相続対策に賃貸アパート経営ってどうなの?

相続対策に賃貸アパート経営ってどうなの?

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2015年1月1日に相続税の税制改正(事実上の増税)がされて以来、「相続税対策には不動産投資が有利!アパート経営をしませんか?」といった、新聞広告や営業電話を受けた方も多いと思います。たしかに、現金で1億円を保有している親が亡くなると、1億円全額が相続税の課税対象になりますが、1億円で売却できる賃貸アパートを所有している親が亡くなっても、1億円全てが課税対象になることはありません。
そこで今回は、相続対策を始める時期および賃貸アパート経営のメリット・デメリットについてお伝えします。

■そもそも、相続対策はいつから考えるべき?

相続対策が必要かな?……と思ったら、まずは専門家に相談してみましょう!
相続対策をするうえで最初に必要なことは、「資産の棚卸し及び相続財産の総額を把握すること」「誰が相続人になるのかを把握すること」です。(たとえば、何十年も前に取得した「田舎の土地」も資産になりますし、「前妻との子」や認知した「隠し子」も相続人となります。)概算でも問題ありませんので、不動産や金融資産などがどれくらいあるのかを調べて、遺産総額を把握することが大事です。

自分の財布の中に現金がいくら入っているのかが分からないと、買い物に行っても不安ですよね。実際に、相続財産の整理→評価を行って、財布の中身を把握して下さい。財産のなかには、不動産や自社株など、換金性の低い資産があるかもしれません。したがって、相続税額を計算して、納税資金の準備ができるのかをまず確認する必要があります。相続財産に占める不動産の割合が高く、納税資金が現時点で準備できない場合は、生命保険に加入したり、延納や物納など納税方法について早くから考えておく必要があります。

■家族にはどのように伝えるのが良い?

そうはいってもやはり、相続対策となるとなかなか話しづらかったりしますよね。では、家族にはどのように伝えれば良いでしょうか?

ご自身が持つ資産の相続対策であれば、自分で考えれば解決するでしょう。
一方、「ご両親の資産を子ども世代に相続」となると、両親・兄弟姉妹・兄弟姉妹の配偶者……と、登場人物が一気に増え、その分色々な希望(エゴ)が噴出してもめるケースが多々あります。よって、ご両親が元気な間に、親子間・兄弟姉妹間である程度の方向性を固めておくほうが良いでしょう。
夏休みやお正月に家族が集まった際、「最近、相続でもめている人が多いけど、我が家は大丈夫?」と切り出してみてはいかがでしょうか?ご両親からすると、「自分が死んだ時の話しなんて……」とあまり乗り気ではないかもしれませんが、「残された兄弟姉妹が、仲良く円満にやっていくため」ときちんとお話しすれば、理解は得られるはずです。
実際に、「相続でもめて絶縁状態」というご家族は、とても多いのです。

■賃貸アパート経営は相続対策に有効?

ここからは、実際に賃貸アパート経営が相続対策として有効であるのかについて触れたいと思います。

結論からいえば、有効です。
冒頭でもお伝えした通り、同じ1億円の資産でも現金や有価証券は1億円で相続財産として評価されますが、アパートにはさまざまな評価額減額制度があり、相続税を下げる(節税する)ことが可能です。とはいえ、中身は不動産投資ですから「不動産特有のリスク」も存在します。
では、メリット・デメリットをみてみましょう。

【賃貸アパート経営のメリット】

1.土地の評価額が下がる

相続税対策としてアパート経営をする第一のメリットは、土地の評価額が下がることです。アパートの敷地は、貸家建付地となります。「貸家=第三者が住んでいる」ので、借家権が発生し、自由に処分ができないことから、2割程度評価額が下がります。

2.建物の評価額が下がる

アパートを建築するときは、建設会社に建築費を支払い、アパートを取得します。したがって、建築費から建物の評価額を引いた差額は評価減になります。建物の相続税の評価額は、固定資産税評価額からさらに借家権を控除したものになります。なお、固定資産税評価額は、建築費のおよそ7割程度といわれています。

3.小規模宅地等の評価減が使える可能性がある

不動産相続の「節税効果No.1」は、小規模宅地等の評価減です。これは、親が住んでいた自宅を子どもなどが相続する場合に、相続税が支払えず売却したため住む場所が無くなる……といった事態を避けるために、240㎡までは評価を80%減額できる制度です。この条件に該当する土地が無い場合、アパートの敷地は「事業用の土地」として、200㎡まで50%減額できる可能性があります。

【賃貸アパート経営のデメリット】

1.流動性が低い

現金や有価証券と異なり、不動産は短期間に売却することが困難です。急いで売却しようとすると、買い手から足元をみられ、安値で買いたたかれるのがオチです。また、高額ゆえに、ローンの抵当権抹消手続きや相手方(買い手)のローン審査など、売買手続きにも時間がかかります。

2.金利上昇・家賃滞納・空室・賃料の下落・災害リスク

一般的に、多額のローンを活用して投資する不動産投資は、少しの金利上昇でも収益バランスが狂ってしまいます。また、「近所に大学や工場があるから大丈夫!」と事前にいわれていても、長い年月が経つにつれ学校や工場が移転してしまうこともあります。
これらのリスクを軽減してくれるのものとして、サブリース(一括借り上げ)や満室保障というものがあります。ただし、契約書をよくみると、一定期間後の契約内容の見直しが記載されており、空き室が多く家賃を下げないと入居者が決まらない物件に関しては、契約の打ち切りや保証賃料の大幅な引き下げが生じるといったことは日常茶飯事です。

3.細かく分割ができないため、相続財産として不向きな場合も

不動産は、分割に不向きな投資商品です。たとえば、亡くなった親から時価1億円のアパートを相続した場合を考えてみましょう。遺産分割のためには、アパートを売却して現金化した後に売却代金を分け合うか、アパートを相続する1人が残りの相続人に遺産分の現金を用意しないと、円満な相続にはなりません。(相続人が1つの不動さんを分割所有するのは、後々のことを考えるとご法度です!)

■FPからのワンポイントアドバイス

私個人としては、「相続対策のためのアパート経営」はあまりオススメしていません。たしかに、さまざまな軽減税率メニューは用意されていますが、それは流動性の低さや空室リスク、そもそもの資産価値の下落といったデメリットの対価だと考えています。それを踏まえて、「相続対策のためのアパート経営はアリかも?」と思うのは……

・先祖代々受け継いだ土地で手放したくない
・当然取得価格(簿価)はほぼゼロ
・駅前や都心部など立地が良く、この先何十年に渡って入居者が見込まれる

といった場合だけです。

私のお客様の話しですが、銀行から「今のアパートを新しくして、家賃を上げましょう!建て替え費用は、当行が融資します。」といわれ、多額の借り入れをして建て直したものの、思うように家賃が上がらず、「月々の家賃収入<ローン返済額」となって相談に来られた方がいらっしゃいました。この物件は、すでに「売却額<ローン総額」となっており、相談者の方が亡くなった時の死亡保険金を足しても足りない状態で、何度か銀行に同行して「金利下げ」や「期間延長」を行ったものの、最後は「任意整理」を選択されました。

不動産は「人生最大の買い物」といわれています。相続税の軽減措置があるからといって安易に飛びつかず、利害関係者(建設会社・銀行など)以外の中立な立場の第三者に必ず相談しましょう!

関連コラム:「
不動産投資って何?初心者がおさえるべきポイント
 

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