「お母さんにやさしい国」世界一のフィンランドから学ぶ、日本の子育て問題

「お母さんにやさしい国」世界一のフィンランドから学ぶ、日本の子育て問題

2016年4月26日公開

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「男女平等」という国民の考えが、女性活躍や育児制度の普及に繋がった
―フィンランドの男性は「夫婦ともに育児をする」という考えを持っているそうですね。育児に積極的なパパになるために、大事なこととはどんなことだと思いますか?

ミッコ:一番大事なのは「働き方」だと思います。フィンランドは9時から17時まで働いたとしたら、それ以降はフリータイム。子どもが生まれる前は自分だけのために時間を使っていたので、それが削られることにあまりいい気はしなかったのですが、子どもが生まれたらそんな考えなんて消え去るほど、かわいいですよね。……と言いたいですが、やはり少しはショックでした(笑)。でも、子どもがいる生活には徐々に慣れていきました。

―どこの国のパパも最初の頃は同じ気持ちなのかもしれないですね。フィンランドは「男女平等ランキング2015」(※世界経済フォーラム発表)で世界第3位というデータもあります。パパが育児に対してものすごく協力的な理由は、ジェンダーギャップのない国民性からきているのでしょうか?

ミッコ:フィンランドは日本と同じくらいの国土面積を持っているのですが、人口はわずか日本の4%と少ないうえに、ヨーロッパ人はプライベートを大事にするので、なかなか経済が成長しなかった。さらに、フィンランドはいくつかの戦争をしては負けてという歴史を繰り返していたため、復興するには男女関係なく力を合わせないといけない状況に陥っていました。そこから男女平等という考えが根づいて、自然と女性の社会進出が進んでいきます。その結果、母親の就労有無に関わらずすべての子どもに保育施設を用意することが各自治体の義務となり、子育てについてのサポートが増えていきました。

―子どもの入園は日本でも深刻な問題です。誰でも預けられる環境であれば、女性も安心して出産に踏み切れますよね。

ミッコ:そうなんです。さらに、出産後3年間は育休がもらえ、その後会社に同じポジションで戻れる保障もされています。しっかりと法律として定まったからこそ、女性は育児も仕事もしやすい環境を作ることができたのです。今の日本ではキャリアを捨てて出産するか、キャリアを保つために出産を諦めるか、二者択一の人が多いですよね。そんな環境ではいつまでも少子化は解決しない。女性にとって選択肢や可能性がたくさんあることが、これからの日本には何よりも大事なことだと思います。

―少子化を解決するには、国の保育制度だけでなく、男性や企業も「子育て」について考えなくてはいけません。フィンランドで父親の育児休暇制度が整い始めたのはいつ頃でしょうか?

ミッコ:父親の育児休暇のはじまりは1978年です。最初に男性の育児休暇ができたときは取得率3%くらいでしたし、現在の日本のように、実際に取ると嫌な目で見られることも多かった。でも、今は80%近くの人が取得するようになり、取らない人のほうが悪い目で見られるようになりました(笑)。最近ではPRのために、大臣や首相も育児休暇を取りますよ。私自身も3人の子どもがいますが、すべて育児休暇を取りました。長男は1歳のときに2か月間、取得。妻はすでに社会復帰していたので、一人で子育てをしていました。当時息子は少し歩けるようになっていたので、目が離せない時期。1日ずっと一緒にいる環境にはかなり疲れましたが、おかげで妻への尊敬の気持ちが高まりました。これは、土日だけ見ているパパにはわからない苦労だと思います。さらに、育児は仕事よりも格段に大変なことだと理解することができました。また、フィンランドの女性は3年間育休を取得することができますので、長い育休の時間を利用して、仕事のスキルアップのために勉強をしている人もいます。

―パパ育休などのお話を聞いていると、今の日本はまるで昔のフィンランドを見ているようだと思いました。

ミッコ:そうかもしれないですね。2010年から日本では「イクメン」という言葉がブームになっていますが、「ブーム」というのは過ぎ去ることがあります。でも、この男性育児参画は終わらせてはいけない。そもそも、フィンランドには「イクメン」という言葉はないんですよね。だからイクメンを訳すときは「パパ」という言葉しか見当たらない。日本でもイクメンという言葉がなくなって、パパの育児が「普通のこと」になるのが理想ですよね。
政府や会社が変わる前に、夫婦が一歩ずつ近づく努力をすれば家族がハッピーになる
―日本がフィンランドのようになるために、するべきことはどんなことでしょうか?

ミッコ:やはり、社会が変わることが大事だと思っています。何よりも、国全体で「子どもを産み育てること」をもっと肯定的にアピールする必要があります。基本的に、出産・子育てにはお金がかかると思っている人が多いですよね。さらに、保育園の待機児童の問題もあるし、キャリアの問題もある。これだけ問題が山積みだと、なかなか出産に踏み切ることは難しいと考える人が多いはず。さらに現状は、仕事と家族の時間の使い方をもっと上手くしないと、子どもとの時間を取ることができないですよね。

―ネガティブな発想を持ってしまう情報ばかりではなく、プラスのアピールを考えなくてはいけない、と。毎日、朝早くから終電まで働いているパパは、週末に子どもと全力で遊ぶ体力が残っていないという人も多そうです……。

ミッコ:そうなんです。そうなると、ママの怒りも頂点に、なんてことも(笑)。そんなタイムスケジュールを少し見直すだけでも、家族の形は変わってくると思いますよ。でも、子どもを育てるためにはお金も必要で、そのために、がむしゃらに働くパパたちもいる。そこは完全に日本とフィンランドの価値観の違いなんですよね。フィンランドは税金がものすごく高いのですが、そのおかげで義務教育にお金がかかりません。さらにフィンランドでは小さな頃からの受験戦争などはほとんどないですし、小学校もリラックスできるような学習過程で、夏休みも10週間ほどある。何に時間をかけるかは、国や人で違ってくるので何とも言えませんが、子どもに与える価値観が二つの国を大きく分けている気がします。

―「イクメン大使」とも呼ばれているミッコさんから、日本のパパにメッセージをお願いします!

ミッコ:子育ては本当に大変です。だからこそ、家族と仕事のバランスを探してください。もっと奥さんをサポートして、子どもとの時間を過ごしてほしいですね。もちろん、毎日の仕事とキャリアを意識しながら働いた後、子育てをすることは大変です。でも子どもとの時間を増やした生活は、すごくハッピーになるはずです。さらに、パパが家族と仕事のバランスを変えてみると、ママの心もどんどんハッピーになりますよ。子育てや家事の大変さなど、家庭の内情を理解すればするほど、パパはママをもっと尊敬するようになると思います。

―苦労というのは、体験しないとわからないことが多いですからね。とくに育児はやってみないと大変さがわからないですし、気づかないうちに子どもはどんどん成長してしまう。

ミッコ:それはママにも言えること。仕事をする経験がないと、仕事の苦労はわからない。今は就職したことのあるママが多いから、仕事の苦労をわかっている人は多いですよね。でも反対に、育児の辛さを知っているパパは少ないので、ちゃんと体験したほうがいい。片方の体験だけをしていると、お互いが違う星の人に思えてくる。なので、この二つの星はしっかり交わらないといけない。もちろん、政府や会社が変わらないと難しいところもあります。でもまずは徐々にお互いが一歩一歩近づく努力をして、家の中をもっとハッピーにするところから始めてみましょう。

―家族がハッピーになるために、ママがパパにできることはどんなことでしょうか?

ミッコ:もっと育児や家事のことをパパに教えてあげてください。基本的に洗濯、料理、子どもと遊ぶこと、お風呂に入れることは、パパでもできることです。ちゃんとシェアをして、しっかりとコミュニケーションを取ることが大事。よく、お互いが理解してくれないからと決めつけて、諦めてしまう夫婦もいます。でも、それはとても危険なこと。お互いがしっかりと話し合って、育児も仕事のバランスも理解し合うことが重要だと思いますね。
書籍紹介

『フィンランド流 イクメンMIKKOの世界一しあわせな子育て』

1,515
著者:ミッコ・コイヴマー
出版社:かまくら春秋社
ベイビー・ボックス紹介

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フィンランド・ベイビー・ボックス株式会社

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