「男性の育休取得はなぜ増えない? vol.3」保活を、ママに任せていませんか?

「男性の育休取得はなぜ増えない? vol.3」保活を、ママに任せていませんか?

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ファザーリング・ジャパン理事の、つかごしまなぶです。ファザーリング・ジャパンは、「育児」も「仕事」も「人生」も笑って楽しむ父親を増やすことをモットーに2006年に設立しました。SAISION CHIENOWAでは4回にわたる連載で、男性の育休について考えていきます。
保活は夫婦の問題! 共働きなら「共保活」にしよう
毎年2月頃、春の入園に向けた保育園の待機児童問題がメディアの話題に上がります。そこに登場するママたちと同じく、私も「保活(保育所に子どもを預けるための活動)」経験者。育休中に保活をしながら何度も思いました。「待機しているのは子どもだけじゃない、私もだ!」。万が一、保育園が決まらなければ、育休からの復職もままなりません。共働きの夫婦にとって、「保活」は二人で解決すべき問題です。

もし「パパ育休」が当たり前の社会だったら、パパも主体的に保活をすることができ、ママもスムーズに産休から復帰したり、新しい仕事に就くことができます。もちろん「保活」なんて言葉がなくなる社会が一番ですがーー。

さて、今回は共働き夫婦である安田パパ(37歳、富士ゼロックス勤務)の体験談をうかがいました。夫婦で保活をすること、実家との話し合い、共働きでの育休経験から学んだ3か条についてお話いただきます。
「パパ育休を使って、保活・入園・慣らし保育という大イベントをどう乗り越えるかがポイント」
安田:こんにちは。私の家族は、会社員の妻、長女、次女の4人です。まずは簡単に育休プロフィールを紹介します。

1回目の育休(長女:生後9か月から4か月間取得)
妻の産休後の復職を生後10か月と早めにすることで、継続就業の意思を妻の会社にアピールする狙いがあったので、育休は妻の復職のタイミングに合わせました。また、慣らし保育期間をフォローするために、4月中旬まで取得。

2回目の育休(次女:生後6週目から2週間取得)
妻が里帰り出産から戻ってきた際の、環境整備のために取りました。生活のリズムができるまで、主に家事の担い手として奮闘。

3回目の育休(次女:生後12か月から2か月半取得)
1回目と同じく、妻の復職から保育園の慣らし保育完了まで取得。職場復帰と慣らし保育という大きな環境の変化を夫婦で助け合うことで、妻と子どもへの負担は少なく済んだと思います。

安田:また、子どもが早生まれの場合、ママの育休(平均10か月)終了後に保活や入園が重なってしまうので、この重要なライフイベントを乗り越えるためにも、パパ育休の取得は必須だと思います。

笑顔が素敵な安田ファミリー
安田:私が育休を取得する中で感じたこと、現実との戦いを、「育休で学んだ3か条」としてまとめてみました。
その1「パパも保育所のことを、よく知っておくべき」
安田:無事に入園できることが保活の目標ですが、保育理念、園庭の有無、保育時間、通いやすさ、受入可能年齢、保育形態の違い、父母会など、保育園選びには考慮する点がたくさんあります。私たちはこれらの中から「通いやすさ」と「保育理念」を重視。夫婦で見学しながら、候補を絞り込んでいきました。実際に足を運んで見てみると、思っていたのとは良い意味でも悪い意味でも雰囲気が違うことがあります。これはパパも保活をしていないと気づかないこと。父親も、子どもが通う保育園を自分の目で見ておくべきだと思います。

このような保活を続け、保育園が無事に決まったのもつかの間。さっそく入園説明会に行ってみると、パパ一人で参加していたのは私だけ。園からの説明の主語もすべて「お母さんは……」と話すのを聞いて、世間の育児はまだまだ母親主流なのだと実感した出来事でした。
その2「パパ育休こそ、実家への説明は丁寧に」
安田:予想外に苦労したのが実家への説明で、「職場に無事戻れるのか?」と何度も聞かれました。繰り返し話をする中で、共働きである自分の両親に対して、2人のように仕事も家庭も楽しむ生き方をしたいことを伝えると、応援してくれるようになりました。

病気など、緊急時に手を貸してくれる実家の応援は心強いです。子育てに煮詰まったとき、1時間でも子どもを預かってくれる場所があれば、不慣れなパパの心身をリフレッシュすることができます。こう言うと実家に依存しているように聞こえるかもしれませんが、これからも共働き・共育てをしていくための「パパ育休」でもあります。そのためにも、「どうしても手が足りないときは協力をお願いします」というスタンスを示すことで、理解を得ることができました。実家の両親とは、丁寧な話し合いをおすすめします。
その3「共働きを続けていくためには、育児・家事スキルのバランスは欠かせない」
安田:夫婦が「育児でもパートナー」になるために、パパの育休は必要だと思っています。夫婦で育休を取っておけば、それぞれにおのずと「育児スキル」「家事スキル」が身につきます。二人が職場復帰した後、どちらかに急な仕事が入ったとしても、お互いに安心して子どもを任せられるので、パートナーに感謝しつつ仕事に集中できます。

仮にこのバランスが偏っていたらどうなるでしょうか? きっとママだけが、後ろめたさを感じながら、仕事を同僚に任せて家路を急ぐことになるはずです。多少は仕方ないにしても、度重なると自分にも職場にもストレスとなってしまいます。しなやかに共働きを続けていくために、夫婦での育休取得はとても大きな意味があると思います。
新しい夫婦像を築くことで、ママの社会復帰をあきらめさせない
安田パパは、ママの復職や保活など、家族にとってベストなタイミングに育休を取得していましたね。私の場合は三男が生まれてすぐに保活を始めたものの、12月の復職までに保育園が見つからず、4月まで育休を延長することになりました。

本来、育休取得は夫婦で考えるものですが、世の母親たちの多くは、夫に育休を取ってもらうことができず、さらに保活に失敗したら「社会復帰」という選択肢を放棄せざるを得ない状況に陥っています。これは夫婦の意思というより、私は「見えざる力」によるものと考えます。

その力は、今までの教育環境や、「一般的な夫婦のあり方」という概念の刷り込み、実家の価値観、職場風土、上司への先入観など、とても複雑で強力です。しかし、この力以上に夫婦のビジョンや強い意思があれば、新しい家族のカタチを実現できると、安田パパの体験からわかります。みなさんは「見えざる力」とどう対峙しますか?
プロフィール

つかごし まなぶ(塚越 学)
1975年生まれ。東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 シニアコンサルタント/公認会計士。大手監査法人に勤める傍ら、2008年に長男誕生を契機にファザーリング・ジャパン会員として、父親の育児・夫婦のパートナーシップなどのセミナー講師やイベント企画などを自治体、労組、企業などに対して行う。男性の育休促進事業「さんきゅーパパプロジェクト」リーダー。大手監査法人マネージャーを経て2011年より現職。2012年より同法人の理事に就任。育児休業を長男時に1か月、次男時に1か月、三男時に8か月間取得している。
http://fathering.jp/

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