カワイイをきっかけに、食を考える。キャラ弁研究家の秘めた想い。

カワイイをきっかけに、食を考える。キャラ弁研究家の秘めた想い。

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工作好きの女の子

東京都江東区で生まれました。幼稚園生の頃から、工作が大好きでした。友達が少なく、人付き合いがあまり得意ではなかったからです。小学校に上がってからも、放課後は友達と遊ぶより一人で何かをよく作っていました。

特に、「シルバニアファミリー」というドールハウスが好きでした。ミニチュアで遊んだり、粘土で家具を模写してみたりしましたね。変な実験も好きで、色紙を水に漬けてひたすら観察する。そんなこともしていました。おかげで手先が器用になった気がします。

中学からは越境して、別の学区の学校に通いました。それまでとは打って変わって、活発な性格になりました。テニス部に入り、友達とよく遊ぶ、まるで別人のようでした。

中学の友達は、引っ込み思案だった頃の私を全く知らないので、自分を出せるようになったんだと思います。テストでも良い点数を取ったりするとさらに自信がついて、「あれもやってみよう、これもやってみよう」とアクティブになりました。

高校では、姉の影響でチアダンスを始めました。姉は、チアダンスの全国大会で優勝するほどの実力。大会で踊る姿がカッコいいと思ったんです。競技志向の部活で、毎日汗と涙を流しながら過ごしました。練習の後は、Tシャツが絞れるくらいでした。

楽しいというよりも、もう必死でしたね。大会当日の、3分間のために365日の練習を積み重ねる。とにかく目の前のことを必死にやる。そんな感じでした。努力の結果、10人以下のスモールチームで全国優勝することができた時は、本当に嬉しかったですね。

作ったものを誰かと共有する喜び

部活を引退してからは、気持ちを大学受験に切り替えて、必死に勉強しました。ただ、将来のことはあまり深く考えていませんでした。負けず嫌いで、とにかく有名な大学に行きたいと思っていただけでした。

私は三姉妹の次女なんですが、いつも姉と妹とは比較されていました。心のどこかに、幼い頃から目立ったことをしないと親の愛情をもらえない。そんな気持ちがあって、姉妹には負けたくなかったのかもしれません。

受験では、志望していた学校に入ることができました。ただ、大学での目標がなかったので、勉強にはあまり熱心ではなかったですね。単位をいかに楽に取るかしか考えていませんでした。サークルや部活にも入らず、遊んでばかりいました。

夢中になれたのは、料理でした。当時付き合っていた彼氏に作ったのがきっかけです。

元々、料理は苦手でした。センスのかけらもなくて、クッキーなのにお砂糖を入れ忘れて、ただの小麦粉焼きを作ってしまうほど悲惨でした。明らかにまずいものを作っているのに、お美味しいと言ってくれる彼の姿に心が痛くて。これはいけないと思って、料理教室に通い始めました。

料理の基礎を学んでいくに連れ、少しづつコツを掴めるようになり、次第にコンテストでは表彰を受けるほどになりました。幼い頃、工作で鍛えられた手先の器用さが活きたんですよね。料理教室で表彰されたり、食品メーカー主催のお菓子コンテストで受賞したりし、企業とメニュー開発をするようになりました。自分が作ったものを誰かと共有できるのが嬉しくて、料理にどんどん夢中になっていきました。

大学2年生の冬に、彼氏とは別れました。大学生活はその人と一緒に過ごすことが多かったので、時間に余裕ができました。その時「この二年間私は大学で一体何をして来たんだろう?」という気持ちが湧いてきました。何もしていない。このまま大学生活を終えてしまって良いのか。そんな不安に駆られたこともありました。

就職活動のことを考えると、不安や虚無感でいっぱいでした。何もしてきていないので、どこにも就職できないんじゃないか。これからどうしていけばいいのか。そう思いながらも、アイディアは何も浮かばず、行動に移せませんでした。

お弁当箱を開けた瞬間の驚き

大学2年生が終わった春休み、漠然とした不安を感じながらも、ぼーっと過ごしていました。その頃、父の仕事が忙しくて、しばらく家に帰れない時がありました。そんな父のために、何か料理を持って行ってあげたいと思いました。

ただ、普段から家で料理をしていたので、普通の料理では面白くありません。何かインパクトがあるものを作って持って行きたいと考え、キャラ弁を作ることにしました。それまでキャラ弁なんて作ったことがなかったんですけど、やってみることにしました。

完成させたキャラ弁を会社に持って行くと、父も従業員の人たちもすごく喜んでくれました。動物型のおにぎりばかりでバランスは悪かったんですけど、開けた途端、従業員さんが、「カワイイ」と言いながら写真を撮ってくれました。食べる前の段階で喜んでもらえるのは新鮮でした。自分が作ったもので皆にハッピーが生まれるのが楽しくて、以来キャラ弁にハマっちゃまいましたね。

そのすぐ後に、お昼のテレビ番組「笑っていいとも!」でキャラ弁選手権をやっていると母から聞きました。コンテストに出る人を募集しているとのこと。「見るより自分で行っちゃた方が早くない?私も参加しみたい」と思い、数日後には新宿のスタジオアルタ前にキャラ弁を持って行き、オーディションに参加しました。

選考に勝ち残って、テレビに出ることになりました。まさか自分がテレビに映るなんて信じられなかったですね。本番でも優勝して、それからは「キャラ弁研究家」という肩書でメディアに出るようになりました。

時には、食とは関係ない番組にも呼んでいただき、タレントのようなこともしました。この先もこれだけで食べていけるとは到底思えませんでしたが、とにかくキャラ弁研究家として実績を積んでいきたいと思っていました。

身体を壊して身に沁みた食の力

大学3年生になり、就活をスタートさせました。経営者の父の姿を見ていたので、何となく将来は自分で会社をやりたいと思っていましたが、明確なやりたいことがなかったためまずはどこかに勤めようと思っていました。食に関わる会社を中心に回り、第一志望だったベンチャー企業は、最終面接まで進みました。

でも、面接後に行われたグループディスカッションで不採用になりました。協調性が欠けていたからです。ショックでしたね。これまで、自分ひとりで突き進むことが多すぎたと反省させられました。その時は、将来自分で会社をやりたいと思っていたので、経営者として働くには協調性が必要だと思いました。それまで、どちらかというとリーダーなどを人を引っ張る役割をやることが多かったのですが、誰かのもとで働く経験はほとんどない。人と働くことを学ぶために会社勤めをすることが必要だと改めて思いました。最終的に就職したのは食品メーカーでした。

仕事を始めてからも、並行してキャラ弁研究家としての活動も続けました。ただ、社会人生活に慣れるので精一杯で、最初のうちはほとんど何もできませんでした。仕事が忙しくなり、疲弊していき、終いには身体を壊して何もかもが立ち行かなくなってしまったんです。これからの人生どうしようかと思いました。

体調を崩したことで、あらためて食の大切さを実感しましたね。忙しくて、食べるものも添加物だらけのファストフードばかり。ご飯を食べられなくなったりしていたことも、体調を崩す原因でした。

周りにいる同世代の友達を見ても自分で料理を作る人はいませんでした。外で食べるものがすべて悪いわけではないものの、添加物とか身体に良くないものもあります。何とかキャラ弁を通じて、食の大切さを伝える活動ができないだろうかと考え始めました。

カワイイを入り口に料理へ興味を

現在は、食品メーカーで働きながら、キャラ弁研究家としても活動をしています。メディアに出てキャラ弁を紹介したり、教室で作り方を指導しています。最近では、アジア圏を中心に海外の方にキャラ弁づくりを教える機会も増えてきました。

すべての活動の根幹に、「食に触れる人に、もっと楽しんでほしい」という気持ちがあります。楽しむことがないと続きません。まずは食を楽しんでもらって、その次に知識をつけてもらい、正しい食の習慣を作ってもらえたらと思っています。

キャラ弁を通じて、食のことを考えるきっかけを作りたいんです。料理をしない人に、カワイイをきっかけに食に興味を持ってもらい、食育につなげていけたらと願っています。

原宿とかでポップコーンやパンケーキが流行ったのは、食べたいという気持ちだけではないはずです。若い女の子って、見た目のインパクトも大事にしています。フォトジニックなもの、SNSに上げたいと思えるものが大好きですから。

キャラ弁は、カワイイ見た目で人を惹きつけることができます。食に興味を持ってもらい、食育につなげるには良いきっかけになると思うんです。もちろん、毎日キャラ弁を作ってほしいわけではありません。気が向いた時だけでも良いのです。大切なのは、普段自分が何を食べているのかを意識すること。自分が何を口にしているのか知ってもらい、できれば手作りのものを食べる習慣をつけてほしいのです。

他にも、外国人の方向けのキャラ弁ワークショップにも力を入れていきたいですね。キャラ弁は、日本の伝統的なお弁当文化と、最近のカワイイ文化が組み合わさったものです。2020年の東京オリンピックに向けて、日本への注目度はますます高まってきています。キャラ弁を通じて、日本文化を発信できたら素晴らしいと思っています。

これから先も食に関わる仕事をしたいと考えています。ただ、学生時代に食に関する専門的な勉強をしたわけでもないので、勉強や体験を通してしっかりとした知識もつけたいですね。その上で、カワイイや楽しいを源泉に、食への関心をもっと多くの人に持ってもらえるような活動ができたらと思い描いています。

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