「パパから変える、日本の子育て vol.3」 地域で子育てする「イキ(域)メン」とは?

「パパから変える、日本の子育て vol.3」 地域で子育てする「イキ(域)メン」とは?

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こんにちは。ファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也です。ファザーリング・ジャパンは、「育児」も「仕事」も「人生」も笑って楽しむ父親を増やすことをモットーに2006年に設立しました。SAISION CHIENOWAでは4回にわたる連載で、男性の育児と働き方について考えていきます。

PTAや学校行事を通じてパパ友が集まれば、いろんなところに「貢献」できる
ファザーリング・ジャパン(FJ)は、パパたちに家の中の育児だけを教えている団体ではありません。子どもの世話やママのケアはもちろん大事ですが、幼稚園や保育園、小学校の父母会やPTA活動にも積極的にコミットしようと、全国のパパたちに呼びかけています。つまり「『家の中の良い父親』を目指すだけではなく、地域でも父親を楽しもう」という取り組みです。
父親が地域活動に関わると、いろんなところに貢献することができます。僕は子どもが生まれたのを機に、ボランティアで絵本の読み聞かせをやるようになりました。それまで絵本の読み聞かせといえば、「お母さんの役目」というイメージでしたが、そこに父親が入ることで子どもたちも大喜びしてくれました。また幼稚園や保育園での「餅つき」や、学校の運動会でテントを張るといった「力仕事」もありますし、社会性やビジネススキルを最大限に活かせる活動もあります。

仕事で培ったネットワークや能力をPTAで活かせることも多かったですね。私の住む町でも9年前に小学校の統廃合計画が問題になったのですが、それを解決するために多くの親が立ち上がりました。その中には、弁護士、医者、官僚、教員、ジャーナリスト、SE、建築士、僧侶など多彩なスキルを持つパパもいて、みなで手分けして客観的データをとってきては議論し、ロジックを組み立て、連係プレーで行政にガンガンものを言ってきました。それはまさにドリームチーム的なパワーにあふれる仕事ぶり。それに行政も押され、最終的には統廃合計画を廃案に持ち込んだのです。
私は若い頃、「地域」についてそれほど深く考えていませんでしたが、子どもが生まれてからは「町の一員」としての意識が高まり、多くの活動を「パパ友」と続けてきました。自分の子どもの幸せを願うだけではなく、周囲の子どもたちの将来にとってもより良い環境を残そうという意識を持てれば、父親たちだっていろいろな課題に気づくはずなのです。
パパと地域を繋いでくれる、子どもという「黄金のパスポート」を活用する
地域とプライベートを分断させている主な原因は旧態依然としたシステムもありますが、まずは個人の意識が問題です。「地域のこと、子どものことは母親がやればいい」と、父親の多くは思っていませんか? けれど父親だってもっと地域と関わっていいし、関わればプラス効果がたくさんあります。確かに手のかかることは多く、無報酬かもしれませんが、学校行事などで地域とのつながりが深まると、仕事のスキルアップにもつながります。だって、母親がまだ多いPTA本部にあって男性が会長などの幹部職をやるということは、まさに女性活躍時代の管理職と同じ。その多様な人材を父親がまとめ上げ、最大限のパフォーマンスを引き出すことでマネジメント力がアップするはず。企業に重要なダイバーシティ(多様性)を、地域というその坩堝(るつぼ)の中で鍛えられることは、必ずや仕事での能力向上に繋がっていきます。
また子育てが50代で終わって80歳くらいまで生きるとすると、それから30年くらいは地域で暮らしていかなければいけません。高齢化する社会ではこうした地域との繋がり、つまり「関係資産」こそが人生のセカンドステージを豊かにするのだと思います。地域と親を繋いでくれる子どもは、まさに「地域へのパスポート」。この黄金のパスポートを手にしたのなら、それが使えるときに有効活用しない手はないのです。
大人の都合でゆとりのない子どもたちを、パパ同士がつながることで手助けしてあげたい
最近は「イクメン」ではなく「地域の『イキ(域)メン』になろう!」という講演もしています。先日もある県の教育委員会から呼ばれて、「父親をPTAに巻き込む方法~イキメンで行こう!」のタイトルでお話をしてきました。PTA会長の経験なんかを話すと、みんな目がキラ~ンとなって聴いてくれます。クジで負けて、仕方なくPTAの役員になる人ばかりですからね。「義務感でやっていても全然おもしろくないし、ミッションをもってやりましょう。嫌々やると、子どもにも映っちゃいますよ」と呼びかけたら、すごい反応でした。終了後、私の意見に賛同してくれるメールもいっぱいいただきました。
「親として地域に関わると、子どもの成育環境が激変したことを実感します」という感想を聞くと、昔の子どもは地域の中でたくさんの大人に見守られながらのんびりと成長してきたんだなと感じます。でも今は違うのです。地域に多様な大人(特に男性)はいない。家庭でも親の意向や大人社会の都合に合わせ、子どもたちは常に時間に追われる生活を強いられ、ゆとりがない。だからこそ今、地域で遊んでくれる父親の存在が大切なのです。
特に子どもを取り巻くさまざまな問題が起きている今、課題を抱えている子どもやその背後にいる「困っているパパ・ママ」を手助けし、支援していくことが大事です。それが、「パパのシチズンシップ(市民意識)」。高い意識と能力を持った父親たちを地域に根づかせることで、子どもたちの未来が希望に満ちたものになれば、最高ではないでしょうか。あなたもそろそろ「イキメン」で地域デビューしてみませんか?
プロフィール

安藤哲也(あんどう てつや)
1962年生まれ。二男一女の父親。出版社、書店、IT企業など9回の転職を経て、2006年にファザーリング・ジャパンを設立。「育児も、仕事も、人生も、笑って楽しめる父親を増やしたい」と、年間200回の講演や企業セミナー、父親による絵本の読み聞かせチーム「パパ’s絵本プロジェクト」などで全国を飛び回る。子どもが通う小学校でPTA会長、学童クラブや保育園の父母会長も務め、“父親であることを楽しもう”をモットーに地域でも活動中。 2012年には社会的養護の拡充と児童虐待・DVの根絶を目的とするNPO法人タイガーマスク基金を立ち上げ、代表理事に。現在、寄付集めや全国で勉強会の開催を手掛ける。
http://fathering.jp/

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