『ワーク・ライフ・セルフの時代』著者・石田裕子の「わたし時間」から考える、人と比べない幸せの価値

『ワーク・ライフ・セルフの時代』著者・石田裕子の「わたし時間」から考える、人と比べない幸せの価値

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株式会社サイバーエージェントに入社後、インターネット広告事業本部統括、スマートフォン向けAmebaプロデューサー、株式会社パシャオク代表取締役社長を経て、現在は株式会社Woman&Crowdの代表取締役社長を務める石田裕子さん。弱冠34歳でありながら、この華麗な経歴だけを目にすると絵に描いたような「キャリアウーマン」のように思うかもしれませんが、実はお子さんの保育園送迎を含め、育児や家事を担う2児の母でもあります。

そんな石田さんの著書『ワーク・ライフ・セルフの時代』(クロスメディア・マーケティング刊)をSAISON CHIENOWAの書籍レビューで紹介したところ、たくさんの反響をいただきました。仕事と生活の調和を目指す「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が当たり前となって久しいですが、それだけではなく、「セルフ=個」も大切だということを記した内容に、おそらく多くの働くパパ・ママたちが目から鱗だったのでしょう。それは、レビューの執筆を担当したクレディセゾンの上川にとっても同様でした。今回は石田さんご本人にご登場いただき、彼女が考える「働くこと」「生活すること」そして「個を大切にすること」に迫ります。

取材・文:片貝久美子 撮影:豊島望
プロフィール

石田裕子(いしだ ゆうこ)
株式会社Woman&Crowd代表取締役社長。2004年株式会社サイバーエージェント入社。広告営業職として実績を上げ、わずか4年後に同社初の女性営業局長、2010年には同社初の女性営業統括に就任。その後、子会社の代表取締役社長を経て、現職に。2児の母である経験をいかし、女性のさまざまな働き方を支援するクラウドソーシングサービス「Woman&Crowd」などを手がけている。
https://womancrowd.jp


上川奈保(うえかわ なお)
クレディセゾン戦略人事部に所属。現在は短時間勤務で働いている。8歳(小学校2年生)と4歳の兄弟のママ。
結婚・出産をして毎日充実しているはずなのに「あれ? 何かが足りない」と気づいたんです。(石田)
石田:私の著書『ワーク・ライフ・セルフの時代』で素敵なレビューを書いていただき、ありがとうございました。

上川:とんでもないです。石田さんの本を読んで、私自身、気づくことがたくさんありました。しかも本だけでなく、こうして石田さんご本人に出会えて、本当に嬉しいです。

左から石田裕子さん(Woman&Crowd)、上川奈保(クレディセゾン)
―早速ですが、上川さんは石田さんの本を読んでどんなことを感じられましたか?

上川:私は石田さんが本の中で「ワーク・ライフ・バランスというものにすごく違和感を感じていた」という言葉にとても共感したんです。育児のために仕事と生活のバランスを取ることは「生活とのバランスを取るために仕事を控えている」と感じる人もいたり、誤解を生みやすい言葉だと思うんですよね。ですので、ワーク・ライフ・バランスの正しい理解のためにも、石田さんの本はすごくいい提示になるなと思いました。また、石田さんはワークとライフだけでは「息苦しい」ともおっしゃられていて。充実したキャリアを築かれている石田さんがどうしてそう思われたのかな? というところを、今日はぜひおうかがいしたいと思っていました。

石田:上川さんのおっしゃる通りで、世の中的には「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が一般的に使われるようになりましたが、捉え方次第では「生活とのバランスを取るために仕事を控えるべき」とか、逆に「仕事も家庭もどちらも両立すべき」という会社からのプレッシャーや、自分自身への焦りにも繋がると思うんです。

―どちらもこなしてこそ一人前だと。石田さんは復職後、バランスよく両立できたのでしょうか?

石田:私自身は20代の頃からずっと、この先結婚・出産などでライフステージが変わっても、どちらかを諦めることなく働いていたいと思っていました。だけど実際に子どもが生まれると、出産前と同じようなワークスタイルで仕事するのはやっぱり無理でしたね。何かしらを変えないと継続できないし、自分では両立しているつもりでも、どちらかが中途半端になっている気がする。この状態のままだと、いずれどこかにガタがきてしまう……。育児だけでも大変なのに、仕事でもさまざまなプレッシャーがあって、その中で「もっとこうしなくては」とか「やり方を変えてどちらも完璧に近づけなければ」みたいな気負いを双方に感じていました。

―出産後は息苦しい思いをされていたんですね。

石田:1人目のときは、子どもに対して自分が働いていることが申し訳ないという気持ちが大きかったですね。日中は預けて仕事に出ることで、一瞬一瞬の成長を見逃している自分に対しても腹立たしいというか。それでいて、仕事も早く切り上げて帰らないといけないわけで。仕事はしっかりやっているつもりでも、それも周りにサポートしてもらいながらの状況。仕事をしていても子どものことが気になったり、また逆もあったりで、本当、このままだとどちらも中途半端なままになってしまうと、気持ちの整理がつかない時期がありました。

上川:産後2か月で復帰されて、迷いなくお仕事をされているのかと思っていました。石田さんにもそんな時期があったんですね。

石田:もちろん、もちろん(笑)。すごく悩んでましたね。そんな生活の中で「あれ? 私、仕事と家庭の往復しかしてないんじゃない?」と、ふと思ったんです。たしかに毎日充実はしているんですけど、気がつけば自分の時間がまったくなくて……。仕事も家庭もより頑張れるようになるための「何か」が私には必要なんじゃないかと、1人目を育てているときに強く感じていました。

上川:その「何か」の答えは出たのでしょうか?

石田:そのときは答えが出なかったんですよ。その「何か」がわかったのは、2人目を出産して、会社での自分の状況も変わったときでした。以前にも増して大変なことが多い中、自分自身がスキルアップするために勉強するとか、気分をリフレッシュさせるとか、もっと自分と向き合うための1人時間(セルフ)を意図的に確保していかないと、全部に悪影響が出てくるということに気づいたんです。
仕事も子育ても状況が変わっていくのが当たり前。抵抗せずに楽しむことで変わり始めました。(石田)
—2人目をご出産された後、自分の時間を意図的に確保することが大切だと気づいた理由は何だったのでしょうか?

石田:一言でいえば、自分自身のキャパシティが広がったことによって、仕事と子育ての両立に余裕を持てるようになったからでしょうか。仕事の面で言うと、この業界は1か月2か月単位で状況が変わっていくのが当たり前なので、変化に対しての抵抗がなくなり、むしろそれを楽しめるようになったんです。子育ても、思い通りにいかないのが当たり前ですよね。それに、子どもたちはそれぞれ性格も個性も違いますから、ちょっとしたことでは動じなくなってきたように思います。

上川:2人目をご出産されたのが大きかったんですね。1人目と2人目では気持ちにどのような変化があったのでしょうか?

石田:いい意味で肩の荷が下りたっていうんですかね。子どもを持ちながら働くというのを1人目で経験していたので、少し余裕が生まれたというか。家族だけでなく、両親や保育園の先生も含めて、周りと一緒に育てているんだと思えるようになりました。1人目のときは勝手に自分だけが背負っている気でいましたが、そうじゃないんだということに気づけて視野が広がったのが大きいかもしれません。

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