴染むように私らしく表現したい。【100人100色】Vol.7

女将・28歳・既婚

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いろんな女性の働く・暮らすを知ること『100人100色』 Vol.7

それぞれの立場、個々の考え方によって「働く」ことへのスタンスは異なります。正解なんてありません。
「100人100色」では、100人の「働く女性」に登場いただき、等身大の姿を語っていただきます。年齢、環境、キャリア全ての背景が異なる人たちの100とおりの『想いや生き方』の中に、きっとあなた自身にとってのヒントが見えてくるはずです。

今回は、西麻布で旦那さんと2人3脚で日本料理店を営む田中麻里さん(28)をご紹介。
世界一周旅行を経て、「非日常」を作る仕事を重ねてきた彼女にどんなエッセンスが加わったのでしょうか。 大きな壁にぶつかった時も常に楽しむ姿勢を大切にする田中さんの仕事観とプライベートのお話を伺いました。
女将という今の仕事に至るまでのキャリアを教えてください。

「非日常」を作る仕事が好きで、学生時代はテーマパークやメイド喫茶などで働いていました。
結婚する前は今とは全く異なる仕事、「舞台衣装プランナー」という仕事をしていたのですが、もっと世界中の民族衣装や舞踊・舞台を観たいと思い、その仕事を辞めて世界一周旅行をしたのです。

世界一周旅行で訪れたアフリカ・ザンジバル島での一枚
その時に主人に出逢いました。 そこから人生が急展開して、今では主人と営む日本料理店の‘’女将”という、これまでと全然違う仕事をやっています。
一見、共通点が無いように見える前職と現職なんですが、「非日常を作る」という点では共通しています。 和服を着て、白木のカウンター越しに客人をもてなす。演出が施された空間でお客様に楽しんでいただくために思いを巡らすのは舞台を作るお仕事と似ています。

これまでにぶつかった壁はありますか?そしてどう乗り越えましたか?

お店がオープンしたばかりの頃はお客様が全くいらっしゃらない日も多くありました。 確かに大きな壁でした。
そのことによって主人の気持ちが消沈するのです。その様子を見ているとこちらの気も滅入ってしまう・・・そこで、「来てくれる人だけがお客さんじゃないよ!応援してくれる人がたくさんいるよ!」ということに気付いてもらうため、お店のインスタグラムを始めました。
料理の写真にたくさんのいいねやコメントがつくのをみて、応援してくれるお客様がたくさんいるんだ、ということに気づいてからは、その壁は気にならなくなりました。乗り越えられているかは分かりませんが。笑
一番忘れられない仕事のエピソードをお聞かせください。

お店のインスタグラムを見て来店してくれた海外のお客様のエピソードです。
私たち夫婦はそれぞれ、お店を出す前に世界中を旅していたという共通の経験をしてきました。なので、旅行者が訪れた国の印象を決めるのに、旅先で出会う現地の人がどれほど重要な役割を果たすのかということを身をもって知っています。
先日お越しになったお客様は、私と主人のたどたどしい英語の対応でも喜んでくださって、食べたことのない懐石料理のコースを楽しみ、和包丁に触れ、日本文化の体験にとても満足してくださいました。
最後に記念撮影をし、お会計も終わった後、お客様はごそごそとカバンの中から母国のお金を取り出し、私たちに差し出しました。それは日本とオランダの通商400年記念コインで、大切に台紙に納められたものでした。 「オランダに来た時にはこれを使って、会いに来てください」というお客様。
そんな大切なものは受け取れない!と一度はお断りしたのですが、お客様は「気持ちだから」とおっしゃってそのコインをくださいました。
このエピソードは、日本を訪れたそのお客様に感動を与えることが出来たという大きな自信に繋がりました。

世界一周旅行をしていた頃の田中さん。友人とレンタカーで旅したグランドキャニオンにて。
あなたご自身を表現する「肩書き」を作るとしたら、どんな肩書にしたいですか?

「女将キュレーター」という感じ。あまりピンと来ないかもしれないですけど。
女将という仕事は代々伝承されるものであったり、「長い時間をかけて体になじませた日本の伝統を守っていく」といったイメージが何となくあるかと思うのですが、私自身は幼少期をニューヨークで過ごし、日本文化に触れずに育ったタイプで、帰国後も母のアメリカかぶれが抜けきらなかったため、実家でお味噌汁を飲んだ記憶もほとんどありません。
2年前に主人から「日本料理のお店を始める」と聞いて「それなら私が女将をやるのかしら」と思い、それから“女将”を学んで今に至るんです。
だから「和」の道に入ってからの日もまだ浅い。
職人仕事と同じように時間をかけて体で覚えていかなくてはいけない女将の仕事を、本やインターネットやほかのお店の女将さんへの聞き取りなどで情報を収集して体得していくようにしています。
古くからある日本の素晴らしい文化を、どうやって現代に受け入れられるスタイルとして馴染ませていくのか。
それを考えられるのは、自分が日本文化の外側にいた人間だからなのかな、とも思っています。
だから“女将”というよりは“女将キュレーター”。これが私らしい仕事のやり方なんだと思います。

お店の営業だけにとどまらず、お客様を連れて食材の生産者を巡るスタディツアーも行っている。

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