本当に大切なものに出会える。「アイム・ミニマリスト」という生き方

本当に大切なものに出会える。「アイム・ミニマリスト」という生き方

YADOKARI『アイム・ミニマリスト』

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文:上川奈保(CHIENOWA)
いいとこ取りは無理!? どちらも魅力のある都会暮らしと田舎暮らし
私は、子育てに優しいことで定評がある自治体に住んでいます。徒歩圏内でほとんどの用が足り、親子で楽しめる広い公園も豊富、そして、都心にも出やすくて、子育て世帯にはとても暮らしやすい街です。子どもが生まれる前から住んでいたのですが、通勤や子育てのしやすさに魅力を感じ、マンションを購入。家を定めたことで、地域コミュニティーへの関わりが深くなり、子育て期を共に楽しみ、悩みを共有し、励まし合う仲間ができたので、今の住まいにはとても満足しています。

住まいが定まり、所有物となることは安心感につながります。しかし、何か判断をする際、都度住まいを拠点として考えることになり、土地に縛られている(住宅ローンにも……)息苦しさを感じることがあります。

私は生まれ育った三重県の田舎暮らしよりも、都会暮らしが長くなった今、好きな仕事をしながら、子育てが可能な都会で暮らすメリットを強く感じています。一方、自然豊かな田舎暮らしの良さもわかっているので、都内での生活をベースにしつつ、どこかの里山に、週末や長期休みだけ過ごせる第二の我が家が欲しいなあ、と夢見ています。ですが、別荘はコストも無駄も多い贅沢品だし、旅行ではなんだか落ち着かない、私の夢は叶わないのかな……。
自分らしい生き方の実現のため、住まいのあり方を追求したミニマリストたち
そんなときに出会ったのが、YADOKARIが運営するWEBサイト「未来住まい方会議」。このサイトでは、ミニマルライフ(持たない暮らし)や多拠点居住をしている世界中の人々や、モバイルハウスなどの家が紹介されています。場所も素材も見た目も多種多様で、ファンタジーのような家もあります。そんなバラエティ豊かな家の共通点は、一般的な住居に比べて小さいということ(20平米くらいの広さ)。加えて特徴的なのは、それぞれの家が、家主の夢や生き方を体現している、ということなのです。

ここで紹介する書籍『アイム・ミニマリスト』では、YADOKARIが目指す「暮らしを小さく再編集する」人々のケースが紹介されています。物質的な豊かさを手放して、自分が本当に望むものと向き合い、「住まうこと、生活すること、働くこと」を考え直すことで、夢を実現している先駆者の生き方に触れることができます。

本で紹介されている常識を覆すような新しい住まい方への挑戦には驚くことばかりでした。特に印象的だった3名の住まい方を紹介します。

一人目の男性は、千葉県いすみ市に車で牽引できるトレーラーハウスに住んで、東京の職場と行き来をしています。インターネットを活用して自宅勤務を行うことで、遠い職場であっても仕事とプライベートをうまく両立しています。

住まい方を変えた理由は、「一生賃貸、または35年ローンを組んで一生働き続けるのではなく、もっと自由な冒険に出たい」ということ。あくせく生活することなく、自分が本当にやりたいことが追求できる暮らしを実現しているのです。「器になる家が変わることで、人や物との関係性が変わっていく」、住まいを変えることは人生に大きな影響をもたらすようです。

二人目は、長野県諏訪郡のトレーラーハウスに住むフリーランスエディターの女性。東京で受注した仕事は、オンライン会議などでこなしています。都市部を離れることで気づくことはたくさんあるそうで、冷蔵庫を使うのをやめても困ったことは一つもないそうです。また、地域との緩やかな繋がりにより、子育てが楽になったとのこと。「実験的な暮らしをしやすい社会になってきていると思うので、本当に大切にしたいことを、大切にすればいいだけだと思うんです。(中略)自分の気持ちに正直になって、一歩目を踏み出したら、もう目の前に理想の暮らしがあるはずです」と、彼女は言います。勇気の一歩を踏み出したからこそ見える世界ではないでしょうか。

三人目は、一部上場企業で働くマネージャーの男性。あえて一人でゲストハウスやカプセルホテルを泊まり歩き、そこから出社するという、家を持たない生活を実験されています。「居心地のいい場所とは何か」を探求するとたどり着いた結論は、場所や部屋の広さなどではなく、居心地のいいパートナーと暮らすこと。物を所有しないという実験を通して、家がないと生活できないということは思い込みだということ、また本当に大切なものに気づけたそうです。
住まい方を考えると、自分らしい働き方と生き方が見えてくる
一見すると皆さん、世捨て人かアウトローか!? と思われそうな住まい方、生き方です。働く、育むといった生活をしながら、住まいにおける実験をすることは、とてもパワーがかかるように思えます。しかし、住まいと丁寧に向き合うことは、生き方とも向き合うことになる、ということは大きな発見でした。

また、ミニマリストという生き方は、物を持たない、消費を抑えた質素な暮らしというイメージが先行しますが、心豊かな暮らしを実現することに貪欲な、最も贅沢な生き方かもしれません。

住まい方を変えることは、暮らし方だけでなく、働き方、生き方も変えていく。物質的な豊かさで幸せは満たされない世の中だからこそ、自分らしい豊かな人生を送るため、何を大切にしたいのか、どう生きたいのかを改めて問いながら人生を歩みたいと思いました。

清水の舞台から飛び降りるような決断をしなくても、まずは実験! やってみよう! という気軽さを持って、憧れの里山で、私好みの第二のわが家「小屋暮らし」の実現について考えてみたいと思います。

『アイム・ミニマリスト』

1,620
著者:YADOKARI
出版社:三栄書房
プロフィール

上川奈保(うえかわ なお)
クレディセゾン戦略人事部。8歳と4歳の男の子のママ。

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