コミュニケーション障害とは?俗称と医学的定義の違いは?症状の種類や原因、治療方法まとめ

コミュニケーション障害とは?俗称と医学的定義の違いは?症状の種類や原因、治療方法まとめ

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コミュニケーション障害とは

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近年コミュニケーション障害は“コミュ障”として一般的に知られるようになりました。いわゆる“コミュ障”という言葉は、2ちゃんねるなどのBBS(掲示板)やSNS(ソーシャル・ネットワーク)で作られたネット用語です。

この“コミュ障”の特徴としては、重度の人見知りで人とまともに話すことができない、緊張して異性と話すことをむずかしいと感じる、同じ言葉を連呼する、どもってしまう、他人に興味がなく自分の意見を押しつけてしまう、などの傾向にある人のことを指すことが多いようです。

しかし医学的な観点から見たコミュニケーション障害は、この“コミュ障”とは少し異なります。

アメリカ精神医学会による診断基準である『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)においてコミュニケーション障害とは、ことばを扱うことに対して障害が発生する複数の疾患が一つにまとめられた、コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群(Communication Disorders)という総称として認識されているのです。

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『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)/2014年 医学書院

コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群とはことばを扱って他者とコミュニケーションをとることに困難が生じる疾患群です。具体的には、

・言葉を相手に伝わるように発声することが困難である
・すらすら、止まらずに話すことが困難である
・他の人と円滑に会話することが困難である
・相手の話していることを上手くくみ取ることが困難である
・正しい言葉の使い方をすることが困難である

といった症状が挙げられます。

人は認知や発声など多くの機能・能力をつかって他者とコミュニケーションを図ります。そのためコミュニケーションに何かしらの障害が生じている場合は、特定された一つの原因が作用している訳ではありません。

その上、発症する症状は疾患によってさまざまです。そこで症状に合わせた5つの疾患が定められ、コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群としてまとめられているのです。

5つの疾患とは言語症、語音症、小児期発症流暢症(吃音)、社会的(語用論的)コミュニケーション症、および特定不能のコミュニケーション症群です。

これらの疾患は主に幼児期、小児期、青年期に発症する傾向があり、成人になった後にいきなり発症することはあまり認められていません。

本コラムではコミュニケーション症群/コミュニケーション障害群を、以下コミュニケーション障害と表記します。

コミュニケーション障害の種類

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言語症とは話したり、書いたりする為に言語を取得することの困難さを特徴とする疾患です。それに伴い、使える語彙が少ない、正しい文章を作る力が弱く主語と述語の順番がぐちゃぐちゃになる、相手に自分の思ったことを正しく伝える表現力が弱いなどの症状が発生します。

具体的には、
・過去の話を話すことが困難である
・話題に応じた適切な単語を選ぶことが困難である
・電話番号や買い物リストを覚えることが困難である
・一番伝えたいことをずれのないように伝えることを難しいと感じたりする

といった症状が挙げられます。

こうした症状は、その人の成長の段階に応じて、社会参加、学業成績、職業的能力など様々な場面に影響を与える傾向があります。

言語症は通常発達期初期に発症することが多いため、言語症を発症しているのか、言語能力の取得のスピードの正常な範囲内での遅れであるのかが分かりにくい場合があります。

そこで言語能力の個人差が安定すると考えられている、4歳を基準として診断することが多いです。4歳以降に言語症と診断された場合には個人差はありますが、成人期になっても持続する可能性があります。

語音症とは、言葉をうまく発声できないことで引き起こる疾患です。語音症がある人が話している内容を周囲の人が完全には理解することができず、意思伝達が正しく行われない場合があります。

語音症と診断される条件の一つとして社会参加、学業成績または職業的能力に対して少なからず1つ以上に影響が発生していることが挙げられます。

人は話すとき、言葉がどういう響きを持つのかという音韻的知識と、会話のために呼吸と発声をしながら顎、舌、そして唇の運動を調整する能力の両方が求められます。語音症はこれらがバランスよく発達しない場合に引き起こされます。

言葉の発音がその子の年齢及び発達と比較し、期待されるものになっていない場合に診断されます。症状の始まりは発達早期ですが子どもの成長スピードには個人差があるため、見極めの基準は3歳で分けられています。定型発達の場合、3歳では会話の大部分が分かりやすいものであることが求められます。また、8歳までにはほとんどの単語が正確に発音できることが求められますが、それまでに発音違いがある場合は正常範囲とみなされます。

語音症は治療することができない疾患ではなく、治療をすれば会話の困難は改善することが多い傾向にあります。しかし、言語症が語音症と併存している場合は限局性学習症が発症していないかチェックする必要があります。

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『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)/2014年 医学書院

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小児期発症流暢症とは吃音(きつおん)とも呼ばれ、どもったり、会話の途中でいきなり話せなくなったりしてしまう症状を中心とした疾患です。2016年度の月9ドラマ『ラヴソング』にも取り上げられ知名度も上がっている疾患です。

具体的には
・あー、あーというように音声や音節を頻繁に反復したり、延長したりする
・単語が不自然な区切りで途切れる
・会話の途中でいきなり無言になる
・過剰な身体的緊張を伴って話す
・苦手とする言葉を避けた、遠回しの言い方を用いる

などの症状が挙げられます。

小児期発症流暢症は人前に立つとき、就職の面接のときなどストレスや不安が伴う場面でより症状が重くなる傾向があります。一方音読したり、歌ったり、置物や動植物に話しかけるときは症状が現れないことが多いです。

小児期発症流暢症を抱えている80~90パーセントの人が6歳までに発症しているといわれており、発症するときの年齢は2~7歳である場合が多いです。小児期発症流暢症は本人や周囲の人が気づかない間に急に発症する傾向があります。

そのとき本人は急に話すことが苦手になってしまったことに戸惑いを感じ、徐々に人前で話す機会を避けたり、短く単純な発言を用いたりし始めます。最終的には社会との関わりをできるだけ断とうとする場合があります。

しかし65~85パーセントの子どもたちが、小児期発症流暢症から回復するという研究結果もでており、決して症状の治療や改善ができない疾患ではないと言えるでしょう。

またいわゆる“コミュ障”の主な症状であるどもりが、青年期またはそれ以降に出現する場合があります。それは小児期発症流暢症ではなく“成人期発症の非流暢性”です。これはその他の身体・精神疾患、神経損傷と関係している場合があるため、固有の疾患名は存在しません。

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社会的(語用論的)コミュニケーション症は、社会生活においてのコミュニケーションを難しいと感じてしまうことが特徴の疾患です。本コラムは以下、社会的コミュニケーション症と記載します。

代表的な症状としては以下の4つが挙げられます。

1. 周りの人との挨拶、情報の共有など、社会生活を送る上で重要なコミュニケーションをとることが困難である

2. 自身が置かれている状況に応じて適切な話し方を選択することが困難である

話す相手が大人か子どもか、授業中と遊び時間など状況の変化に対して堅苦しすぎる言葉の使用を避けるなど、場面に応じてすむーずに話し方を変えることに難しさを感じる傾向があります。

3. 人とコミュニケーションをとる上でのルールに従うことが困難である

相手の話を聞かず自分の話ばかりしてしまったり、相手の理解を得られていないにもかかわらず繰り返しの説明を避けてどんどん話を進めてしまったり、身振り手振りのコミュニケーションを理解できなかったりすることが挙げられます。

4. 相手が言いたいことを推測、察することが困難である

相手がはっきりとは言わないけれど何かを要求している”ほのめかし”、論理的では無い文脈や、たとえ話などの曖昧な言葉の理解ができない場合があります。

社会的コミュニケーション症がある人は過去に言語の発達に遅れがあったり、言語症を患っていた場合もあります。また重度の症状になると、コミュニケーション上の失敗を恐れ、徐々に社会的な関わりあいを避けるようになる傾向もあります。

社会的コミュニケーション症は社会生活における、高度なコミュニケーションスキルに影響を与える疾患です。そのため言語や社会的交流がより複雑になる青年期早期まで発症していることが分からない可能性もあります。

上記の疾患のどれにも当てはまらないけれど、日常生活においてコミュニケーションの障害が引き起こされたり、コミュニケーション症に特徴的な症状が発症していたりする場合に診断されます。

コミュニケーション障害とその他の疾患の違い

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コミュニケーション障害は一般的にアスペルガー障害や自閉症と呼ばれる広汎性発達障害の特性に伴うものや、他の精神疾患、知的能力障害に伴うものには含まれません。

しかし他の精神疾患、知的能力障害から生じることばの障害の症状よりも、明らかにコミュニケーション障害の症状が重度である場合があります。その際にはコミュニケーション障害を併存・合併していると判断されます。

コミュニケーションに困難が発生するといわれている代表的な疾患として以下のものが挙げられます。

■医薬品の副作用:医薬品の副作用としてどもりなどの吃音が生じる場合があります。

■構造的欠陥:口蓋裂(こうがいれつ)などにより、会話をすることを困難に感じることがあります。

http://www.aichi-gakuin.ac.jp/~jcpf/fundamental.html

口唇口蓋裂についての基礎知識l 愛知学院大学

■構音障害:構音障害とは脳性麻痺によって音を作る器官やその動きに影響が与えられ、発音がうまくできない状態が引き起こされる疾患です。

■選択性緘黙(かんもく):選択性緘黙とは1つまたは複数の状況や環境で会話ができず、黙り込んでしまうことが特徴の不安症の一つです。選択性緘黙を抱えている人の多くは、家庭内や親しい友人と一緒にいるなどの安心できる状況下では正常な会話ができることが多いです。

■トゥレット症:児童期から青年期にみられるチック症の一種で、多様な「運動チック」と1つ以上の「音声チック」が1年以上持続することを特徴とする精神・神経疾患です。この疾患は小児期発症流暢症の反復的な音声と似ている症状であるため注意が必要です。

■自閉スペクトラム症:自閉症スペクトラム障害とは対人コミュニケーションに困難さがあり、限定された行動、興味、反復行動がある障害です。

自閉スペクトラム症では、行動、興味、及び活動の限定された反復的な様式が存在し、社会的コミュニケーション症ではそれらの症状がが存在しないことで区別されます。

■社交不安症:社交不安症とは、対人関係に対する不安、恐怖、そして苦痛のためコミュニケーションスキルが発達しているにもかかわらず、人と会話をすることに問題を抱えてしまう精神疾患です。

コミュニケーション障害の原因

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コミュニケーション障害の原因はストレスや、遺伝など諸説ありますが未だ明確にされていないのが現状です。その理由として対人コミュニケーションを取る際に必要となる能力の種類の多さが挙げられます。

人は認知などの脳の働きや、聞く・発声するなどの運動能力など、様々な能力をつかって他者とコミュニケーションを図ります。そのためコミュニケーション障害が生じている場合は、一人ひとりの背景に異なった原因があると考えることが大切です。

その事例としてSLP(Speech Language Therapist)が行っている、コミュニケーション障害の診断評価が挙げられます。SLPとは、アメリカで主に活躍していると呼ばれる言語に関する療法を行う専門家です。

そこでの分析の手法はSLPの数だけ、患者の数だけあると言われており、コミュニケーション障害の原因は多様に広がっていることが分かります。

http://kidshealth.org/en/parents/speech-therapy.html

SLPについてl The Nemours Foundation

http://ci.nii.ac.jp/els/110001883776.pdf?id=ART0002060786&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1481528108&cp=

子どもの言語・コミュニケーション障害の臨床と語用論/ 大井学/ 金沢大学 1994年

コミュニケーション障害の相談先

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コミュニケーション障害は幼少期・小児期・青年期初期に主に発症する疾患ですが、決して症状の治療・改善ができない疾患ではありません。例として小児期発症流暢症を挙げると65~85パーセントの子どもたちが回復するという研究結果がでています。

しかし年齢が上がってからの治療は、子どもがすでに話すことに対して強い抵抗感を覚えてしまい、治療が思うように進まない可能性があるため、早期に診察・治療することがすすめられています。

コミュニケーション障害の場合は以下の相談先に相談するか、医療機関の受診をおすすめします。

■児童相談所:
児童相談所は、すべての都道府県と政令指定都市に最低1つ以上設置されている児童福祉の専門機関です。主に、「子どもの養育に関する相談」、「障害に関する相談」、「性格や行動の問題に関する相談」などの育児に関する相談ができる機関となっています。

http://www.mhlw.go.jp/support/jidousoudan/

全国児童相談所一覧l 厚生労働省

■全国精神保健福祉センター:
各県、政令市にはほぼ一か所ずつ設置されている、保健・精神保健に関する公的な窓口です。精神保健福祉に関する相談をすることができます。精神科医、臨床心理技術者、作業療法士、保健師、看護師などの専門職が配置されています。相談については、予約制、健康保険の適応があるところがあります。詳細は、それぞれのセンターにお問い合わせください。

http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/mhcenter.html

全国の精神保健福祉センターを探すl 厚生労働省

■耳鼻咽喉科:
言語聴覚士がいるケースも多いですので、吃音の場合でも耳鼻咽喉科に行く場合もあります。特にお子さんが吃音の場合は耳鼻咽喉科をご選択ください。

■精神科:
心の症状、心の病気を扱う科です。心の症状とは具体的に不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などのことです。心の症状に対して治療を行います。

■心療内科:
心と体、それだけでなく、その人をとりまく環境等も考慮して扱う科です。上記の心の症状だけでなく、ほてり、動悸などの身体的症状とその人の社会的背景、家庭環境なども考慮して治療を行います。

精神科、心療内科どちらに行ったらいいか迷う方もいらっしゃるかもしれませんが、コミュニケーション障害の場合は精神科を受診しても、心療内科を受診してもどちらでも大丈夫です。

コミュニケーション障害の治療方法

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コミュニケーション障害の治療方法として投薬による治療法と、精神療法が主に挙げられます。

投薬に関しては現在研究中の段階であるため、コミュニケーション障害を直接的に治療する薬が処方されることはあまりないでしょう。

しかし明らかに精神的な問題によって、どもりなどのコミュニケーション障害の症状が出ているという場合は、気分安定剤、抗不安薬などを処方される場合もあります。

また、コミュニケーション障害のストレスによって発症する不安障害やうつ病などの二次障害には個々の症状にあった薬を処方されることがあります。

コミュニケーション障害の治療のための精神療法として、認知行動療法が挙げられます。認知行動療法とは物事の受け止め方や考え方である“認知”に働きかけ、こころを楽にする療法の一つです。

人間はストレスとなる出来事が起こると、それを認知し、認知が感情・気分や行動にも影響を及ぼすようになっています。認知行動療法では、認知を通して、人間の感情・気分と行動の両方にアプローチし、良い循環を起こせるように働きかけていきます。

コミュニケーション障害はストレスや不安により更に症状が悪化し、最終的に重度のコミュニケーション障害を抱えている人は社会との関わりを避けるようになる傾向があるといわれています。

そこで認知行動療法を行うことによって、コミュニケーション障害によって引き起こされるネガティブな感情やストレス、ことばを扱うことへの不安感を軽くすることを目指します。

また、子どものコミュニケーション障害の治療として言語能力を鍛えるために読書や計算問題を繰り返し解く方法も行われています。

https://junior.litalico.jp/personality/hattatsu/news/detail/communication003/

発達障害のある子どもに見られるコミュニケーションの特徴l LITALICOジュニア

まとめ

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コミュニケーション障害とは、人前でしゃべったり、人と会話したりするときに、自身が思った通りに話すことを苦手とする複数の疾患が一つにまとめられた総称です。

言語症、語音症、小児期発症流暢症(吃音)、社会的(語用論的)コミュニケーション症、および他の特定されるまたは特定不能のコミュニケーション症群が含まれており原因や治療法は様々です。

コミュニケーションは語彙の知識、認知や発声など多くの能力を必要とする行為です。上手く話すという基準は人それぞれであり、話すということにはその人の個性が出ます。話すということに対して、周囲と比べて過度に劣等感を感じたり、考えすぎたりするのではなく、自分に合った話し方を探していくと良いでしょう。

また、周囲の人も、「話し方はこうあるべき」という基準を押し付けず、その人の話し方と、自分の話し方の違いを尊重し合いながらコミュニケーションを試みて行きましょう。

しかし、話すことの抵抗感がとれず、日常生活や身体の調子に支障が出ているなどの場合は、早めに専門家に相談して、適切なサポートを受けることをお勧めします。

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