Jリーガーに親子で学ぶ、日常が変わるコミュニケーションの力

Jリーガーに親子で学ぶ、日常が変わるコミュニケーションの力

「Jリーガーと楽しむ親子サッカー教室」

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文:麦倉正樹
Jリーガーが、サッカーを通じて親子に伝えたいこと
1993年にJリーグがスタートして以来、98年に『FIFAワールドカップ』本大会に初出場、2011年には「なでしこジャパン」が『FIFA女子ワールドカップ』で初優勝するなど、すっかり人気スポーツとなったサッカー。その状況を受け、「子どもに習わせたいスポーツ」としても、サッカーは不動のものになっています。では改めて、子どもにサッカーを習わせるメリットとは? また、実際のサッカー教室ではどんな練習が行われているのでしょうか?

去る1月17日、千葉・幕張の「ZOZOPARK HONDA FOOTBALL ARENA」で開催された「Jリーガーと楽しむ親子サッカー教室」。そこには、佐藤勇人選手(ジェフユナイテッド市原・千葉)と鈴木啓太選手(元・浦和レッズ)をはじめ、梶山陽平選手(FC東京)、伊野波雅彦選手(ヴィッセル神戸)など、数多くのJリーガーたちがズラリ顔を揃えていました。当日参加したのは、幼稚園年長~小学4年生までの子どもたち約100名と、その親御さん。

今回のサッカー教室に参加するにあたって、佐藤選手は次のように、意気込みを語ってくれました。
佐藤:お子さんはもちろん、親御さんたちにも楽しんでもらえるような教室にしたいです。親御さんたちには、自分の子どもがどんなふうに選手たちと接するのか……緊張してしゃべれないのか、逆にどんどん話しかけにいくのか、そのあたりも見てほしいですね。きっと普段は見ることのできない部分をお子さんが出すと思うので、家に帰った後、今日のことを親子で話してもらえるような機会になったら嬉しいです。

佐藤勇人選手
サッカーで学ぶ、日常生活にもつながる「コミュニケーション」の力
かくして、開会のあいさつと各選手の自己紹介から始まったサッカー教室。参加者たちは、幼稚園児、小学1年~2年、小学3年~4年の3組に分けられます。その後、伊野波選手と梶山選手のデモンストレーションから、ボールを使ったストレッチを全員で実施。

身体がほぐれたところで、今度は佐藤選手がコールする数字(「8」であれば8人でグループを組む)に従い、参加者同士が組になることを競い合うゲームが始まるなど、終始和やかなムードのもと、親子同士が自然にふれあえるようなメニューを実施。さらには、「右足!」「肩!」「お尻!」など、相手が受ける場所を指定しながら、親子でパスを出し合うメニューもありました。その狙いについて、佐藤選手は次のように語ります。「サッカーは、ただボールを蹴るだけではなく、実はコミュニケーションのスポーツでもあるんです」。

続いては、事前に選ばれた親御さんのチームとJリーガーのチームが、ミニゲームで対決します。Jリーガーたちの妙技に、思わず湧き上がる子どもたちの歓声。そして、いよいよ子どもたちのお待ちかね、ゲーム形式のプログラムです。年代ごとに分かれた3つのコートを使い、子どもたちの試合がスタート。親御さんたちが声援を送る中、敵と味方に分かれて、一心不乱にボールを追う子どもたちの様子は、実に微笑ましくもありました。

さて、佐藤選手が言うように、今回のサッカー教室のテーマでもあったという「コミュニケーション」。集団行動や協調性、そして状況判断が学べるサッカーにおいて、それは非常に重要な要素のひとつであるようです。しかも、それは必ずしもピッチの上に限った話ではないのだとか。
佐藤:ネクタイを締めて、朝早くに出掛けて夜遅くまで帰ってこないお父さんしか知らない子どもも、結構いると思うんですよね。でも今日は、普段とは違うラフな格好で、同じピッチの上で、一緒にボールを蹴ることができる。そういう機会ってすごく大事だし、子どもからしたらそんなに嬉しいことはないと思うんです。だから今日だけに終わらず、家の近くの公園とかで一緒にボールを蹴ったりしてもらえたら嬉しいですね。自分が子どもの頃もそうでしたけど、サッカー教室の後って、子どもと親の距離感がすごく縮まるんです。

誰も喜ばなかったら嬉しくない。一人のサッカー少年がプロ選手になれた理由
今回の教室に参加した鈴木選手は、「もちろん、これをきっかけに、プロを目指す子が増えてくれたら嬉しいですけど……」という前置きのもと、今日の趣旨について、次のように語ってくれました。
鈴木:まずは、きっかけですよね。今日の教室には、上手くなりたいと思って来ている子もいれば、純粋にサッカーを楽しみたいと思って来ている子もいます。力のバラつきがある中で、なるべくその差が出ないようにしながら、みんなで楽しめることを意識したメニューを考えました。

親子のふれあいはもちろん、実力や性別の違う子ども同士が、一緒に楽しめるスポーツとしてのサッカー。集団行動や協調性が学べると言われる理由は、そんなところにあるのかもしれません。さらに、昨シーズンで現役を退いた鈴木選手は、プロとしての自らのキャリアを総括しながら、興味深いコメントも残してくれました。
鈴木:僕は幼稚園の頃からプロのサッカー選手になりたくて、ずっと自分がやってきたことを証明したいと思いながら頑張ってきましたけど、今考えるとそれは『目標』に過ぎなかったんですよね。『目的』っていうのは別のところにあって、それは親を喜ばせたいとか、僕を応援してくれる人たちを喜ばせたいとか、そういうことだったんです。もちろん、最初の入り口は、プロのサッカー選手への憧れだったけど、それよりも大きなものが、僕にはあった。たとえプロになってチームがタイトルを獲ったとしても、誰も喜ばなかったら何も嬉しくないと思うんです。親が喜んでくれた、チームメイトが喜んでくれた、そして応援してくれる人たちが喜んでくれた……。そういうものがあったからこそ、僕はプロになれたし、そこで頑張ることができたと思うんです。

好きだから頑張る、上手くなりたいから頑張るのはもちろんのこと、誰かが応援してくれるからこそ、もっと頑張ることができる。今回のサッカー教室は、すべてのスポーツの原点とも言える、そんな経験を子どもたちにもたらしてくれたのかもしれません。

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