内閣総理大臣表彰の北都銀行が成功させた「女性が長く活躍できる職場環境作り」のヒントとは

内閣総理大臣表彰の北都銀行が成功させた「女性が長く活躍できる職場環境作り」のヒントとは

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女性が活躍できる職場環境を推進することを目的に、内閣府では役員・管理職への女性登用を積極的に取り組み、顕著な功績があった企業を表彰する『女性が輝く先進企業表彰』を設けました。今回訪れたのは、2014年度の第1回最高賞である内閣総理大臣表彰を受賞した北都銀行。なぜ同行が女性の管理職比率を引き上げ、働く女性たちの人材育成に成功したのか。女性活躍推進の第一人者、斉藤永吉頭取へのインタビューや、企業内保育施設の訪問で見つけた北都銀行の企業改革に迫りました。

取材・文:片貝久美子 撮影:豊島望
女性の活躍を積極的にサポートし、女性管理職・従業員比率を大幅に向上させることに成功
北都銀行の受賞は、共に内閣総理大臣表彰を受けたセブン&アイ・ホールディングスのほか、内閣府特命担当大臣表彰受賞のカルビー、資生堂、日産自動車といった並みいる大企業の中、地方企業の躍進として世間に少なからずの驚きを与えました。北都銀行が評価を受けたポイントは、次のようなものがあります。
● 女性管理職比率26.7%(2014年9月末時点)が銀行業界平均の約10%を大きく上回ったこと
● 女性従業員比率52.5%(2014年9月末時点)
● 企業内大学「HOKUTO Women’s College」の開設等、女性の人材を積極的に育成する制度の充実
このほかにも、子どもを持つ行員が安心して働くことができるよう、2011年に県内金融機関では初となる企業内保育施設「ほっくんキッズハウス」を設置したほか、2012年には女性による女性のための推進サポートチーム「RiSE」を発足するなど、女性の活躍を後押しする、様々な取り組みを行っています。

北都銀行本店から徒歩数分の場所にある「ほっくんキッズハウス」では現在、北都銀行グループ従業員の子ども15人、地域の子ども5人という計20人を保育士がシフト制で見ています。預かり時間は、フルタイムで働くお母さんたちにも余裕が生まれるよう朝7時〜夜7時に。取材当日、朝9時ごろにキッズハウスを訪れると、子どもたちの元気な声が聞こえてきました。園内には3つのプレイルームのほかキッチンも併設されており、毎日の食事やおやつを、アレルギーにも対応した手作りで提供。食事の内容や園で過ごす子どもたちの様子は、「きょうのデジカメ」として毎日園内の壁に写真を展示し、親御さんたちに報告をしています。

こうしたきめ細やかな対応に信頼を寄せている親御さんは多く、「ほっくんキッズハウス」を利用している北都銀行行員のお母さんは、「少人数で丁寧な保育をしていただけるので、安心して働くことができます。季節の行事や外遊びを充実させるなど、子どもにとってもいい環境が整っていると思います」と話してくださいました。

今の日本において女性の社会進出の妨げになっている要因は様々。特に子育て中の女性については、待機児童の問題や入園できてもお迎え時間の都合で時短勤務をせざるを得ないなど、子育てと仕事の両立が困難である場合が往々にして見られます。北都銀行の「ほっくんキッズハウス」のような取り組みは、女性が社会に出ていくために必要不可欠なものに違いありません。

「コンサルティングという新たなビジネスには、女性の感性や性格がマッチすると思ったんです」(斉藤頭取)
「ほっくんキッズハウス」に続いて私たちが訪れたのは、イオンモール秋田内にある北都銀行御所野支店。こちらの支店はインストアブランチ(ISB)といって、365日年中無休で夜7時まで営業しているのが特徴です。現在、北都銀行のISBは秋田県内に4か所あり、すべて女性が支店長を務めています。

従来の銀行といえば、「窓口営業は午後3時まで」「土日は休み」というのがお約束。この在り方を覆すISBの開設は、2008年7月に同行の頭取に就任した斉藤永吉氏の強い意向によって実現しました。その時の想いを頭取は次のように語ります。
斉藤:就任当時の弊行は、2007年ごろのサブプライムローンに端を発し、翌年にはリーマンショックが起こった影響で経営の根幹を揺るがすような状況でした。そのため、経営改革を行い、新しいビジネスモデルの構築が急務でした。そのビジネスモデルの一つとなったのが、「お客さまが集まるところに店を出す」という考えのもと開設したISBと、銀行と保険を融合させた「バンカシュアランス」です。
「バンカシュアランス」とは、銀行で保険を扱うビジネスのこと。2000年代初頭、欧米では保険加入者の約50%が銀行の保険に加入していたのに対し、日本では1〜2%程度でした。斉藤頭取はそこに着目し、新たなビジネスモデルとしてISBと共にセールスからコンサルティング業務の拡大へと大きく舵を切ったのです。女性の登用を更に推進し始めたのも同じ時期からでした。

斉藤:コンサルティング業務というのは、根気よく丁寧にお客様と向き合うビジネススタイルです。これには女性らしい感性や性格が非常にマッチするものだと思い、そこにもっと女性が活躍できる場があると考えました。
結論から言うと、斉藤頭取の思惑は大成功。今回お伺いした御所野支店は、約10年近く赤字が続いていたといいます。それが、ISB化とコンサルティング業務の実践により、あっという間に黒字に転換し、その後も順調に業績を伸ばしているそうです。

実際に支店へお邪魔してみると、店内は明るく開放的で、窓口で対応している行員も9割が女性でした。「各窓口のテーブルや待ち合いスペースに置かれている飾り物は、お客様がプレゼントしてくれたものです」と、それらを手に取り、嬉しそうに話す丸谷雅子支店長の笑顔が印象的です。また、窓口でお客様と世間話をしたり、お店の前を通りかかったお客様に声をかけるといった光景も見られ、行員とお客様とのコミュニケーションが密な様子も窺い知れました。斉藤頭取によると、「こうしたムードは、最初から漂っていたというわけではなく、ISBの行員が少しずつ創り上げていったもの」とのこと。
斉藤:昨年『女性が輝く先進企業表彰』で内閣総理大臣表彰を受賞したことは、行員達の更なる自信と成長に繋がりました。お客様からも店の明るさや行員の応対を褒めていただくことが多くなり、そうした声が行員にも伝わって自信が生まれたんだと思います。実はそれまで、私が支店を訪ねても、残念ながら目を合わせてくれる行員は少なかったんですが、受賞以降、お客様への応対と同じように、私に対して、行員のほうから元気よく「お疲れさまです」と声をかけてくれるようになりました。

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