「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムが実践する「フィットする」暮らしと働き方

「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムが実践する「フィットする」暮らしと働き方

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ナチュラルでオーガニックな暮らしを提案するECサイト「北欧、暮らしの道具店」。北欧テイストの雑貨販売を中心に展開するほか、編集部員が執筆したミニコラムなどの読み物企画も充実した人気サイトです。同サイトを運営する株式会社クラシコムは、代表取締役を務める青木耕平さんと妹の佐藤友子さんが2006年9月に設立。「フィットする暮らし、つくろう。」をビジョンとし、「オーダーメイドなライフスタイルを求めるお客さまを、様々なWEBサービスでお手伝いする」メディアとして、特に多くの女性から支持を集め、現在は従業員約30名を抱える企業へと成長している。

雑貨と暮らしを扱うメディアだけに、スタッフも大半が女性。その多くが既婚で、家庭や子育て、仕事を上手に両立させているという。なかでも特筆すべきなのは、ワーカホリックな企業が多いなか、「18時に全員が退社する」を徹底したワークスタイル。働く女性が充実した仕事とゆとりある生活を両立させるためのヒントと、クラシコム流ワーク&ライフスタイルについて青木耕平さんに伺った。

取材・文:阿部美香 撮影:豊島望
プロフィール

青木耕平(あおき こうへい)
株式会社クラシコム 代表取締役。1972年生まれ、埼玉県出身。2006年9月に実妹と株式会社クラシコムを共同創業。2007年に同社新規事業として北欧雑貨専門のECサイト「北欧、暮らしの道具店」を開業、現在に至る。ロールストランドの陶器や、ダンスクのキッチングッズ、北欧のインテリア雑貨などを扱い、入荷後すぐに完売する人気商品を多数扱う。また、ライフストーリーを感じさせるこだわりの商品写真にもクラシコムテイストを追求することで、年々ファンを増やし現在の月間PV数は約1200万にもなっている。また、「スタッフの収納テク」や「料理家さん提案の定番レシピ」など、スタッフが「暮らし」にまつわる様々なテーマを特集した連載も好評。商品だけではなく、自分にフィットした「暮らし」に出会える場として発信し続けている人気サイト。
http://hokuohkurashi.com/
「夕方6時に帰れる会社」にすれば、女性たちが育休後も安心して働けると考えたんです。
―クラシコムは創業以来、18時には全員が退社し、けっして残業をしないワークスタイルを徹底されていると伺っています。そのポリシーは各メディアからも注目されていますね。

青木:そうですね、それについては何度か取材をお受けしています。ただ、最初にお断りしておかなければならないことがあるんですが、僕はビジネスマンなので、実は仕事をするのが好きで、むしろ18時に家に帰りたいライフスタイルとは無縁でしたし、僕が定時帰宅を好きで提唱しているわけではないんですよ(苦笑)。

―では、定時帰宅を徹底した理由は?

青木:一つは、僕が妹と会社を始めたことにあります。「北欧、暮らしの道具店」は彼女が中心となって運営するサイトでしたし、始めたときは既に彼女も30歳を過ぎた頃で、家庭を持っていたから妊娠・出産もまもなく経験するだろうと。そこで会社がどんどん発展しても彼女が継続的に仕事を続けられる環境がまず必要でした。安心して働ける条件を考えた結果、「毎日夕方6時に帰れたら、仕事を続けられるんじゃない?」「できるだけ会社の近所に住めて、保育園も近くにあれば、子どもが熱を出してもすぐ帰宅できるよね?」という考えが浮かんで。経営が軌道にのってから勤務条件を増やすのではなく、初めから変更しようのない制約事項として受け入れた上で、なにができるかを考えました。

―必然的な勤務条件だったわけですね。

青木:それと同時に、妹が出産や育児で仕事ができない期間があったり、子どもを持ってパフォーマンスを落とさざるを得ない時期も当然想定されるので、妹一人に業務が集中しないよう、早期に人を雇って仕事をチーム化しようと決めたんです。「自分たちの給料は、半年ぐらい出なくても大丈夫だよね」と話していました。とはいえ、僕らがほぼ無給で人を雇うにしても、そんなに高い給料が払えるわけではない。そこで、提供できるお金以外の価値はなにかを考えたら、唯一自信をもって提供できるのは「時間」でした。仕事の内容が楽しくて、9時〜18時で帰れる。経営陣、創業者もそういう働き方をしているということをセールスポイントに求人をかけたら、やはり妹と同じ世代、30代~40代の女性から驚くほど応募が来た。そこで2人を雇い、4人体制にしてから業務を広げて今に至ります。

―価値観というのは人それぞれですが、少なくとも家庭を持つ女性にとって時間は大事ですね。

青木:そもそも、労働環境に関しては法令が決まっているので、コンプライアンスをすべて満たそうと思えば、福利厚生もちゃんと考えざるを得ない。女性に限らず、仕事をする上で当たり前のことを実践しただけなんですよ。
自分で業務コントロールができる環境にすることで、自己管理を徹底させて目の前の仕事に集中させる。
―そこで気になるのが、全員が18時退社できるためのノウハウです。事業規模も年々拡大し、スタッフ一人ひとりの負担も増えていくなかで、どんな工夫をされているのでしょうか?

青木:大抵の場合、帰れない理由は二つです。帰れなくもないけど帰っていない場合。もう一つは、仕事相手の予定に合わせてスケジュールを入れざるを得ない場合。つまり、自分のスケジュールを自分でコントロールできる仕事形態にすれば、定時帰宅は可能なんです。そう考え、クラシコムは最初、B to C=通販事業だけで利益を上げ、各種企業からのビジネスの誘いはすべて断りました。そして、自社メディアを立ち上げてブランド力を高め、「うちは定時退社を徹底している会社です、それでもよければ」という合意のもとで、企業相手のB to Bビジネスを行うようにしました。

―なるほど! まずは会社ブランディングを徹底されたんですね。

青木:そうすれば、スタッフも自分の仕事に優先順位をつけて厳しく自己管理します。会社としても、「よし、これをやるぞ」と一度言ったことでも、リソースがひっ迫したら「やっぱりやめよう」と、すぐ守りに入れる柔軟な経営を心掛けています。例えるならサッカーのディフェンスラインですかね。押せ押せで仕事をしたとしても、例えばメインの女性スタッフが妊娠・出産することが分かったら、先々に向けた仕事はとりあえず後回しにして、ディフェンスラインを下げ、目の前の業務(=ゴール)を上手く処理する(=守る)ことに全員で集中する。全員体制のリスクヘッジを行うためには、スタッフそれぞれが自分のキャパシティや業務内容を確実に把握しておく必要があります。うちのような小規模な会社ではそうせざるを得ないですしね。

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