ワンコインの子育てシェア「AsMama」 預ける側と預かる側の幸福な出会い

ワンコインの子育てシェア「AsMama」 預ける側と預かる側の幸福な出会い

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「お迎えの時間に間に合わない」「週末、夫婦揃って仕事が入ってしまった」。こうした、子育てをしていたら必ず起こる「困った」を、地域の顔見知り同士で、しかもワンコインから頼り合えるという「子育てシェア」。この画期的なサービス「AsMama」の連載を数回にわたりおこなっていきます。初回は代表取締役・甲田恵子さんと、実際にAsMamaで活躍しているママサポーター2名による座談会です。会社設立前は、自らも娘を育てながらバリバリのキャリアウーマンとして働いていた甲田さんは、なぜ「子育てシェア」の立ち上げに取り組んだのでしょうか。ママサポーターの冨田真奈美さん、武田佳代子さんをまじえて、「子育てシェア」とはどういうものなのかを教えていただきました。

取材・文:片貝久美子 撮影:豊島望
プロフィール

甲田恵子(こうだ けいこ)
1975年大阪府生まれ。フロリダアトランティック大学留学を経て、関西外語大学英米語学科卒業。1998年、省庁が運営する特殊法人環境事業団に加わり、役員秘書と国際協力関連業務を兼務する。2000年、ニフティ株式会社入社。マーケティング・渉外・IRなどを担当。2007年、ベンチャーインキュベーション会社、ngi group株式会社に入社し、広報・IR室長を務める。2009年3月退社。同年11月に子育て支援・親支援コミュニティ、株式会社AsMamaを創設し、代表取締役CEOに就任。著書に『ワンコインの子育てシェアが社会を変える!! 』(合同フォレスト刊)『子育ては頼っていいんです~共育て共育ち白書』(神奈川新聞社刊)がある。
http://asmama.jp/


冨田真奈美(とみた まなみ)
神奈川区在住。2歳と0歳の2児の母。保育士資格所有、1人目出産前まで保育園に勤務。我が子を育てることを最優先にしつつ、子連れワーク可能なママサポーターとして地域の子育て支援活動に携わる。

武田佳代子(たけだ かよこ)
磯子区出身、都筑区在住。3歳の娘を持つ母。チャイルドマインダー、ベビーマッサージタッチケアセラピスト、食育の資格保有。湘南モールフィルとAsMamaが協働する交流イベントや、都筑区で自主開催する交流会を通じて、気軽に頼れる子育て環境作りに励む。
子育て中の家族を地域の人たちが支えられる仕組みを作らないと、子育てしながら働ける女性がいなくなるなと思ったんです。(甲田)
―甲田さんは2009年にAsMamaを立ち上げました。きっかけは何だったのですか?

甲田:前職を辞めた後、次の仕事先を決める前に職業訓練校に行ったんです。そこには「ちょっと助けてくれる人がいたら仕事を辞めなくて済んだのに」という方や、逆に「自分の経験や知識を生かして誰かの役に立ちたい」と思っている方が、たくさんいらっしゃって。けれど、その人たちが出会うきっかけもなければ、頼り合える仕組みもなくて、その人たちを繋げたいと思ってAsMamaを立ち上げました。当初はペットの散歩や起業支援、買い物代行といったいろんなことをおこなっていて、子育て支援に特化したのは2013年になってからですね。

AsMama代表 甲田恵子さん
―頼りたい人だけではなくて、「役に立ちたい」という思いを持った人にも出会えたことが大きいのですね。子育て支援に絞ったのはなぜだったのでしょう。

甲田:女性が子育ての負担を負うことで離職してしまったり、それによって世帯収入が減ったために2人目や3人目を産むのを躊躇したり、男性も家計を支えるために残業を増やしたり……。すべてが悪循環になっていくのを見たときに、子育て中の家族を地域や周りの人たちが支えられる仕組みを作らないと、子育てしながら働く女性がいなくなるなって思ったんです。それでお母さんたちが今すぐ頼れて、頼られるほうも負担なく、楽しく、自分の経験や時間を生かして社会を良くすることに参画できる「子育てシェア」を始めることにしました。

―インターネットやSNSによって、「シェアする」という感覚は浸透してきましたが、「子育てシェア」というのは画期的ですよね。具体的にはどういったものなのですか?

甲田:子育てをしていると、ちょっとの時間でいいから預けたいなと思うことがたくさんあります。そんなときにサイトからSOSを発信すると、都合のつくAsMamaで研修受講済みのママサポーターや、予め子育てシェア内で繋がっておいた友達の中で都合のつく人が預かってくれるというものです。登録料や手数料は一切なく、利用者が払うのは1時間500〜700円の謝礼だけ。やっぱり、お友達やご近所さんに子どもを預かってもらおうとすると、どうしても気兼ねしますよね。かといって、高い金額だと気軽に利用できません。なので、そこは負担の少ない価格で謝礼を設定し、またお預かりするママサポーターや友達側にも、万が一何かあったときのための保険を会社として適用するなど、共助が広がりやすい仕組みになっています。そして、この子育てシェア最大の特徴としては、「子どもが知っている人」に預けるということ。

―それは絶対条件ですか?

甲田:絶対です。私の娘が今10歳なんですけど、小さい頃、私も一般企業に勤めていてベビーシッターや二重保育などを散々使ったんですよ。そんなときに娘に言われたのが、「どうして私のことを知らない人のところに置いて行っちゃったり、知らない人がおうちに来るの?」「知らない人と一緒に過ごすのは怖い」って。逆に、仲良くなったママサポーターの家に預けると、「大丈夫かな?」と電話をしても、電話口に出てこないぐらい楽しんでいたりして(笑)。私にしてみたら、教育大学を出た人とか託児時間に英語を教えてくれる人とか、良かれと思って選んだ人でも、子どもにしてみたら関係ないんですよね。なので、AsMamaの子育てシェアでは「知っている人」を前提としています。
私がママサポーターを始めてから、何より子ども自身が変わりました。(武田)
―冨田さんと武田さんはママサポーターとしてご活躍中とのことですが、ご自身も小さいお子さんを抱えながらどうしてママサポーターになろうと思ったのですか?

冨田:出産前、私は保育園で働いていたんですけど、そのときに電車の遅延や急な残業などで時間通りに迎えに行くのが難しい人がたくさんいる現実を知っていたんですね。自分が出産して子どもを送迎する身になったとき、保育園が家の近くだったこともあり、自宅から徒歩圏内でいいならママサポーターとしてお手伝いできることがあるんじゃないかと思ってやることにしました。

ママサポーター 冨田真奈美さん
武田:私の場合は、子どもを産んだ後、家にずっと二人きりでいるのが辛くて……。どうにかして楽しく子育てをできないかな? と思ったときに、最初は子どもを一時保育に預けることも考えたんです。でも、保育園の一時保育は30分700円と高めで使いづらくて。そんなときに子育てシェアのことを知り、私と同じように預けるのを躊躇している人たちのお子さんを預かったら、自分と子どもの二人だけの子育てよりも楽しいかもって思ったんですよね。しかも、それでちょこっと謝礼をいただけるのなら万々歳だなって(笑)。

ママサポーター武田佳代子さん
―子どもと二人きりだと辛いけど、他の子も一緒なら楽しくできそうという発想の転換が素晴らしいですね。実際に預かってみていかがですか?

武田:私の辛さが減ったのはもちろん、何より子ども自身が変わりました。私がママサポーターになる少し前から幼稚園のプレ保育に通い始めたんですけど、最初はすごく泣いて預けるのも大変だったんです。それがママサポーターの活動を始めてからは、ママのところに誰かが来るのも普通だし、自分がどこかに預けられるのも普通だというように考えが切り替わったらしく、ある日突然泣かなくなったんです。あと、幼稚園の先生からは「他の子に比べて順応性が高い」って言われて。もしかしたらママサポーターの活動と関係があるのかなって思ったことがありました。

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