コンビニが高齢化社会を考える。「介護問題」と向き合う、ローソンの新しい挑戦

コンビニが高齢化社会を考える。「介護問題」と向き合う、ローソンの新しい挑戦

2017年5月15日公開

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団塊世代が親にあたる、30、40代にとって「介護問題」は他人事ではありません。その団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年には、要介護者が増加し、「介護問題」はより社会化すると考えられています。そんななか、意外な企業が高齢化社会と向き合う取組みを始めています。その企業とは、大手コンビニエンスストア「ローソン」です。

ローソンは、社会福祉法人と手を組んで、「ケア(介護)ローソン」をオープンしたり、サービスつき高齢者住宅や買い物困難地域に「移動販売車」を展開したり、シニア世代とその子ども世代に向き合うサービスを始めています。しかし、コンビニがなぜ介護ビジネスに参入するのでしょうか。広報室の谷恒和さんとマーケティング本部の戸津茂人さんに、ローソンの参入が高齢化社会にどう寄与するのか、また、働く世代にとってはどのようなメリットがあるのか、具体的な取組みや目指すべき姿などを伺いました。

取材・文:笹林司 撮影:鈴木渉
プロフィール

谷 恒和(たに つねかず)
株式会社ローソン コミュニケーション本部 広報室。1998年入社、2016年から現職。

戸津 茂人(とつ しげと)
株式会社ローソン マーケティング本部 ラストマイル推進部。1997年入社。店長、スーパーバイザー、支店長を経験後、現在はローソン本社で移動販売、宅配サービスを担当している。
http://www.lawson.co.jp
「マチを幸せにする」と考えたとき、「そもそもマチのみなさんが健康でなければ幸せではない」という思いに至った。(戸津)
―コンビニは、社会の変化をいち早く感じられる場所で、常に時代に求められるニーズを反映してきました。そういった視点から、昨今の「高齢化社会」を感じることはありますか。

戸津:私は社歴20年のなかで16年ほど店舗運営に携わっていました。いわば、ローソンの現場出身です。その肌感覚から言うと、来店されるシニア層は確実に増えています。以前は、若者に向けた、ドカッとしたボリュームのある幕の内弁当などが売れていました。しかし最近は、ボリュームではなく、味や素材などの品質にこだわったお弁当のほうが売れているという変化はあります。

:シニア世代のニーズは感じていますし、来店者における割合も増えています。今後、さらに拡大していくでしょう。「コンビニ=若い人」というイメージがあるかもしれませんが、コンビニが日本に登場してからすでに40年以上が経っています。いまのシニア世代も若い頃からコンビニに慣れ親しんでおり、なくてはならない存在として認識していただいています。

左から、広報室の谷 恒和さん、マーケティング本部の戸津茂人さん
―ローソンは、以前からシニア世代に向けて、さまざまなサービスを展開してきたと伺いました。

:シニア世代だけに限った話ではないのですが、「健康」というキーワードで、2000年頃からさまざまな取り組みを始めています。店舗でいえば、病院内に「ホスピタルローソン」(2000年)を、「健康」と「キレイ」をテーマにした自然志向の商品を提供する「ナチュラルローソン」(2001年)を、薬局と提携して薬剤師が常駐する「ファーマシーローソン」(2003年)を開業しました。

―2013年からはキャッチコピーを「マチのほっとステーション」から「マチの健康ステーション」へと衣替えをしていますね。

戸津:ローソンは、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」が企業理念。リニューアルにあたり、あらためて「マチを幸せにするってなんだろう?」と考えました。そのときに、「そもそも(マチに住む人たちが)健康でなければ幸せではない」という思いに至り、「健康ステーション」といったコピーが生まれたという流れがあります。もともと、ローソンは面白いこと、他とは少し違うことをやりたいといった想いが強い会社。そういった意味で、早い時期から健康に着目していました。

:2015年から始めている「ケア(介護)ローソン」も、そういった経緯を経て生まれた業態です。手前味噌ですが、その企業理念があるから、「健康」に関わるサービスを具現化することができたと思っています。そして、その想いに賛同くださったパートナーの皆様方にも、「地域の健康や介護に役立つのなら」と、ご協力をいただいています。
「まだまだ若い」と思われているシニア世代。自治体に相談しに行くのは、抵抗が大きいんですよね。(谷)
―コンビニと介護。一般的には結びつきにくいキーワードのような気がします。ケアローソンでは、どういったサービスが受けられるのでしょうか。

:ケアローソンは、現在、全国に9店舗展開していて、通常の商品に加え、介護食や介護用品なども販売しています。さらに店内には介護事業者と提携して、無料で利用できる相談窓口やサロンスペースを設置。相談窓口にはケアマネージャーがおり、要介護にならないための予防法や、サ高住(サービスつき高齢者住宅)についての質問などを、シニア世代本人や家族から受けています。サロンスペースではイベントを開催するほか、イートインスペースとしても解放しているので、シニア同士や多世代が交流する場としてお使いいただけます。

「ケアローソン」さいたまシティハイツ三橋店。店内で介護相談(無料)が受けられる
―現在、介護に関するサポートは各自治体が設置する「地域包括支援センター」が担っています。この役割をコンビニが持つ必然性とは?

:「地域包括支援センター」は、いざ介護が必要になれば足を運ぶかもしれませんが、正直、予防やちょっとした不安がある状況で相談に行くにはハードルが高い。「まだまだ若い」と思われているシニア世代にとって、地域包括センターに相談しに行くのは、抵抗も大きいんです。

そもそも、シニア世代はインターネットでこまめに情報収集するのが得意ではなく、「地域包括支援センター」の存在を知らない方も珍しくありません。その点、コンビニに相談窓口があれば、「買い物のついでにちょっと聞いてみる」ことができる。相談のハードルが格段に下がるんですね。

戸津:「ローソンが介護なんて、専門家でもないのに大丈夫?」と思われるかもしれませんが、ケアマネージャーは介護事業者に勤めているプロフェッショナル。もちろん、その地域でも十分な実積を持っています。そういった介護事業者と組めるのも、2000年から「健康」に注目して、ホスピタルローソンやファーマシーローソンを展開していたからこそだと思います。

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