いじめより強い精神的ダメージを与える子どもの夜尿症

いじめより強い精神的ダメージを与える子どもの夜尿症

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5歳を過ぎてのおねしょ、「夜尿症」の可能性

 おむつ外しのころ、朝起きたら布団に“地図”が…というおねしょ体験はよくある話ですが、その頻度は成長とともに減ってゆくものです。一般的に、夜尿を「おねしょ」と呼ぶのは乳幼児期までで、5~6歳以降は「夜尿症」という病気の可能性も考えられます。夜尿症は、アレルギー疾患に次いで2番目に多い慢性小児疾患で、国内の患者数は約78万人とみられています。

 このうち、医療機関を受診している患者は推計で約16万人とされていますが、治療を受けているのは約4万人に過ぎません。夜尿症の子どもを持つ母親への調査では、「(夜尿症により)子ども自身がストレスを感じている」と答えた母親が36%と、母親の3人に2人は子どもが悩んでいると感じていないとの結果が出ており、治療に消極的な姿勢もうかがえます。

 国際小児禁制学会と欧州小児泌尿器科学会が2015年から、5月24日を「世界夜尿症(おねしょ)デー」と定め、一般や医療従事者らへ夜尿症に対する関心を高める取り組みを、世界各地で始めています。

夜尿が改善すると、子どもの自尊心も回復

 夜尿症の原因は、夜間の抗利尿ホルモンの分泌が不十分なため、就寝中に尿量が増えてしまう「夜間多尿」、就寝中に産生される尿を膀胱内に貯めておくことができない「膀胱容量低下」の2つが考えられています。これらのどちらか、あるいは両方が組み合わさり、さらに尿意によって目を覚ませない場合に夜尿症となります。夜尿症は、適切な治療を行うことで、自然経過よりも約3倍治癒率を高めることがわかっており、小学校低学年から初期診療を始めることで、宿泊行事の増える高学年までに夜尿を治すことも可能となっています。

 14日間のうち6回以上夜尿のある8歳~16歳の子ども98人に行った調査によると、夜尿症が子どもに与える精神的ダメージは、親の離別、争いに次いで3番目に強く、いじめよりも強いということが明らかになりました。しかし、夜尿を改善することで自尊心が回復することもわかっており、治療中の子どもからは「おねしょをしなくなるから早くお薬が飲みたい」「最初は薬を飲みたくなかったけど、好きになった」など、治療に前向きな声が聞かれています。

 治療には、生活改善指導、薬物療法のほか、アラーム療法がありますが、前提として生活改善の取り組みが重要視されています。夜間の飲水制限や規則正しい生活リズムが確立されていないと、薬物療法による副作用を誘発する可能性があるからです。また、親の役割として、治療の際は子どもを責めずに、夜尿をしなかったときや、寝る前にトイレに行くことができたら、ほめてあげることも大切です。「宿泊行事までに夜尿をなくそうね」など、具体的な目標を立てることも効果的で、その場合は目標の3か月前の受診・相談が理想とされています。(菊地 香織)

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