管理職はあくまで「役割」。女性管理職5割のパソナが伝えたいこと

管理職はあくまで「役割」。女性管理職5割のパソナが伝えたいこと

2019年2月5日公開

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2016年に女性活躍推進法が施行された追い風から、女性管理職を増やそうとさまざまな施策に取り組む企業が増えています。クレディセゾンでも現在、女性管理職が活躍できる職場環境づくりに取り組んでいます。また、世の中的にも管理職を目指したり、キャリアアップを目指して転職をしたりする女性が増えているそうです。

しかし、女性管理職が増えたとき、企業にとってどんなメリットがあるのかについては、あまり語られていません。また、企業が女性管理職を増やすためにどのような取り組みをしているかも、あまり知られていないのではないでしょうか。

そこで今回、女性管理職の割合が5割を超え、かつ16,000社以上の企業の採用支援を行っている株式会社パソナで常務執行役員を務めている岩下純子さんと、人材紹介事業本部 女性活躍推進コンサルティングチームの石川ともさんにお話を伺いました。

ファシリテーターを務めるのは、30代にさしかかり、管理職という役職が見え隠れするCHIENOWA編集部の岸田絵美子と栗田宏美。パソナのお二人に女性管理職の動向をうかがいつつ、現代の働く女性が抱えるメンタリティーの課題についても解き明かします。

取材:岸田絵美子、栗田宏美(CHIENOWA編集部) 文:CHIENOWA編集部 撮影:星麻子
プロフィール

岩下 純子(いわした じゅんこ)
株式会社パソナ 常務執行役員 人材紹介事業本部副本部長。大学卒業後、大手通信会社へ入社。同社退職後に専業主婦、派遣社員を経て、株式会社パソナへ入社。人材紹介事業本部にてマネージャー、部長、執行役員を経て、2018年より現職。

石川 とも(いしかわ とも)
株式会社パソナ 人材紹介事業本部 女性活躍推進コンサルティングチーム所属。2012年株式会社パソナ入社。医療業界向けの営業を経て、2016年より現職。

株式会社パソナ
https://www.pasonacareer.jp/woman/
管理職になれるチャンスがあっても、断ってしまう女性が多い
——いま、企業が女性管理職を増やす理由としては、どんなことが考えられますか。
石川:いくつか理由はあると思います。そもそも国は2003年に、「2020年までに国内企業の女性管理職の割合を30%まで引き上げる」という目標を掲げていました。

しかし、2013年時点で女性管理職の割合は11%ほど。これは、世界的に見てもかなり低い数値です。そのため、企業で活躍する女性を増やすべく、2016年4月に「女性活躍推進法」が施行されました。

この法律では、社員数が301名以上の会社に対し、女性が活躍できる会社をつくるための計画の策定と実施、その結果を公表することが義務づけられています。

また、経済産業省が2012年より「ダイバーシティ経営」を推進していることも大きく影響しています。女性や外国籍の方など、多様な人材を活かし、全員が能力を最大限発揮できる環境をつくることでイノベーションを起こそうという考え方です。

各企業は、その経営戦略への対策として女性管理職を増やし、女性活躍のロールモデルを立てることで、女性社員が活躍することを促そうとしています。

左からファシリテーターの栗田、岸田(ともにクレディセゾン)、石川さん、岩下さん(ともにパソナ)
——女性管理職を増やすために、企業は具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。
石川:女性管理職候補の方から「働き続けたい」と感じてもらえるように、ワークとライフの両立を支援する制度を整えたり、女性が進んで管理職になりたいと思えるような動機づけの研修を行ったりしている企業が多いです。

岩下:そもそも「管理職をやりたいと思いますか?」と聞いても、自ら積極的にやりたいと答える女性は多くありません。管理職をやる自信が持てずに、オファーがあっても断ってしまうケースが多いのです。女性は能力があるにもかかわらず、自分を過小評価している傾向があります。

そのため、弊社では女性が管理職を目指したり、管理職になったりすることはネガティブなことではないと伝え、一歩前へ踏み出せるような研修やセミナーを提供しています。

管理職はあくまで「役割」。本質的に人が変わるわけではない
——女性が管理職を打診されたときに、前向きになれないのはなぜでしょうか。
石川:自分だけがキャリアを積むことで、周囲との関係性を乱してしまったらどうしようとか、自分より年上の部下とどのようにコミュニケーションをとったらいいかわからないといった声を聞くことがあります。

これは、男性に比べ、女性管理職のロールモデルが少ないことが原因だと思います。管理職をイメージする際に、仕事に自分の時間をすべて費やしている方を想定し、「自分はあのような管理職にはなれない」と感じる方もいらっしゃいます。

また、私たちが見てきた女性は、責任感が強い方が多く、ご自身が設定するゴールも高いため、周りからは十分に能力を持っているように見えても「まだ自分は十分でない」と感じてしまうこともあるようです。それが自信のなさにつながってしまうのではないでしょうか。

——パソナの社内には、女性管理職のロールモデルになるような方が多いのでしょうか?
岩下:女性社員の絶対数が多いので、女性管理職の数も多いです。私の場合は、いろんな人のいいところを真似していって、自分だけのロールモデルを形成したところはありますね。それは、やはり女性管理職が多いからできることだとも思います。
——クレディセゾンも女性管理職の割合は43.6%と高いものの、管理職にはなりたくないと思う女性は一定数いるように思います。
岩下:女性は、自分が管理職になった際に周りとの関係性が変わってしまうことを不安に感じる人が多い傾向にあります。ですから、企業は社員に対して、管理職になるということはあくまで「役割」であって、本質的に人が変わるわけではないということをしっかり伝えていく必要があると思います。
社内の人と接することが多い管理部門は、女性管理職が活躍しやすい
——人材業界のトレンドに詳しいパソナから見て、企業が女性管理職を増やす際は、社内登用することが多いのでしょうか。それとも、社外から中途採用で迎え入れることが多いのでしょうか。
石川:女性活躍推進法が施行された直後は、社内から女性管理職を増やした企業が多く、社外から採用したいというニーズはあまり多くありませんでした。ですが、最近は社内登用と外部からの採用を同時進行で進める企業が増えた印象です。

——管理職経験のない女性が、キャリアアップのために転職して女性管理職になるということもあるのでしょうか?
石川:管理職経験のない女性を管理職として迎えたというケースは、まだあまり聞いたことがありません。ですが、リーダー経験や後輩育成経験のある女性を管理職候補として採用する企業はありますね。
——女性管理職が活躍しやすい職種や業務はありますか?
石川:人事、経理、広報などの管理部門が多いですね。これらの仕事は、社内の人と接することが多いので、時間がコントロールしやすいということが考えられます。実際、弊社が転職活動をお手伝いした実績のなかでは、30代後半から40代前半の結婚や育児などのライフイベントと仕事を両立している女性が、管理職候補として採用されたこともあります。

逆に、営業部門の管理職には女性が少ない印象です。ゴルフや飲み会などの慣習が色濃く残っている営業現場では、まだまだ男性が多いように感じます。結果、自ずと女性管理職の少なさにつながっているのではないかと思います。

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