佐々木則夫監督×林野宏社長 なでしこジャパンに学ぶ、女性と歩む組織作り

佐々木則夫監督×林野宏社長 なでしこジャパンに学ぶ、女性と歩む組織作り

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2011年にドイツで行われたFIFA女子ワールドカップでチームを初優勝に導き、今年カナダで開催された同大会でも準優勝を果たしたサッカー日本女子代表「なでしこジャパン」の佐々木則夫監督。指導者としての長いキャリアで培われた巧みな戦術眼と、選手から「のりさん」と呼ばれる親しみやすいキャラクターを併せ持ち、国際大会で結果を残し続けている監督は、今求められる理想のリーダー像を体現していると言っていいでしょう。

一方、「SAISON CHIENOWA」の運営母体、株式会社クレディセゾンの代表取締役社長である林野宏は、持ち前の自由な発想で新サービスを投入しクレジットカード業界を牽引すると同時に、積極的に女性の活用に取り組み、今や全社の77%を女性が占めるなど、女性が働きやすい環境作りに対しても先進的な取り組みを行ってきました。

女性がそれぞれの魅力を活かし、社会で活躍するにはどのような視点が必要なのでしょうか? スポーツと企業、それぞれのリーダーとしての立場から、じっくりと語っていただきました。

取材・文:金子厚武 撮影:豊島望
プロフィール

佐々木則夫(ささき のりお)
1958年生まれ。山形県尾花沢市出身。帝京高等学校3年次には主将としてインターハイ優勝、高校選手権ベスト4進出に貢献。明治大学を経て日本電信電話公社に入社し、電電関東 / NTT関東サッカー部(大宮アルディージャの前身)でプレー。ジャパンフットボールリーグ時代の大宮アルディージャ監督を務め、その後は大宮の強化普及部長及びユース監督を歴任。2006年1月から、サッカー日本女子代表コーチ及びU-17日本女子代表監督に就任。2007年からはU-20日本女子代表監督を務めた。2007年12月に日本女子代表監督に就任。2011年のFIFA女子ワールドカップでは、男女を通じて日本初の優勝。2012年のロンドン五輪では、日本のサッカー史上初のオリンピックでの銀メダル獲得。2014年のAFC女子アジアカップで初優勝。2015年のFIFA女子ワールドカップでは2大会連続で決勝進出を果たし、準優勝に導いた。
林野宏(りんの ひろし)
1942年、京都府生まれ。1965年西武百貨店に入社。人事部、企画室、マーケティング部、事業開発部などに携わる。1982年に西武クレジット(現クレディセゾン)へ。1983年同社取締役、1985年常務、1995年専務。2000年より代表取締役社長。ポイントに有効期限のない「永久不滅ポイント」のサービスや「カードのスピード発行」「サインレス」、さらにはアメリカン・エキスプレス社と提携し、ハイステータスカードの拡販を加速するなど、自由な発想と戦略でクレディセゾンを成長させた。2005~2009年まで経済同友会副代表幹事を務める。著書に『誰も教えてくれなかった 運とツキの法則』『BQ〜次代を生き抜く新しい能力〜』などがある。
偏差値重視の男性社会から、感性重視の女性社会へ。それを日本ではなでしこジャパンが象徴しているんです。(林野)
―お二人は、ともに女性の力を活かしながらチーム作りを行っているところが共通しています。「女性ならではの魅力」をどんな部分に感じられますか?

林野:今は、総理大臣が「女性が輝く日本」を謳っているぐらいでしょう? つまり、社会がそういう方向に向かっているんです。私がよく言っているのは、まず偏差値を計るIQの時代から、理性や人間性を示すEQ(Emotional Intelligence Quotient、心の知能指数)の時代に移りましたよね。その次に来るのが……私はSQ(Sensibility Quotient)と名付けているんですけど、「感性」なんですよ。

一方で今は人工知能がどんどん発達していて、茂木(健一郎)先生の話によると、偏差値4000にも到達するそうです。そうなったときに、人間の何が重要視されるかというと、人間性や感性ですよね。感覚的に物事を判断する、気がつく、観察する。女性が得意な感性が重視される社会になっていくと考えています。
―女性の感性というものが、これからの時代の鍵になるということでしょうか?

林野:サッカーの試合もそうじゃないですか? いい選手は必ずいいポジションにいる。あれは感性ですよ。それを見て「あんなの簡単なシュートじゃないか」なんて言うけど、そこにいたことに価値がある。偏差値重視の男性社会から、感性重視の女性社会へ。それを日本ではなでしこが象徴しているんです。

左から佐々木則夫(サッカー日本女子代表監督)、林野宏(株式会社クレディセゾン代表取締役社長)
佐々木:2011年のワールドカップでボランチ(中盤で相手の攻撃の芽を摘み、深い位置からゲームを組み立てるポジション)の澤(穂希)選手が得点王になったのは、まさしく感性が優れていることの証ですよね。ボールを展開しつつ、ゴールを獲る嗅覚があるから、ここぞというときにゴール前まで行って、シュートをすることができる。ボランチが得点王を獲るというのは常識的に考えると稀なことなんです。
―男子サッカーでは考えられないですね。

佐々木:そうですね。でも、今年のワールドカップで得点王とMVPを獲ったアメリカのカーリ・ロイド選手もボランチなんですよ。ボランチが得点王になるというのは、組織が機能してるということなんですよね。攻撃も守備も、連携がしっかりしているから、澤選手やカーリ・ロイド選手……いつもあの選手にやられているんですけど(笑)、ああいったボランチの選手が得点王になれるんです。

林野:だから、間違いなく感性の社会に進んでいるんですよ。デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏が、「アメリカで2011年度に入学した小学生の65%は、今は存在していない職に就くだろう」と言っているんです。私はそのひとつの理由として、今人間がやっている仕事がコンピューターに取って代わられるからだと考えています。じゃあ、どんな新しい仕事を作るか? というと、そのほとんどはコンピューターが苦手とする感性を使った仕事になりますよね。私はそれを、つまらない仕事がなくなって、面白い仕事だけが残ると受け取っているんです。だから、元々感性が優れている女性が活躍しやすい社会が来るんですよ。

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