「親の体験が通用しない未来」に、子どもたちを送り出すための教育とは

「親の体験が通用しない未来」に、子どもたちを送り出すための教育とは

NPO法人コヂカラ・ニッポン / 『子ども教育の『パラダイム・チェンジ』〜イクボス式教育(仮称)とは!?〜』

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文:上川奈保(CHIENOWA)
昭和生まれの親vs現代社会。いまの「教育ミッション」に、自分の成功経験は時代遅れ!?
わが家には、育ち盛りの息子が2人いて、長男はいま9歳の小学校3年生です。ここのところ、しっかり自己主張しながらも(反抗とも言います)、学校や友だち間で社会的なルールも学びながら、本人的には嫌なことや面倒くさいことにも折り合いをつけて、学童ライフを楽しんでいるようです。

毎日それなりに楽しそうでお母さんは嬉しいぞ! と安心しつつも、自分が子ども時代を過ごした1980年代といまの日本では、あまりに環境が異なっているため、安心してばかりはいられません。それはITの発展、コミュニケーションツールの進化、グローバル化、家庭、地域社会の関係性など、何から何まで! そんな時代に子育てをする私たち親は、どんな環境を子どもに用意したら良いのか、何を重視した教育をすべきなのか、何に気をつければ良いのか……と不安に思うこともたくさんあります。

そんなときに、NPO法人コヂカラ・ニッポン主催の『子ども教育の「パラダイム・チェンジ」~イクボス式教育(仮称)とは!?~』というイベントを見つけました。コヂカラ・ニッポンは、「子どもは仕事や家庭の場で、大人の役に立つことで伸びていく」をモットーに活動中の団体です。子どもが企業の商品開発や地域のPR活動などに参画することで、「実社会で養う教育」と「企業や地域の発展」を推進しています。今回イベントに参加したいと思った理由は2つ。一つ目は、Facebookのタイムラインに流れてきたコヂカラ・ニッポンのイベント案内に、こんな共感できるメッセージがあったからです。

「親たちが未経験のことが待っている社会で、10代の子どもを持つ親として、どのように教育をしていけば良いか、糸口をさぐります」

地域活性化×子ども教育で、商店街にコヂカラ・ニッポンが出店したときの様子
教育面で見ても、ゆとり教育から脱ゆとり、さらに課題解決の力を求められる2020年の大学入試改革……と、この30年くらいの間で世の中が大きく変わってきています。そして、当事者である子どもたちは、激変の時代を生きることになります。

「いまある仕事のほとんどが人工知能の進化によってなくなる」とされる未来。それを見据えて、昭和育ちの親が、自立できるわが子を育てるミッションを遂げるのはとんでもなく大変だぞ、とメッセージを目にして思いました。母の子ども時代、学生時代のちょっとした成功体験はまったく役に立ちそうにありません。
「人は『社会の役に立つこと』で成長する。つまり、子どもの教育と部下育成の向き合い方は似ているんです」(川島さん)
参加した動機の二つ目は、「イクボス式教育」というキーワード。ビジネスの世界で注目されているイクボス(部下のワークライフバランスを考え、キャリアと人生を応援する上司のこと)というワードを、どのように「子どもの教育」に取り入れるのか、興味がありました。

イベントで登壇したコヂカラ・ニッポンの代表を務める川島高之さん。「『笑っている父親』を増やし、将来の日本社会に大きな変革をもたらす」というミッションを持つNPO法人ファザーリング・ジャパンの理事としても活動しており、企業、国家、自治体にて幅広く、イクボス、生産性向上、ワークライフバランスなどのテーマで講演活動を行っておられます。

川島さん:昔に比べて家事全般が便利になり、子どもが家庭で役に立つシーンが減少しています。「教育」の根幹は人や社会の役に立つこと。それによって成長や主体性を育むことができる。便利ないまの世の中だからこそ、子どもが人の役に立つシーンを意図的に作って、失敗する機会を与えることが大事。つまり、部下が組織や職場に役に立つようサポートする「イクボス」のあり方は、「家庭における子どもへの接し方」に置き換えることができるんです。

登壇中の川島さん
たとえば、事細かに指示命令して部下をコントロールする、仕事を任せない、部下を信じない上司では、部下は息苦しくなるし、主体性が育ちそうにありませんよね。この上司を「親」に置き換えてみると、もはや反省しかありません。こちらの都合や思い込みで、何かと押しつけたりしてしまったわが子よ、ごめんなさい……。

そんな、子どもへの一方的な押しつけではなく、主体性、自律性を伸ばすために用いるのが「イクボス式教育」。そのポイントについて川島さんは次のようにお話されました。

・ わが子が大切にしていること、夢に対して共感し、応援すること(たとえそれが親から見て些細なことやありえないことであっても)。

・わが子のチカラを信じて主体性を持たせ、育つのを待つこと(待つことさえできれば、教育は失敗しない。しかし、ついつい口を出してしまうので、待つことはとても難しい)。

・ 「好きなことをやっていい=自由」「やるべきこと、守るべきルール=責務」。この両軸を子どもに教えること。
人は人、わが子はわが子と、多様性を認めるだけでなく、その価値を口に出すことが重要
そして、私自身、今後の行動変容につながるような新たな気づきが「多様性受容」と「親が取り入れるべき知識」に関するお話でした。まず、多様性需要については、子どもに対する考え方、接し方を見直すメッセージをいただきました。

川島さん:「人それぞれ違いがあることが当たり前であり、ありのままの子どもを受け入れる」という、親の価値観を(子どもにも)伝えること。

すごくシンプルですが、ハッとしました。いままで自分の子どもにも、ほかのお子さんに対しても、「他人と比べてはいけない」「こうあるべきと押しつけてはいけない」という感覚は持って、実践していました。ですが、そこで終わらず、そういった価値観を「口に出して、きちんと子どもに伝える」ことの大切さが、このメッセージには込められているのではないでしょうか。一番身近な大人である親が、多様性を受け入れる価値観を持っていることを、子どもが知っているとすれば? きっと子どもは人生の多様な選択肢から、自分の歩みたい道を安心して選べるだろうと思いました。

当日の会場の様子
「たった一人だけの自分」は時代遅れ。「多様に変化する自分」を満喫することが、いまの生き方
また、コヂカラ・ニッポン理事の林田香織さんの多様性に関するお話もとても印象的でした。

林田さん:これまでの時代における自我は、「一つしかない自分」を意味していて、変化しないことが安定につながっていました。しかし、現代における自我は「多様な自分」です。場所や他人との関係性によって役割が変わる、いろんな自分がいる。多様な自分(=自分のなかの多様性)を子ども自身も親も許容することが大切です。反対に、たった一人の自分、自分はこうあるべき、という生き方は現代の社会ではとても苦しくなってしまいます。

登壇中の林田さん
子どもは成長するたびに、属するコミュニティーが多様化していきます。わが家にもいろんなタイプのお友だちが遊びに来てくれて、嬉しくて楽しいのですが、友だちによって息子の話し方や態度が変わったりするので、「キャラ変更!?」とギョッとするときも。

しかし、私たち大人でも、職場、家庭、多様な友人関係と、そのコミュニティーによって求められる役割も、望む自分のあり方も変わります。子どもたちにとってもまったく同じことで、どの顔もわが子の本当の姿として、ありのままを受け止めようと思いました。「多様なお友だちも大歓迎、多様なあなたも大好き!」というスタンスで、「あの家のお母さんは話がわかる!」と子どもたちに安心される存在でありたいです。
すぐに「イクボス式教育」を実践できるのは、現役ワーキングペアレンツのメリット
続いて、「親が取り入れるべき知識」のお話。ここで印象的だった、川島さんの言葉を紹介します。

川島さん:学校や教育において、子どもの置かれている現状や、これからの社会が求める人材像の知識を親がしっかりと持ち、対応できるようにしておくこと。

子どもは伸び伸び育てば良い、子どもの成長を信じ育つのを待つという一方で、親として子どもをいつでもサポートできるよう、外部環境をしっかり把握しておかねばいけない、と言います。当たり前のことなのですが、ついつい後回しにしていました。

コヂカラ・ニッポンの活動に参加中の子どもたち
多様性の受容、外部環境の把握……この2つの大切さは、もうビジネスの世界となんら変わりはありません。ふだんビジネスで実践していることを家庭でも実践する、それはワーキングペアレンツにとってはメリットで、頭を家庭に切り替えればすぐに取り組めます。まさに働いていることを活かせる機会ではないでしょうか。

10代の子どもと言えば、思春期を迎えることになり、聞くところによると親としてとても難しく大変な時期のようです。しかし、「イクボス式教育」を意識して、実践することで、不確かなことが多い現代社会のなかでも、子どもの成長を楽しみながら、ブレずに戦えるような気がしてきました。反抗などのさまざまな思春期の壁、よそ様にお詫びするようなことに出くわしたとしても、子どもとともに成長できる機会だという姿勢で臨み、子どもと親のチカラを、社会や組織のチカラに変換できるイクボス式教育を実践していきたいです。
イベント告知情報

『イクボス式教育 第1回フォーラム』
主催:NPO法人コヂカラ・ニッポン
開催日時:2017年2月24日(金)18:30開演(予定)
登壇者:立教大学 高橋俊之特任准教授 / ユニリーバ・ジャパンホールディングス島田由香取締役 / サイボウズ青野慶久代表取締役社長 / AERA浜田敬子前編集長 / ファザーリング・ジャパン安藤哲也代表理事、林田香織理事、コヂカラ・ニッポン川島高之代表
テーマ:「未来を担う人材育成と子ども教育」
※詳細、申込みは公式ウェブサイトをご確認ください
http://kodikara.org/?events=3708
プロフィール

上川 奈保(うえかわ なお)
クレディセゾン 戦略人事部。9歳と4歳の男の子のママ。

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