絵本で学ぶ、海外の文化や考え方。海外絵本特集

絵本で学ぶ、海外の文化や考え方。海外絵本特集

2018年6月21日公開

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「海外絵本」と聞いて、みなさんはどんなイメージをもちますか? 英語学習のために読むイメージもあるかもしれませんが、じつは海外文化を知るツールとして、絵本はとても役に立つんです。

最近では子どもたちに海外文化を知ってもらいたいと考えているパパママ、保育園や学校などが増え、多くの書店や図書館の特集コーナーでも取り扱われるようになりました。

今回はそのなかでも、子どもたちに物事のとらえ方を広げてもらえるような作品3選をご紹介します。
あなたの心の故郷はどこ? 「本当の豊かさ」を思い出させてくれる作品

『世界のまんなかの島 ~わたしのオラーニ~』

1,944
著者:クレア・A・ニヴォラ
出版社:きじとら出版
文:金村 孟俊(クレディセゾン ソリューション営業部)
1歳の女の子、4歳と9歳の男の子のパパ
突然ですが、みなさんが心のなかで大切にしている「一番の故郷」はどこですか?

この作品の著者は、誰もが憧れる大都会、ニューヨークに住んでいます。しかし、本当に愛している場所は著者の父親の故郷「オラーニ村」。イタリアはサルデーニャ島のまんなかにある、地中海に浮かぶ小さな村です。この絵本には、著者が少女時代、その村で夏休みを過ごした思い出が丁寧に描かれています。その描写は、読者にも、どこか懐かしい田舎の風景を思い出させます。

また、表紙をめくると、いとこたちとの楽しい思い出、自然豊かな村の様子、チーズや蜂蜜といった美味しそうな食べ物などの、色とりどりに描かれた挿絵が次々に表れます。その色鮮やかな挿絵を見ているだけでも親子で楽しめます。

本書には、筆者が家々のあいだを駆け抜け、村はずれのわき水で喉をうるおし、生まれたばかりの赤ちゃんに会いに行き、仕立屋さんの仕事場を見せてもらうなど、さりげない日常が描かれており、いま、便利なものに満たされた私たちの生活のような「豊かさ」とは違う、「人の心の豊かさ」を感じました。

さらにこの本には、村の人々がいつも家族のようにつながり合っていて、衣食住の工夫も、人の誕生や死も、暮らしのすべてが、目に見えるところ、手の届くところにある様子が描かれています。それは、異国文化でありながらも、どこか昔の日本文化のようでもあり、懐かしささえ憶えました。

そんな魅力溢れるオラーニ村への著者の愛が詰まったこの一冊。この本を読んでいつか私も、子どもを連れてオラーニ村を訪れてみたくなりました。
見方を変えれば、人生が楽しくなる。ユーモアたっぷりのおばあちゃんが教えてくれる新たな世界

『おばあちゃんと バスにのって』

1,620
著者:マット・デ・ラ・ペーニャ
出版社:鈴木出版
文:畑 達朗(クレディセゾン 九州支社)
7歳の男の子、2歳の女の子のパパ
この作品は、アメリカでも高い評価を得た絵本です。物語は、雨の日曜日、主人公ジェイと彼のおばあちゃんがバスに乗り、ある場所へ向かうところからはじまります。ジェイが乗ったバスのなかは、多種多様な人々が乗り合う、まるで人種の縮図のような場所。そこでおばあちゃんは、目の不自由な乗客と、目が見えなくても「耳でも見られる」「鼻でも見られる」といった、ユーモアたっぷりの会話を交わします。ジェイは間近でその会話にふれ、ものごとの見方を変えればどんなことでも楽しめ、素敵だと思えることを学んでいきます。

その後、ジェイとおばあちゃんがたどり着いたのは、貧しい人たちのためのボランティア食堂。そこでジェイ自身も恵まれない人たちへ食べものをあげたり、話しかけることで、自分の世界を広げていきました。はじめは、ボランティアに行かずに遊んでいる友達を羨ましがり、逆に、ボランティアに行かなくてはいけない自分を「かわいそう」と思っていたジェイも、おばあちゃんのふるまいや言葉を通して、知らない世界を知る面白さや物事の見方を変えて楽しむことの大切さ、人との出会いの素晴らしさに気づきます。

本のなかで、おばあちゃんは、ボランティアに行かないジェイの友達を「かわいそう!」と言います。さまざまな経験を経て成長したジェイなら、きっとおばあちゃんの言葉を理解できたのではないでしょうか。この本を読んで、私の子どもたちにも、ジェイのように自分の世界を広げ、人種や環境などが異なる人たちとも、分け隔てなく関われる素敵な大人になってほしいと、あらためて思いました。
見守ることが子どもの成長につながる。白い犬が教えてくれた「育児に大切なこと」

『わたしのそばできいていて』

1,512
著者:リサ・パップ
出版社:WAVE出版
文:石井 芳幸(クレディセゾン 神奈川支社 法人営業課)
11歳の男の子と9歳の女の子のパパ
みなさんは子どもがなにか間違ったとき、つい指摘してしまうことはありませんか? 私は、自宅で小学生の子ども二人の宿題を見ているときに、子どもが問題の答えを間違えていたりすると、親心からその間違いをついつい指摘してしまいます。

この作品は、本の音読が苦手な主人公マデリーンが、図書館で出会った一匹の白い犬へ本を読み聞かせていくうちに、いままで失敗を恐れ、「自分はダメなんだ」と思いこんでいた彼女の心が変化していく様子が描かれた物語です。

日本ではまだ、「犬=ペット」と考えがちで、「図書館に犬!?」と思う方もいるでしょう。ここで登場する白い犬とは「読書介助犬」といって、子どもたちが音読を読み間違えてしまっても、音読中、つまずいてしまっても、ただそばにいて、待ってくれる犬のことです。読書介助犬に本を読み聞かせることで、自然と自信がつき、読書とコミュニケーションスキルを向上させてくれるそうです。海外では日本と違った犬との関わり方もあるんですね。

この本を子どもたちと読み終えたあと、「実際にいる犬たちの物語なんだよ」と伝えると、「日本にはいないの?」「犬は吠えないの?」などと質問してきて、いろいろ気になることがあるようでした。この絵本をきっかけに、子どもたちが海外の文化に興味を持つようになり、うれしく思いました。

最後に、私はこの本に描かれた、読書介助犬が音読を間違えた主人公を批判することなく励まし、寄り添うシーンを見て、子どもはものごとに対して間違いを指摘されると、自分はそれが不得意だと思いこんでしまい、上手にできなくなってしまうこともあるんだと気づきました。これから親として、子どもが間違えたときは、ときに見守り、子どもの可能性をさらに伸ばしていきたいと思えた一冊です。
今回紹介した絵本には、海外独自の文化や考え方が描かれています。たとえば、『わたしのそばできいていて』で、読書介助犬が子どもをじっと見守り続けるシーンは、日本とは異なる文化に違和感を持つ方もいるかと思います。ですが、国によって育児習慣が異なるからこそ、海外絵本を読むことで、子どもとの関わり方の悩みが解決するヒントももらえるかもしれません。

今回紹介した絵本のように、海外作品が日本語に翻訳されたものや、日本の絵本を外国語に翻訳して出版されているものもあり、いろいろなかたちで海外絵本にふれることもできます。ぜひみなさんも、旅行だけでなく、絵本の世界を通してお子さまと一緒に海外の文化にふれてみてはいかがでしょうか?

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