【書籍レビュー】『ぐりとぐら』作者が綴る、子育てに悩むママを救いパパに気づきを与える本

【書籍レビュー】『ぐりとぐら』作者が綴る、子育てに悩むママを救いパパに気づきを与える本

中川李枝子『子どもはみんな問題児。』

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文:佐藤健(CHIENOWA)
名作絵本『ぐりとぐら』の生みの親である中川李枝子さん。本書では、絵本を書く前に勤めた17年間の保母生活を通して「子どもとは何か」をあらためて伝え、日々育児に頑張っているお母さんへの心温まるメッセージをたくさん込めています。メッセージの元となるのは保母時代に接した、子どもたちの行動や言葉。短編集のように紹介され、非常に読みやすく、その一つひとつの事例は、子どもの新たな側面を発見させてくれます。

私にも娘がいて、保育園に通っていますが、家庭から一歩外に出た娘の姿を想像してホッコリした気分になりつつ、時に娘に対する自分の態度も反省しながら、読み進めることができました。また、このレビューを書く1週間前に2人目の子どもが産まれたこともあり、これからの子どもへの接し方をあらためて考えさせられました。

子どもは子どもらしくあるべき
中川さんは、子どもへの最高の褒め言葉は「子どもらしい子ども」だと表現しています。「良い子」でも「賢い」でも「聞き分けのいい」でもなく、「子どもらしい」のが良いと。好奇心旺盛で自由奔放で、時には嘘をつき、自分丸出しで生きる子どもは、大人から見ると問題児のように感じることもありますが、それはどの子も同じ。保育園では友達同士でコミュニティーを作ろうとしたり、小さい子のお世話をしたり、子どもなりに悩んで日々成長しているので「焦らなくても、悩まなくても大丈夫」だそうです。そして、子どもにとってはお母さんが一番大好きで、「お母さん自慢」なんかをしていたりするそうです。お父さん自慢もしてくれていると、私的にはうれしいですが(笑)。

自分にも経験があることですが、「子どものため」「しつけのため」「親の責任だから」と、あれこれ考えがちで、子どもが言うことを聞いてくれないと怒ったり悩んだりすることもありました。でも、それは本当に子どものためなのか? 子どもなりに悪戦苦闘しながら良い子になろうとしているとしたら、自己中心的で、子どもを受け止める余裕のない行動だったのかな……と今になって反省です。「パパはすぐ怒るんだから〜」とよく言う娘が、たまに渡してくれる愛情溢れた手紙を思い出し、心の中で謝罪しました。

子どもは意外と大人
子どもは常に全力で一所懸命に生きるので、ぶつかることも多いようですが、子どもなりの社会、人間関係があるそうです。損得勘定や手抜きはしないし、見栄も張らない。結構プライドもあって、恥も知っているし、紳士協定などもしっかりやっている。……言われてみれば、公園で他の保育園の子ども達と遊んでいたり、年下の子の面倒を見る姿を見ていると、娘も色々考え、行動しているようです。ここ1年でも急速に成長した気がします。この成長スピード、自分と比べたら、娘の方が上かもしれません。

大人の役割とは
あまり深く考え込まず、子どもを信じて見守るだけでも育っていきそうですが、そうは言っても子どもだけでは解決できないことも出てきます。「トラブルが起きて子どもが進むべき方向を失った時に、どう手を差し伸べ、力を貸すか」「話しかけてきたら、受け止めて。聞こえないふりをしたり、約束を破ったりしないで。子どもに負けないくらい、どんなに愛しているかを態度で示して」と中川さんは書かれています。

確かに家庭での子どもの一言は、流してしまいがちです。時間までに保育園に送らなくてはならない、家事を済ませなければならない、ちょっと仕事をしなければならない……考えてみれば自分のタスクを優先した言葉かもしれません。子どもと接し、付き合っていくには相当な体力とエネルギーが必要ですから、タスクを理由に無意識に子どもの言葉を避けていたのでしょうか。しかし、将来の社会を作る子どもにしっかりと育ってもらうためには、子どもをよく見て向き合って、良い環境を作ることが、親としての責任であると思えてきます。

育児への関わり方を考える
中川さんは「子育てに追われておしゃれもできない。社会から取り残されている」と言うお母さんに「そんなことはない。世の中のすべてが我が子の将来にかかっているのだから、社会の先端に立っているのはお母さん。育児以外の暇がないというのがお母さんであることの証」というメッセージを送っています。

まさにその通りですが、対象を「お母さん」に限定するのは酷かもしれません。私の家は共働きで、妻は仕事と育児の両立を目指しています。私は子どもを持つ女性が仕事を持つことは良いことだし、仕事以外にも趣味を持つことや自己啓発に取り組みたいと思うのであれば、どんどん実践すべきだと思います。

しかし、限られた時間で仕事をし、家事をしながら、毎日子どもと向き合い続けるのは大変な労力です。週末は私が子どもと過ごすことも多いのですが、それだけでもグッタリしますから(笑)。悩まず、焦らず、子どもらしいことが一番だと、まずはお母さんが思うことも心のゆとりのために大事ですが、お父さんも同じ思いでいることも大事。

子どもと向き合い、しっかり育つ環境を作るために、お母さんと同じ思いで関わり育てていくこと、そして、同じ保育園や近所の育児家庭のコミュニティーとも関わり、みんなで環境を作っていくことが理想と感じました。お父さんの立場としては、どうしても腰が引けますが、それにより得られることはきっと貴重で、心豊かになることだろうと想像します。これまでの育児を振り返り、今後の関わり方を考えさせられた本でした。

『子どもはみんな問題児。』

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著者:中川 李枝子
出版社:新潮社
プロフィール

佐藤健(さとう たけし)
クレディセゾン 営業企画部 プロモーション戦略グループに所属。5歳の娘と生後1ヶ月の息子がいる。

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