大丈夫やで。大正生まれの「ばあちゃん助産師」坂本フジエが教える心の子育て

大丈夫やで。大正生まれの「ばあちゃん助産師」坂本フジエが教える心の子育て

坂本フジエ『大丈夫やで 〜ばあちゃん助産師(せんせい)のお産と育児のはなし〜』/2017年9月4日公開

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文:若林 香織(CHIENOWA)
新米ママの初仕事は「楽しそうに暮らす」こと。妊娠中に助けられたばあちゃん助産師の言葉
先日、CHIENOWAの記事で、大正生まれの現役助産師、坂本フジエ先生のもとに産褥入院したという体験記を読み、心が躍りました。なんてうらやましいのだと! なぜなら私も、妊娠中から産後にかけて、坂本先生の著書『大丈夫やで』を何度も読み、助けられてきたから。

本書には、妊娠から出産、子育てについてまで、タイトルどおり「大丈夫やで」と新米ママにアドバイスをするように、右ページにメッセージ、左ページにそのメッセージに対する解説が書かれています。見開きで内容が完結するので、最初から順番に読まなくとも、自分の好きなところから読むことができます。

私が本書でとても救われたのは、「妊娠が分かったその日が子育て1日目。新米ママの初仕事は、楽しそうに暮らすこと」という言葉。お腹のなかにいる赤ちゃんは外の様子をちゃんと感じていて、「この家は楽しそう!」と感じることが成長エネルギーになるのだといいます。

妊娠中、あふれるような幸福感を感じる一方、無事に安定期を迎えることができるのか、出産までたどり着けるのかと、漠然とした不安を抱いていた私にとって、「いまは楽しそうに暮らすことが最高の子育て」という考えに、ほっとしたのを覚えています。

近所つき合いが盛んで、みんなで子どもを育てていた時代から、核家族化が進み夫婦だけの「孤育て」となっている現代。妊娠がわかって不安な気持ちでいるママや、孤独や不安を抱えて子育てしているママにとって、「ばあちゃん助産師(せんせい)」の温かい言葉が心に響きます。
言葉は通じなくとも、心は伝わる。赤ちゃんを安心させる「わが子ファースト」の日々
また本書では、「自分は大切な存在なんだ」という赤ちゃんの自尊感情をしっかり醸成させるため、「お乳を飲ませる生後1年間は、徹底的に関わってほしい」としています。

「赤ちゃんが泣いて泣いて、どうにもならない」と相談に来た新米ママに対し、坂本先生は「これから1年、とにかく赤ちゃん中心の生活をしてあげて」とアドバイスを送ります。ママが「よし、そうしよう」と、赤ちゃんと徹底的に向き合う決意をするだけで、赤ちゃんは安心して落ち着いていきます。

この教えのとおり、私も子どもが産まれてからは、「わが子ファースト」の日々を送ってきました。子どもと一緒にいるときはなるべくスマホを見ないようにして、子どもと向き合う生活をする。結果、元気いっぱいの娘は、比較的手のかからない、落ち着いたいい子に育ちました。私自身も落ち着いて見えるようで、周りからは「2人目のお子さんですか?」と言われることが多いです。

本書の第8章「歩くようになったら」に書かれていた、子どもが「大事にされている」と実感するためには「いま、この瞬間」のタイミングを逃したらダメ、という言葉には、はっとしました。子どもは、3回無視されると「自分に関心がないんだ」と失望してしまうそうです。「さっきはごめんね」と、あとから取り返そうとしても、子どもは納得しません。たとえば、水仕事中で抱っこできなければ、濡れた手が子どもにつかないように工夫しながら、腕だけで「ギューッ」としてあげるだけでも、ガソリン注入になるのです。

これまでは、忙しいときに限って構ってほしがる娘に対して、「ちょっと待っててね」と言って、そのまま自分の用事を優先していました。いまは、「あなたが大事」という気持ちが伝わるよう、用事の途中でも「ギューッ」とするようにしています。

赤ちゃんは言葉がわからなくとも、お腹のなかにいるときから、すべてお見通し。ママの心をわかっているから、心の底から真摯に向き合わなくてはならないということを教えてもらいました。
「ありがとう」「助かったよ」夫婦間の想いを言葉にして伝えるトレーニングを
そのほか、無口な夫と、あまり心の内を伝えるような会話をしてこなかったことを悔やまれているという坂本先生の体験をもとに、夫婦間のコミュニケーションや、夫の役割についても書かれています。

私たち夫婦は、もともと考えていることが似ていて、会話の多い友達のような関係でしたが、産後は身体が思うように動かず、よく夫にイライラしていました。貧血気味で身体がつらかったということもありますが、家事をやったりやらなかったりの状態である自分を棚に上げ、皿洗い担当だった夫が少しでも洗いものを溜めていると、無性に腹が立ちました。

妊娠中や産後の女性は、ホルモンバランスが大きく変化し、うつ的な心理状態になりがちです。坂本先生は、「妻の愚痴を聞くのが旦那さんの仕事、愚痴を聞くのに一銭もかからんでしょう」とアドバイスしており、妻は話を聞いて共感してもらいたいだけだとしています。「そうなんだ。それは大変だったね」と話を聞いてもらうと、妻は落ち着いていくのです。

このアドバイスから、夫婦間でも相手を思いやる気持ちを大切にしなくてはならない、とあらためて思いました。いまでも、夫が皿洗いをしてくれたときは、その都度「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えるようにしています。また、わが家では、お互い「今週は仕事が大変だった」「私は子育てで疲れた」と報告し、互いに「お疲れ様」とねぎらい合っています。

同じく坂本先生の著書である『ばあちゃん助産師(せんせい)心の子育て』にも、産後にとても癒されたのですが、私は妊娠中に『大丈夫やで』と出会うことができて、とてもラッキーでした。マタニティー雑誌から得られるような妊娠、出産、育児のハウツーだけでなく、もっと大切な「心でする子育て」やパートナーシップについても教えてもらいました。新米ママだけではなく、子どもを希望するカップルや、新米パパにもぜひ読んでもらいたい一冊です。
プロフィール

若林 香織(わかばやし かおり)
株式会社クレディセゾン 育休中。1歳の女の子のママ。

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