人気産婦人科医・宋美玄が語る。現代女性が抱える高齢出産・不妊治療の真実

人気産婦人科医・宋美玄が語る。現代女性が抱える高齢出産・不妊治療の真実

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産婦人科医として医療の現場で働くほか、テレビ・ラジオのコメンテーターや雑誌の連載、著書も多く出されている宋美玄さん。プライベートでは2012年、35歳のときに第1子を、昨年には第2子を出産し、子育てをしながら働くワーキングママでもあります。

一方、現代女性の妊娠・出産事情と言えば、女性の平均初産年齢は30歳と年々遅くなる傾向にあり、妊活や不妊治療といった言葉も身近なものになってきました。また、働きながらの妊娠生活においても、つわりや身体の変化によって仕事との向き合い方に悩むことも多いはずです。今回、宋さんには、こうした現代の妊娠・出産をとりまく事情を、産婦人科医としてだけでなく働くママの視点からも語っていただきました。

取材・文:片貝久美子 撮影:豊島望
プロフィール

宋美玄(そん みひょん)
産婦人科女医・医学博士。1976年、兵庫県生まれ。2001年に大阪大学医学部医学科を卒業。産婦人科医として従事するなか、『女医が教える本当に気持ちいいセックス』(ブックマン社)が50万部を突破し、大ヒットしたことで知名度を上げる。その後、フジテレビ『とくダネ!』のレギュラーコメンテーターや女性誌での連載など、多くのメディアに出演。2012年、35歳のときに第1子の女児を出産。産後4か月で復帰し、子育てと産婦人科医を両立している。2013年には『内診台から覗いた-高齢出産の真実』(中公新書ラクレ)、2014年には『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK –プレ妊娠編から産後編まで!』(メタモル出版)など、出産にまつわる著書も出版。2015年11月に第2子の男児を出産したばかり。
http://www.puerta-ds.com/son/
不妊治療や共働きが増えた日本は、フレキシブルな働き方にならないといけない。
―宋さん自身、2人のお子さんを育てながら働いていますが、まずは女性が子育てをしながら働くことについてはどう思われますか?

:私の場合は下の子がまだ5か月で、仕事は本格復帰していないのですが、それでも仕事をしていると「家事や育児をもっとちゃんとしたい」って思います。かと言って、育児ばかりしていると今度は社会から取り残されていると感じることがある。最近は、育児もちゃんとしたいし、医者の仕事も、それ以外の仕事もしたい、という気持ちが強くなりました。自分の理想を追求すると、育児100%、仕事100%でやりたい。だけど、それではキャパオーバーですよね。

―宋さんのように育児も仕事も、もっとやりたいと考えている女性は多いと思います。時短勤務されているママ社員たちからも、「どちらも中途半端になっている気がする」という声をよく聞きます。

:そのお話を聞くと、みんなが時短勤務、または残業なしの定時勤務になればいいのでは? と、考えてしまいます。男性も含めて、みんなが定時。それなら時短のお母さんも定時まで働けるかもしれないじゃないですか。旦那さんが18時に帰って保育園にお迎えに行けるのであれば、自分も17時まで働けるというお母さんは多いはず。なので、時短が特別扱いなのがよくないと思うんですよね。現実はなかなかそうもいかないのでしょうけど……。

―夫婦どちらもお迎えができる環境はとても理想です! 子育てをしながら働こうと思うと、子どもを寝かせてから、洗い物、明日の準備をして、寝るのは深夜1時……という生活を送る人もたくさんいます。ワーキングママが昔よりも増えてきた印象があるのですが。

:少なくとも私の業界だと、子育てをする女医の数はとても増えました。私自身は不妊治療を行う施設で働いていないのですが、周囲の先生たちにお聞きすると、働きながらの妊活や、妊娠中も働く女性が増えているそうです。いまは不妊治療を行う年齢が若返っているという話もあります。

―それはどうしてなのでしょう。

:やっぱり、「女性にはリミットがある」ということが世間に周知されてきたことが大きいと思いますね。41歳くらいまでは妊娠する人もいますけど、それ以上になると正直厳しい状況になるので。そういう意味では、妊娠・出産には適齢期があり、早いほうがいいという情報が知られたことで、女性たちが早めに病院に行くようになったのはいい兆候だと思います。一方で、都内の不妊治療が人気のクリニックはものすごく混んでいるみたいです。少しでも早く治療を終えて会社に行きたいのに、そういうわけにもいかないという状況もあるようです。

―不妊治療をしていることを会社には言いづらいですもんね。

:そうなんですよね。不妊治療の難点は、例えば会社や上司に「お腹が痛いので病院に行きます」とは言えても、「不妊治療をしています」とは、わざわざ人に言いたくないところ。やっぱり不妊治療とか妊娠というプライベートなことを職場でおおっぴらにしづらいですよね? とくに妊活中の人は必ずしも妊娠できるとは限らないので。そう思うと、育休から復帰した人には時短勤務がありますけど、そうではなくて、全員がフレックス可能という形にすれば、不妊治療も人知れず通えるのではないかと思います。

―いろいろな人が使えるフレキシブルな制度のほうがいい、と。

:そうです。そうすれば、育児中のお母さんは早めの時間に働いて、お父さんは逆に遅めの時間からにして、交代で子どもをカバーできるじゃないですか。それに、これからは高齢介護をする人も多く出てきますよね。例えば親をデイサービスに送ってから出社したいとか、帰ってくる時間に合わせて退社したいという人もいるかもしれない。ほかにも、自分が病気になったり、子どもが何か問題を抱えるかもしれない。そういう場合に、すべての人にとってフレキシブルな制度があると、何とか折り合いがつきそうな気がしますよね。

―たしかに仰る通りだと思います。ちなみに、不妊の定義とは?

:子どもが欲しいと思って普通に性行為をしていても、1年できなかったら「不妊」とされています。以前は2年とか3年でしたが、いまは作り始める年齢が上がっているので、自然妊娠の期間も短くなりました。例えば、38歳から子作りを始めてからの2年はめちゃくちゃ大きいので、早めに不妊の判断をするようになったといえますね。

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