親が認知症になったら……財産管理のポイントとは?-生前贈与編-

親が認知症になったら……財産管理のポイントとは?-生前贈与編-

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お母さんが亡くなって数年……ひとり残され、実家で一人暮らしをしているお父さん。どうやら最近、物忘れが多いみたいで、認知症なんじゃないかと心配しているの。もしも、訪問販売などの詐欺に引っ掛かってしまったらどうしよう……。親が高齢になるにつれ、このような心配ごとが増えてきますよね。とりわけ、「財産管理の方法」に関する悩みや疑問も増えてくるのではないでしょうか?そこで今回は、“親が認知症になった場合の財産管理の方法”について、3回に渡ってお伝えいたします。

■増えつつある認知症患者の現状

みなさんは、「認知症」と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?

「物忘れが多く怒りっぽい」「高齢者がかかる病気」「徘徊する」など……きっと、さまざまなイメージをされるかと思います。では、そんな認知症ですが、認知症患者の数が近年増えつつあるのをご存知でしょうか?

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、団塊の世代が75歳を超える2025年には、全国で認知症患者が700万人を超えるとの推計値を発表しました。2012年の調査では、患者数が462万人。これは65歳以上の高齢者のうち、7人に1人が認知症であることを意味します。そして、もし前述の推計値が現実になると、今から10年足らずの間に、5人に1人が認知症患者になる計算となります。このことから、認知症はもはや他人事ではないということが、お分かりいただけるのではないでしょうか。

■もしも親が認知症になってしまったら……

では、もしも認知症になってしまったら、どのような問題が生じるのでしょうか?

いざ認知症になってしまったら、症状の進行具合によっては、計算や判断能力を欠くようになり、財産やお金の管理をすることが非常に困難になってきます。また、要介護状態になってしまい、家族による介護が困難な場合は、「介護付き老人ホーム」に入居するという選択肢も考えなければならなくなるでしょう。しかし、入居金や月々の費用を支払うために、現在所有している金融資産や自宅を売却しようとしても、認知症が進んでしまった状態では「正常な判断ができない」とのことで、金融機関や不動産会社が応じてくれないことも考えられます。このように、現在の契約社会のなかで生活していくには、かなり不安が残ることが想像できますね。また、亡くなる直前には正常な判断ができないことが多く、相続をめぐる争いや、高齢者を狙った犯罪に巻き込まれるケースが後を絶ちません。

こういった、後々のトラブルを避けるための方法として、「生前贈与」「成年後見人」「家族信託」といった方法があります。そして今回は、第一回目として「生前贈与」について詳しくお伝えしたいと思います。

#####生前贈与における6つの活用方法とは?#####

■そもそも生前贈与とは?

みなさんご存知の通り、人が亡くなると、その人が持っていた資産は配偶者や子どもに相続されます。そして、今回お伝えする「生前贈与」とは、生きている間に無償で資産を贈与する行為のことです。もちろん、一定額以上の資産の譲渡には、(受け取った側に)贈与税がかかりますが、家族間の生前贈与にはさまざまな特例があり、利用することで相続に関する税金を少なくすることが可能になります。

■生前贈与における6つの活用方法!そのメリット・デメリットとは?

生前贈与による節税の方法として、以下の6つが挙げられます。

1.110万円の基礎控除を利用した贈与
2.夫婦間贈与の特例の利用
3.相続時精算課税制度を利用
4.住宅取得資金贈与の特例を利用
5.教育資金の贈与を活用
6.結婚子育ての一括贈与

それでは、1つずつメリット・デメリットをみていきましょう。

1.110万円の基礎控除を利用した贈与

こちらは、最もメジャーな生前贈与を活用した相続税軽減策です。人から人へ財産を無償で渡すことを「贈与」といいますが、贈与によって一定額以上の財産を取得した場合には、贈与税がかかります。その場合の計算式は、以下の通りです。

(取得財産-基礎控除110万円)×税率-控除額=贈与税額

上記の通り、基礎控除が110万円までありますので、贈与を受けた金額が110万円よりも少なければ贈与税が発生しないというわけです。そして、この制度を利用すれば、高齢の祖父母からお子さんやお孫さんに、非課税で財産を移転することが可能となります。たとえば、お子さん夫婦(2組)+お孫さん(4人)の合計8人に、毎年110万円の生前贈与を10年かけて行った場合、総額8,800万円の資産を無税で移転することができるというわけですね。この場合の注意点として、生前贈与を急ぎ過ぎて「祖父母の生活費が足りない!」、または「介護が必要になったけれど、介護付き老人ホームへの入居金がない!」といった事態に陥る恐れがあります。よって、ライフプランを立て、計画的に行うことが大切です。

2.夫婦間贈与の特例の利用

こちらは何かというと、以下の条件をすべて満たす場合に限り、前述の「110万円の基礎控除枠を活用した贈与」とは別に、さらに2,000万円までが夫婦間贈与の特例として非課税になるというものです。

①戸籍上の婚姻期間が20年以上の「夫→妻」、あるいは「妻→夫」への贈与
②国内の居住用不動産、あるいは居住用不動産を購入するための金銭の贈与
③翌年3月15日までに入居し、その後も継続して住む予定であること

この特例を利用する場合は、「同一の夫婦間では、一生に一度しか使えない制度」であるということに気をつけてくださいね。

3.相続時精算課税制度を利用

相続時精算課税制度は、60歳以上の親か祖父母から、20歳以上の子どもか孫への贈与の場合に利用できる制度となっています。ただし、こちらの制度を選択・利用すると、110万円の基礎控除が利用できなくなるのと、途中で制度の利用を撤回することができませんのでご注意ください。また、こちらを利用すると、受け取った金額(現金だけでなく不動産も可)が、通算で2,500万円までなら贈与税がかからなくなります。とはいえ、将来相続が発生した時(親または祖父母が亡くなった時)には、この制度を利用して過去に贈与された全ての資産と相続開始時の資産を合算し、それをもとに相続税の計算を行いますので、贈与税こそかからなくても相続税がかかるおそれがあります。そのため、相続時精算課税は、将来相続税が発生しないような家庭(※)の場合で、かつ、今のうちに多くの財産が欲しい場合に非常にメリットがある制度となっています。

※相続税がかからない範囲とは、基礎控除額の範囲内のことであり、基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数で算出することができます。

4.住宅取得資金贈与の特例を利用

こちらは、自分が住む住宅の購入資金を親や祖父母から贈与してもらう場合に、条件によって700万円から最大3,000万円までの贈与が非課税となるというものです。(対象者は、父母および祖父母からの贈与で、対象は贈与する年の1月1日に20歳以上の子あるいは孫に限られます。)この特例の背景および狙いは、以下の通りです。

近年、住宅の一次取得者である30歳代の平均年収および平均貯蓄は低下傾向にある一方で、住宅価格は上昇傾向にあり、住宅取得資金は大幅に不足しています。一方、60歳以上の高齢者世帯の約4分の1は3,000万円以上、約3分の1は2,500万円以上の貯蓄残高を保有しています。そこで、このような高齢者の保有する資産を住宅取得者層に移転させ、住宅取得に係る負担の軽減を図る……という狙いがあるということですね。(国も表立って言ってはおりませんが、住宅産業は金額も大きく裾野も広いので、おそらく“景気への配慮”といった側面もあるのだと思います。)

いずれにせよ、新居の購入を検討している人にとっては、非常に役立つ特例制度といえますね。この制度の注意点は、「翌年3月15日までに入居し、その後も継続して居住すること」が条件であるということです。

関連コラム:「◆特集◆『贈与税』を学ぶ!(住宅取得等資金における一括贈与の非課税について)

5.教育資金の贈与を利用

平成25年4月から、「教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置」がスタートし、30歳未満の子や孫に対する教育資金の一括贈与に、非課税枠が設けられました。対象となる教育費は、「学校の教育費」と「学校以外の教育費」の2つで、上限額は1,500万円(うち、学校以外の教育費に関しては上限500万円まで)となっております。この制度の注意点は、「贈与を受けた子どもや孫が30歳までに教育資金を使い切れない場合、残った金額に対して贈与税が課税される」という点です。

関連コラム:「◆特集◆『贈与税』を学ぶ!(教育資金における一括贈与の非課税について)

6.結婚・子育ての一括贈与を利用

こちらは、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の方が父母や祖父母などから、結婚・子育て資金のために贈与を受ける際に利用できる制度です。一定の要件を満たした上で贈与を受けることができ、1,000万円までであれば、贈与税が非課税扱いになります。「結婚」に関する資金として該当するものは、結婚式と結納や結婚に伴う引越しなどにかかる費用で、「子育て」に関する資金として該当するものは、妊娠や出産、不妊治療にかかる費用と、子どもの医療や保育にかかる費用です。

関連コラム:「◆特集◆『贈与税』を学ぶ!(結婚・子育て資金における一括贈与の非課税)

いかがでしたでしょうか?ここまでに説明した6つの「生前贈与を活用した相続税軽減策」は、認知症対策に限らず、通常の節税対策としても利用される方法です。とはいえ、どの方法を選択するのが良いか?は、家族構成などによっても異なるため、みなさん自身で見極めるには高いハードルがあるといえます。よって、これらの方法をご検討の際には、一度専門家であるファイナンシャルプランナー(以下、FP)に相談することを強くおすすめします。Sodanでも、無料でFPに相談できるサービスをご用意しておりますので、まずは話だけでも聞いてみたいという方は、こちらもあわせて活用してみてくださいね!

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