本当に時間に追われてる?働くパパママをイライラから守るマインドフルネス入門

本当に時間に追われてる?働くパパママをイライラから守るマインドフルネス入門

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2007年にGoogle社が社員のストレスを軽減し、生産性やクリエイティビティーを高めるために導入して話題になった「マインドフルネス」。瞑想などを通して集中力を高め、「今ここ」に意識を向けるこの考え方は、もとを辿れば1970年代に主に医学の分野で活用されていましたが、現在では仕事や生活の質の改善に役立てる動きが広まっています。

そうしたマインドフルネスのメソッドは、育児と仕事の両立をおこなうワーキングペアレンツにも有効なのでは? という仮定のもと、マインドフルネスを用いたリーダーシップ開発や人材開発を提供する「一般社団法人 マインドフルリーダーシップインスティテュート」の代表理事を務める荻野淳也さんを迎え、全3回にわたってその答えに迫ります。第1回目となる今回は、ともに2歳の子どもを持つクレディセゾン・石附拓馬、會田志保も同席し、ワーキングペアレンツに有効なマインドフルネスについて荻野さんに語っていただきました。

取材・文:片貝久美子 撮影:豊島望
プロフィール

荻野淳也(おぎの じゅんや)
一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事。株式会社ライフスタイルプロデュース代表。リーダーシップ開発、組織開発の分野で、上場企業からベンチャー企業までを対象に、コンサルティング、エグゼクティブコーチングに従事。外資系コンサルティング会社、複数のベンチャー企業でのIPO担当や取締役を経て、現職。「企業課題の多くは、リーダーの在り方に起因しており、リーダーが本質的な変容を遂げれば、組織全体が自ずと改善、問題解決に向かう」が持論。マインドフルリーダーシップの概念をいち早く日本に紹介し、Google社で生まれた能力開発メソッドSearch Inside Yourselfのパブリックプログラムを日本初開催する。マインドフルネス、脳科学、ストーリーテリングなどの概念、手法を取り入れ、組織・リーダーの成長、変容を支援し、企業全体の変革を図っている。5月17 日には監訳を務めた日本語版の『サーチ・インサイド・ユアセルフ』(英治出版)を出版。2016年10月にもSearch Inside Yourselfのパブリックプログラムを開催予定。5歳女児の父。

一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート
http://mindful-leadership.jp/
株式会社ライフスタイルプロデュース
http://lifestyle-pro.jp/
アメリカ人の約半分の人が「今」に集中していないというデータがあるんです。(荻野)
―まずはじめに、マインドフルネスがどういった思想なのかを教えてください。

荻野:マインドフルネスがどういう状態か? という定義の一つに、「『今ここ』に意識を向けた状態」というものがあります。調査によると、アメリカ人の約半分の人が「今」に集中していないというデータがあるんですね。例えば、過去に起きた出来事が気になっているとか、逆に未来のことを不安に思っているとか。石附さんや會田さんも、例えば会議で自分が発言する番が近づくと資料を見てしまい、発言者の話を聞いていないなんてこと、ありませんか?

石附(クレディセゾン):おっしゃる通りですね(苦笑)。

荻野:それはつまり、「今ここ」に集中していない状態なんですよ。もともとマインドフルネスは仏教の「八正道」の一つである「正念」から派生した考え方で、1970年代にマサチューセッツ大学医学部のジョン・カバット・ジン教授がうつの予防や治療に応用し、かなりの効果が出たことが世界的に広まるきっかけになりました。

荻野淳也さん
―宗教的要素を除いて、効果のみを抽出したのがマインドフルネスというわけですね。

荻野:本来的には仏教の伝統的な教えとしてのマインドフルネスがあるのですが、私たちがビジネスの世界でお伝えしているのは、宗教的な要素を除き、科学的に検証されたマインドフルネスです。そういった科学をベースにしたマインドフルネスは、70〜80年代は主に医学の分野で成果を上げていき、やがてスポーツやビジネスの世界にも応用されるようになっていきました。最近ではテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手が「自分はマインドフルネスを実践して、ナンバー1を維持できている」と明言していますし、野球のイチロー選手も、マインドフルネスとは言っていないものの、試合が始まる前の30分間は必ず瞑想すると言われています。成果を出すことにシビアな世界の人は、わりとマインドフルネスを取り入れていることが多いんですよ。

―マインドフルネス=瞑想と捉えていいのでしょうか?

荻野:そういうわけではなくて、「『今ここ』に意識を向けた状態」を習得するために一番手っ取り早いのがメディテーション(瞑想)ということです。それ以外にも方法があって、例えばランニングしているときなんかはまさに意識を「今ここ」に向けている状態ですよね。そうやって心と頭がクリアになったときに、自分の内面から立ち上がってくる感情や考えに「気づく」ことがマインドフルネスだと言われています。その上で、「評価・判断」を手放すということも大事なポイントなのですが……口頭で説明してもわかりづらいと思うので、試しに少しやってみましょうか。

石附會田(クレディセゾン):ぜひお願いします。
自分にとって最適な状態って、本当は自分で選択することができるんです。(荻野)
荻野:それでは、いくつかある方法の中から簡単にできる基本的なマインドフルネスワークを紹介します。まず、姿勢は背筋を伸ばす感じで、手を太ももの上に置き、目を閉じてください。最初に鐘を鳴らすので、その音が消えるまで音に集中してみましょう。

石附會田(クレディセゾン):……。

左から會田志保(クレディセゾン)、荻野さん、石附拓馬(クレディセゾン)。取材中、筆者も一緒にマインドフルネスワークを体験
荻野:そして今度は呼吸に集中してみてください。鼻から吸って、鼻から吐く。普段、私たちの呼吸は緊張感などから浅くなりがちですが、ここでは深く息をすることに気をつけて、その呼吸の流れに意識を集中してください。そうすることで心が落ち着いてきますので、そのままリラックスした状態を楽しんでみましょう。……いかがですか?

―私は部屋の空調の音が気になるなぁと思いました。あとは、お腹が減ったなぁとか(笑)。こういう感じでいいのでしょうか?

荻野:その状態がすごくいいんですよ。先ほど、マインドフルネスとは「心と頭がクリアになったときに立ち上がってくる気づき」とお話ししましたよね。今気になったエアコンの音は、実はこの部屋に入ったときからずっと鳴っています。でも僕たちと話していたときにその音に気づいていたかというと、きっと気づいてないんですよね。「何もしない」ということを積極的におこなうことで、気づきが立ち上がってくるんですね。

―なるほど。會田さんはいかがでしたか?

會田(クレディセゾン):私もお腹空いたなぁって(笑)。あとはやっぱり仕事のことですね。お昼の後は何時までに何をしなきゃいけないんだっけ? とか、今日やるべきことが浮かんで全然集中できませんでした。

荻野:それもマインドフルネスなんですよ。マインドフルの状態のときに立ち上がってくるものの一つに、普段の自分の思考のクセがあります。會田さんはもしかしたら、普段から常に「次は何をしよう」とか「何時までに何を終わらせなきゃいけないか」を考えているんじゃないでしょうか。それによって心がワサワサしてストレスが溜まってる。

會田(クレディセゾン):たしかに……。そのとおりだと思います。

荻野:ストレスが溜まるのは、「仕事を終わらせなきゃいけない」「子どものお迎えに行かなきゃいけない」など、どこかに本来すべきことができてないといった「評価・判断」が入ってしまっているからなんですね。でも考えてみてください。そういったことを気にしながら仕事をしようが、「今ここ」にある仕事だけに集中しようが、一緒だと思いませんか? むしろ、成果が上がりそうなのは後者ですよね?

會田(クレディセゾン):……!

荻野:僕はよく、自分にとって最適な状態は何ですか? と訊くんですけど、その状態って本当は自分で選択することができるんです。會田さんのように、「何時までに何を終わらせなきゃ」と考えながら仕事をすることもできれば、目の前のことだけに集中してもいいし、極端な話、「今日は帰っちゃおう」という選択肢もある。たくさんの選択肢がある中で、どこに意識を向け、どれを選択するかで自分の環境が大きく変わってくるんです。ベストな選択をしなくてもいいから、まずは選択肢があることを知って、自分で選ぼうとすることが大切なんです。

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