「デキる女」が疎まれるのは世界共通!? 全米で議論を呼んだFacebook女性COOのベストセラー

「デキる女」が疎まれるのは世界共通!? 全米で議論を呼んだFacebook女性COOのベストセラー

シェリル・サンドバーグ『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』

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文:栗橋 望(CHIENOWA)
「職業を持つ母親の成功」をめぐって、国民的な議論に発展したベストセラー
本書の著者は、Facebook最高執行責任者(COO)であるシェリル・サンドバーグ。この本を手に取ったのは、仕事上でSNSを使うことがあるだけでなく、この本が全米でベストセラーになり、「職業を持つ母親の成功」をめぐって国民的な議論に発展したと耳にしたのがきっかけでした。著者が一般的に知名度を得たのは、TEDカンファレンスにおける「何故女性のリーダーは少ないのか」という講演です。
>動画を見る(TED「シェリル・サンドバーグ:何故女性のリーダーは少ないのか」)
(※新しいウインドウが開きます。スマートフォンの場合は日本語を字幕で選択してください)
TEDの講演をさらに深く掘り下げた本書は、自伝的な要素を含みつつも、「女性の生き方」について大きく踏み込んだ点が、単なる成功譚では終わらせないパワーを与えています。
「デキる女は疎まれる」の心理的カラクリ
まず、読者を驚かすのが、2003年に行われた「ハイディ・ハワード実験」の紹介です。実験の内容は、ある女性が「強烈な個性の持ち主で、ハイテク分野の著名な経営者にも顔が広く、幅広い人脈を活用して成功した」というエピソードを、被験者である学生の半数には「女性(ハイディ)」、残りの半数には「男性(ハワード)」の物語であるとして読ませて感想を聞いたもの。

2つのグループによる感想は、「能力面」の評価においては偏りが見られませんでした。しかし「好感度」においては多くの人が「男性(ハワード)のほうが同僚として好ましい同僚」とし、女性(ハイディ)に対しては「自己主張が激しく自分勝手」「一緒に働きたくない」「経営者の立場であれば採用したくない」という印象を男女双方が持ったそうで、大変ショッキングな実験結果となりました。

この結果から気づかされるのは、「男性には成功がプラスに働くが、女性はその逆でマイナスに働く」ということ(たとえ能力がまったく同じ場合でも!)。

つまり、用心すべきは能力の如何を問わず「実績と好感度は、女性の場合、反比例で捉えられる」という事実でしょう。有能な女性が性差によるペナルティーを受けていないか、考える必要があることが明白になったわけです。
自分の「仕事」と「休息」に責任を持つこと
また、特に感銘を受けたのは、「どうか自分の仕事をもっと上手にコントロールしてほしい。会社は社員に要求し続けるだろうが、どれをしてどれをしないのか、線引きをするのはあなたがたの責任だ」という部分でした。

筆者は、女性・男性にかかわらず、職場で燃え尽きて退職を決意した社員に「休暇を消化していない」共通点があると、取材の経験から導き出しています。そして「直感に反するかもしれないが、自分に出された要求をすべてこなそうとしないことが、長く仕事で成功を収める秘訣なのだ」と述べています。

一般的に「成功した女性」になるためには、「成功した男性以上に働かねばならない」「すべてをやり遂げるスーパーウーマンにならなければならない」と考えがちで、もちろん私もそう考えていましたが、筆者は注意深く「仕事とプライベートの両方の余地をつくる最善の方法は、意識的に選択することである」と繰り返すのです。
さまざまな制約のなかで、一歩、前に踏み出すために
「私たちは男女の区別なく、誰もが大なり小なり制約のなかで仕事をしていて、最適化に取り組まざるをえない」「仕事、子ども、社交などさまざまな要素に『時間』というリソースをうまく配分する必要があり、それによって自分自身を最大限に活用できるよう試みなければならない」。こういった筆者の想いは、私にとって身の引き締まる大きな示唆がありました。それは、能力や環境に恵まれ、努力によって「すべてを手に入れた」ように見えるシェリルでも、絶えず何かを選択して、失敗し、諦めず学ぶことを繰り返しているのだという事実に、勇気づけられ励まされたからです。

最後になりますが、大きな変化は「ナッジ(そっと肩を押す)」から生まれることが多いといいます。本レビューを通して、彼女の考えに触れることが、一人でも多くの女性のナッジたり得ることを願って。

『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』

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著者:シェリル・サンドバーグ、村井章子(翻訳)
出版社:日本経済新聞出版社
プロフィール

栗橋 望(くりはし のぞみ)
クレディセゾン 営業企画部プロモーション戦略G所属。4歳の長男と夫の3人暮らし。

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