女性活躍推進に成功した北都銀行。そのカギは女性行員のマネジメント力と覚悟にあった

女性活躍推進に成功した北都銀行。そのカギは女性行員のマネジメント力と覚悟にあった

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秋田県に本店を構える北都銀行は、内閣府による「女性が輝く先進企業」において最高賞である『内閣総理大臣表彰』を2015年1月に受賞しました。女性管理職比率26.7%(2014年9月時点)が銀行業の平均値10%を大きく上回っていること、女性サポートチーム「RiSE」の発足、女性行員向け企業内大学「Women’s College」の開設などが評価されての受賞だったそうですが、注目したいのは、これらの取り組みの多くが現場で働く女性たちによって企画・運営されているという点です。

男性組織というイメージの強い銀行において、女性がキャリアアップの道を拓くにはさまざまな困難があったことでしょう。また、前例のない中で立ち上げ、継続していく過程には、今まさに推進活動を実践している企業にとっても多くのヒントが隠されているに違いありません。

そこで今回は、「RiSE」発足時のメンバーの一人であり、現在御所野支店の支店長を務める丸谷雅子さん、北都銀行人事部 女性活躍推進室室長の佐藤千穂子さんにお越しいただき、それぞれの経験から企業における女性活躍推進のコツを教えていただきました。

取材・文:片貝久美子 撮影:豊島望
プロフィール

丸谷雅子(まるや まさこ)
北都銀行 御所野支店 支店長。1987年に入行し、女性個人渉外の先駆けとして活躍。2006年に秋田駅前支店 支店長代理、2010年に泉支店 次長に就任。2012年に御所野支店 支店長となり、現在に至る。プライベートでは1996年に結婚し、夫と二人暮らし。

佐藤千穂子(さとう ちほこ)
北都銀行 人事部 女性活躍推進室室長。1996年に入行。営業店・人事部研修担当などを経て、2007年に秋田西支店 支店長代理、2012年に秋田北支店 副支店長、2013年に広面支店 支店長を務め、2014年に女性活躍推進室創設とともに室長就任し、現在に至る。2001年に結婚、夫・娘(小5)と三人暮らし。
政府が動き出すより前に女性推進チームが発足され、当時の女性行員のほとんどが企業方針に戸惑っていましたね。(佐藤)
―北都銀行では2012年に女性による女性のための推進チーム「RiSE」を発足しましたが、立ち上げのきっかけは何だったのでしょうか?

佐藤:「RiSE」発足2か月前に頭取(斉藤永吉氏)が「Plan30」という方針を表明し、それを受けての立ち上げでした。「Plan30」は2018年3月31日までに、女性管理職比率を30%まで引き上げることを宣言したものですが、当時、行員たちの中では動揺があったんです。今のように女性活躍が叫ばれている時期ではありませんでしたし、政府が「2030」(2020年に女性管理職の比率を30%にする取り組み)を大きく謳いだしたのも「Plan30」より後のことでしたから。頭取の表明に対し、本来の女性活躍の意義よりも、数字のインパクトだけが残ってしまい「いきなり30%と言われても……」「どうして急に女性が!?」といった気持ちが心のどこかにあって、おそらく女性行員のほとんどがもやもやしていたと思います。そんな時に人事部の呼びかけもあり、営業店の女性行員が中心となって「RiSE」が発足したんです。

御所野支店 支店長の丸谷雅子さん(左)、人事部・女性活躍推進室室長の佐藤千穂子さん(右)
―メンバー構成や活動内容はどういったものだったのでしょう?

佐藤:メンバーは女性支店長を含めた8名で、第1期メンバーには丸谷支店長も入っていました。「RiSE」のメンバーは交代制で特に任期は決めず、自分たちで決めたアクションプランが達成できたところで代替わりするようになっています。発足当時の2012年から数えて今は3期生が活動中です。

丸谷:そもそも「何から始めたらいいのか?」というところからのスタートだったので、最初は何もまとまらず、集められた私たちも悶々としていましたね。女性ってどうしても自分に自信がないというか、一歩下がる傾向があるので、我々がもっと外的な刺激や教育を受けなきゃいけないということに、意見を出しあう中で気づきました。例えばファシリテーターの研修だったり、取引先である介護施設の施設長にお話をうかがったり、銀行の外からのお話をいろいろ聞きましたね。そこから今すぐできること、共有できることを少しずつ見つけ出し、まずは女性の役席を集めて地区別セミナーを行いました。

佐藤:そうでしたね。私は参加する側でしたが、役席になる年代って、部下育成やこれからの自身のキャリアなど、行員の中でも一番悩みの多い世代です。セミナーで同じ立場の女性たちと意見を共有したり、女性陣の先頭を走っているRiSEメンバーから女性活躍の必要性、自らの体験談、心構えなどについて話してもらったことは、大変参考になりました。

丸谷:地区別セミナーでは日常的な悩みを共有しつつ、そこから何を課題にしていくかを段階的に話し合っていきました。それから、役席だけでなく一般行員にも広く参加を呼びかけるようになりました。当然のことながら、みなさん普段の業務を持ったまま自己啓発的に集まるので、セミナーが定着するまでは大変でしたね。頻繁には開催できないものの、少しずつ進めていきました。

―2014年2月には女性行員向け企業内大学「Women’s College」を立ち上げられましたが、これも「RiSE」から派生したものだったのでしょうか。

佐藤:「Women’s College」は女性の挑戦意欲向上と新たな強みを作ることを目的に、設立しました。「RiSE」の2期メンバーにも参加してもらい、ファシリテーター役を務めてもらうなど、多角的なアドバイスをしていただきました。そういう意味でも、「RiSE」は当行の女性活躍推進に大きな影響を与えてくれたと思っています。
女性行員のネットワークが広がることで、女性たちの中にも「覚悟」が生まれてきました。(佐藤)
―「RiSE」が発足してまわりの女性からはどのような声が上がりましたか?

佐藤:よく言われるのが、行員同士のネットワークが広がったということ。銀行の行員は各支店で働いていますから、一斉に集まることはあまりないんですね。地区別セミナーを開くといろんな支店から年代も違う行員が集まるので、ネットワークの構築が計られるようになりました。

丸谷:「RiSE」や「Women’s College」を行うことによって、女性行員同士のネットワークが広がるのはもちろん、それに参加する女性を男性支店長が応援する動きも見られるようになりました。間接的な関わり方をしている人も含め、銀行全体のコミュニケーションという面でもだいぶ変化がありましたね。

―「RiSE」が発足される前と後で、男性行員の気持ちに変化はありましたか?

佐藤:そうですね。以前は銀行の慣例で、男女の業務に棲み分けができてしまっていたんです。例えば、窓口で、お客さまからの預金や振込みなどの応対をしているのが女性で、融資業務を担当するのが男性といった具合です。「RiSE」の話し合いでも、女性が融資業務に不安を抱えていることが、ステップアップしていく上でのウィークポイントになっているという話が出ました。なので、私が参加した2期メンバーの時には、そういった業務面の不安をもっとバックアップできないかと、融資の基本を学ぶ勉強会を開催したんです。すると、最初は女性行員だけが集まる会でしたが、男性行員も参加し始め、講師も男性支店長にお願いしたりと、男性と女性が一緒に学び合うという相乗効果が生まれました。

―男性行員の協力もあって、女性が活躍できる企業文化ができていったんですね。

佐藤:はい。また、女性の支店長や管理職が増え、キャリアを形成している女性行員と接する機会も増えたことで、女性たちの間にいい意味での「覚悟」が芽生えてきているような気がします。私たちが入行した時は、自分が支店長になるなんて考えたことがなかったんですけれども。

丸谷:支店長どころか、役席になるっていうイメージもありませんでしたね。一般行員のまま、細く長く働ければいいなと思ってました(笑)。

佐藤:そうですよね(笑)。それが今では、自分も上に上がっていくかもしれないという意識を持つようになったといいますか。キャリアアップを意識することで、今の自分に何が足りないのかを考えるようになりました。女性は役職を与えられると、「やるしかない」と腹をくくるタイプの人が多いみたいですね。

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