本業と副業を両立するには?複業研究家と兼業作家が語る「2枚目の名刺」の本音

本業と副業を両立するには?複業研究家と兼業作家が語る「2枚目の名刺」の本音

2019年4月25日公開

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趣味で書き始めた小説が、いつしか「仕事」に
副業によって、視野や人脈は広がる反面、「自己管理」の大切さも増すと語ってくれた西村さん。次にお話をうかがったのは、通販会社に勤務しながら小説家としても活動している川越宗一さんです。川越さんも副業をすることで人生が豊かになったと感じる反面、ある悩みを抱えてもいるとのこと。小説家との二足の草鞋のリアルをうかがいました。

——川越さんは現在、会社勤めをしながら小説家としても活動されているそうですね。

川越:小説家といっても、原稿料をもらえるようになったのは昨年からです。それまでは完全に趣味ですね。30代になって少し時間ができたサラリーマンが急にジョギングを始めるのと同じ感覚で、2年ほど前から書き始めました。副業というより、何かしらの賞にひっかかって少しでもお金がもらえればいいかな、くらいの気持ちでした。

——では、本腰を入れ始めたのはいつからですか?

川越:初めて賞に出した小説が一次選考で落ちて、それから火がつきました。当初はふんわりとした気持ちで書き始めたのに、なぜだかものすごく悔しかったんです。

それに、一本でも書きあげると、世に出して多くの人に読んでもらいたい欲が生まれてきます。もともとサラリーマンをしながら30歳くらいまでバンド活動をしていたこともあって、みんなの前で表現したい気持ちは強かったんだと思います。それには、頑張って賞を取るしかない。そこから本腰を入れて取り組み始めましたね。

川越 宗一さん(会社員、小説家)
とにかく時間がない! 夫婦の時間も減りがち
——とはいえ、本業もあるので時間は限られていますよね。

川越:幸いにもその少し前から職場で残業をなくそうという動きがあり、平日も定時で帰れたのでわりと時間の余裕はありました。朝の5時に起きて執筆し、8時くらいに会社へ行く。仕事終わりにカフェや自宅で7時くらいから書き始めて、11時くらいに寝るという生活でした。あとは土日も書いていましたね。

——かなりハードですね……。

川越:そうですね。だんだん家事もサボりがちになっていったので、妻には申し訳なかったなと……。そんなぼくを見て、妻はアヤシイと思っていたみたいです(笑)。でも、一本目が書き上がる頃、本気で小説に取り組んでいることを妻に告白したら、応援してくれるようになりました。

——一本目は一次選考で落ちたということですが、そちらを修正した原稿で見事「松本清張賞」を受賞されています。小説を「仕事」として意識するようになったのは、その頃からでしょうか?

川越:賞をいただいたときは浮かれていたので、そこから先のことはあまり考えていませんでした。仕事として意識するようになったのは、処女作の『天地に燦たり』で賞をいただき、二冊目に向けた打ち合わせを編集者と始めたときですね。

それまでは締め切りがなく、その日のテンションに任せて書いていましたが、二冊目は出版時期も決まっているのでスケジュールどおりに進行しなければならない。急に仕事っぽくなってきて、ドキドキしました(笑)。

——小説を書いていることは、勤め先にいつ頃報告したんですか?

川越:賞をとったタイミングで報告しました。出版が決まり印税収入が入ることになったので、会社にもきちんと明かそうと。もともと副業はOKの職場だったので、上司も含め喜んでくれましたね。
本業・副業を両立することで「人生を2倍楽しめる」
——そこからいよいよ会社員と小説家、二足の草鞋が始まるわけですね。小説が仕事になったことで、暮らしにはどのような変化がありましたか?

川越:ゆっくりする時間がなくなったので、精神的な疲労は溜まってきていると思います。休養したり、妻と会話したりしていた時間も、いまは執筆に充てていて。執筆、調べもの、会社の仕事、この三つにしか時間を使えていない状況ですね。

たまに、忙しすぎて嫌になる瞬間もあります。でも、会社は働きやすい職場環境ですし、本業・副業どちらの仕事にもやりがいを感じているので、辞めたいと思うことはありません。

それに、両方の世界に身を置くことで、それぞれの面白さを感じることができる。そういう意味では、人生を2倍楽しめているような気がしますね。

——では、これからも会社員と小説家を両立していくと。

川越:じつは、いままさに悩んでいるところです。両立がベストですが、そんなに器用な人間でもないので……いずれはどちらかを選ぶときが来るのかなと。小説って、時間をかければかけただけ質が上がっていくものなんです。特に、ぼくの場合は一冊書くのにすごく時間がかかりますし、書くからには悔いを残したくないので、もう少し執筆時間を増やせたら、という思いはあります。

ただ、いまのところ収入の柱は会社の給料ですし、小説を専業にして生活していける保証もない。どちらか一本に絞らない、いまのかたちがベストなのかなとは感じます。

——では最後に、これから副業を始めてみたいと考えている人にアドバイスをいただけますか?

川越:何をやるかによると思いますが、副業は想像以上に時間や精神力を消耗します。それでも続けられるかどうかは、結局のところモチベーション次第。だからこそ、本当にやりたいことをやるのが大事なのではないでしょうか。

川越さんは、副業に割く時間を増やしたいとは思いつつ、本業と副業を両立したいまのスタイルが良いと考えています。本業と副業の両立に悩んでいる人や、副業をしたいけど両立できるか心配な人も、今回登場いただいたお二人の話を参考に、ぜひ自分にベストなスタイルを見つけてみてください。

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