「女性活躍」はゴールじゃない。誰もが活躍する組織に必要なこととは?

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「女性活躍」や、仕事とプライベートの両立を図るワークライフバランスが盛んに議論される昨今。多くの企業がその環境作りに取り組むなか、働きやすさ向上のための施策を時代に先立って行ってきた会社には、いまどんな課題が見えているのでしょうか? 今回は、「ショップジャパン」を展開し、早くから多様性溢れる職場作りを推進してきたオークローンマーケティングの河村佳朗さんと、女性社員が8割を占めるなかで社員一人ひとりが活躍する組織を目指すクレディセゾンから戦略人事部長の松本憲太郎、そして、多様性あふれる豊かな社会の実現に向けて活動を行う電通総研の古平陽子さんをファシリテーター役に迎え、取り組みから見えてきたことについて語っていただきました。

ダイバーシティ(多様性)や女性活躍をテーマに始まった議論は、やがて、それを前提とした上での新しい問題点の指摘に展開します。ワークライフバランス論の先にある、社員個人の働き方と、会社が考えるべき課題とは?

取材・文:杉原環樹 撮影:川上秋レミイ
プロフィール

河村佳朗(かわむら よしろう)
株式会社オークローンマーケティング。人事、総務、法務などのバックオフィス系の責任者を務め、2016年より専務執行役員に就任。女性や外国人を積極的に雇用し、多様性溢れる職場作りを推進しており、現在、産休・育休後の女性社員の復帰率は100%。プライベートでは、定時で帰宅したあと、趣味のトライアスロンのためにスポーツクラブに通っている。
http://www.oaklawn.co.jp/


古平陽子(こだいら ようこ)
株式会社電通。マーケティング・プランニング部門を経て、現在は電通総研で生活者・トレンド研究に従事。「電通ダイバーシティ・ラボ」や「ママラボ」のプロジェクトに携わるほか、財務総合政策研究所による「女性の活躍に関する研究会」の委員も務めた。プライベートでは、10歳と3歳の2児の母。
http://dii.dentsu.jp/


松本憲太郎(まつもと けんたろう)
株式会社クレディセゾン。これまで営業、商品開発、営業企画部門を経て、2014年より戦略人事部長を務める。「ビジネスモデルチェンジ」を目指し、「全員活躍」による「イノベーティブな経営」を目指す経営陣のパートナーとして、人事制度改革、ダイバーシティマネジメントを通して、風土改革を推進している。プライベートでは、29歳の時に赴任先の北海道で社内結婚。妻は関連会社にて役職者として活躍中。
「今更、女性活躍? これまでも活躍していなかった?」。女性社員が半数以上を占める企業のいま
古平:私が10年前に上の子を産んだときは「ワークライフバランス」という言葉もまだ浸透していない時代でしたが、7歳離れて下の子を出産したら、保育園でパパを見かけることも本当に多くなり、社会の景色がだいぶ変わってきたと実感しています。クレディセゾンさんはもともと女性社員が多かったのですか?

松本:私は1993年入社ですが、この年の採用は女性が男性の10倍以上でした。クレディセゾンの場合、全国にあるセゾンカウンターで働く社員の多くが女性社員なので、30年以上も前から、圧倒的に女性が多い会社だったんです。私が配属された部署も、直属上司や営業課長はみんな女性。そんな環境だったので、「女性が働き続けられないと企業の戦力が落ちる」という認識が経営層にはずいぶん前からありました。現場から「働き続けられない、働きづらい」といった声が上がれば、その解決のために制度と運用をバージョンアップさせてきたんです。

古平:現場からは自然に声が上がるのですか?

松本:会社のカルチャーとして、誰でも声を上げやすい適度なゆるさがあるのかもしれません。新しいもの好きの社風なので、新しい提案や意見にはどんどん挑戦してみる。それが30年分積み上がり、女性が就業を継続できるという現在の環境があります。そんな背景もあり、クレディセゾンでは経営陣に昨今の女性活躍の話をしても、「いままでも充分活躍していなかった?」という雰囲気なんです。

松本憲太郎(クレディセゾン)
古平:その結果、クレディセゾンさんは2014年に『日本経済新聞』の企業ランキング「NICES(ナイセス)」で、「女性活躍企業」第3位にランクインしていますね。社員の男女比率がほぼ半分というオークローンマーケティングさんはいかがでしょうか。

河村:弊社の場合、創業者がアメリカ人と日本人であったこと、その後も女性や外国人を多く採用してきたこともあって、もともと多様性の文化がありました。また、勤務制度に、独自のスーパーフレックス制を導入しています。この制度は、その日するべき業務が達成できていることは前提ですが、月間の勤務時間が120時間を満たしていれば定時時間分(約160時間/1か月)働いたものとみなされるというもので、1日に働く量や時間が個人の裁量に任されています。平均の残業時間は、月で12時間ほどになります。

古平:それはうらやましい(笑)。女性活躍の視点から見ると、2006年から10年連続で、産休・育休からの復帰率100%を維持しているとか。

河村:社長が、理念や使命を重視しながら社員を引っ張っていく、ミッションオリエンテッドな思想があるんです。弊社のお客様は半分以上が女性のため、「お客様の生活を彩るには自分たちのライフスタイルも充実していなければ、良いご提案ができない」という社風があり、社員同士がママ社員を積極的にサポートする企業文化が昔から定着しています。
ワークライフバランスによって社員の自由が確保された先に、企業が持つべきこれからの課題がある
古平:「女性活躍」をキーワードにお話を伺おうと思っていましたが、お二人の会社では、以前から当たり前に根づいていたんですね。

河村:女性と男性を区分して考えることがもはやあまりないですね。近年ではむしろ、フレックスな働き方や時短の雇用形態など、ワークライフバランスの追究によって社員個人の自由度が高まったときに、その状況が会社としてどのような成果につながるのかといった、もう一つ先の議論に関心を持っています。

左から河村佳朗(オークローンマーケティング)、古平陽子(電通総研)
古平:たしかに昨今のワークライフバランスの議論では、個人の自由の確保に重点が置かれる一方、それによって会社の未来がどう変化するかという視点が足りていないですね。今日のように性別、立場、組織を超えて、「女性活躍」や「働き方」について話すことはとても意義のあることだとあらためて感じました。同じ境遇の人だけで語られる場は、権利の主張にとどまるケースも非常に多いですが、いろいろな視点が入ることで次のステージに進めるのだと思います。

河村:多様性が高まり、社員が会社に縛られなくなれば、人材の流動性が加速していくはずです。そのとき重要なのは、個人の専門性と会社のビジョンのすり合わせだと思うんですね。たとえば、オークローンマーケティングでは社内コンサルタントとして、スペイン人女性に業務委託で関わってもらっているのですが、彼女は「あまり拘束はされたくないし、バカンスも1か月間は取りたいけれど、余った時間は働きたい」と言うんです。

古平:その要望を聞いたとき、河村さんはどう感じましたか?

河村:これは未来の働き方かもしれないと思いました。性別は関係なく、こうした個人の目指す生き方と、会社の理念や成果のすり合わせこそが、今後は重要なのではないかと思います。

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