だれのマネもしなくていい。スタートトゥデイ取締役に聞く、現代女性のキャリア論

だれのマネもしなくていい。スタートトゥデイ取締役に聞く、現代女性のキャリア論

2018年3月22日公開

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近年、副業やテレワーク、男性社員の育児休暇の取得など、働き方の選択肢は広がりをみせています。なかでも女性は、出産や育児というライフイベントに密接なため、自分のライフスタイルやスキルを見直したときに、果たしてキャリアアップすることだけが正解なのか、それとも違う働き方もあるのか、悩む人は少なくありません。

政府は2020年までに女性管理職比率30%という目標を掲げ、女性の役職登用を推進しています。しかし、日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイで人自本部管掌取締役を務める大石亜紀子さんは、「出世を選ばなくても良い」と語ります。多様性が重視される現代で、女性はキャリアとどう向き合うべきなのでしょうか。そこで、女性社員が7割を占めるクレディセゾンの取締役営業推進事業部長・武田雅子と、対談を行いました。

ファシリテーターを務めるのは、短時間勤務のワーキングママとして、管理職ではないもののチームリーダーを任されているCHIENOWA編集長の栗田宏美。いままさにキャリアの分岐点にいる栗田に、管理職の道を選んだ二人が語ったこととは?

取材:栗田宏美(SAISON CHIENOWA)
構成:タナカヒロシ 撮影:豊島望
プロフィール

大石 亜紀子(おおいし あきこ)
2002年に株式会社スタートトゥデイに入社。2007年6月に取締役に就任(当時30歳)。プライベートでは31歳のときに第一子を出産。同社初となる産休を取得した。
https://www.starttoday.jp/

武田 雅子(たけだ まさこ)
1989年に株式会社クレディセゾン入社。カードカウンターに配属後、全国5拠点にてショップマスター(カウンターの責任者)を経験。2002年に営業推進部業務統括課、2003年に営業計画部トレーニング課・人事部人材開発課 課長に就任。2008年には女性初の人事部長となり、現在は取締役 営業推進事業部長・戦略人事部キャリア開発室長を務める。
「チャレンジしてみようかな」という気持ちを、まずは信じてみる
ーさっそくですが、お二人のキャリアアップのきっかけと、そのときの心境をお聞きしたいです。

大石:私が管理職になった2006年は、ZOZOTOWNが立ち上がったばかりのころ。まだ会社が小さくて、当時いた社員の多くが管理職になったんです。女性は私一人だったので、同じ土俵に乗せてもらえたうれしさもあったし、不安もあったけど、みんなでやるしかないという状況だった。きっかけはそういう理由でしたが、責任を持って頑張ろうと自分の意思でスタートしたので、後悔はありません。

ー武田さんが管理職になったときは、どういう状況だったのですか?

武田:私は23歳のときにカードカウンターのショップマスターという役職に就いたのですが、当時全国170店舗のショップマスターのなかで、いちばん年下だったんです。当然マネジメントの知識なんて何もない状態でしたけど、少なくとも前任者より上手にできる自信はあって。同じ建物に入っているテナントさんからも「武田さんがマスターになったほうがいいよ」と言ってもらえたことも大きかったですね。

だから、「いまよりも働く環境をマシにできるなら、やってみようかな」と思ったの。まぁ、いざやってみると、全然うまくできなくて泣く毎日が続くんですけど(笑)。

左からファシリテーターの栗田(クレディセゾン)、武田(クレディセゾン)、大石さん(スタートトゥデイ)
ーでは、お二人が管理職やショップマスターになると腹をくくったのは、任命されたタイミングということでしょうか?

武田:そうですね。私は言われた瞬間だったかな。自分が管理職になることにそれなりの覚悟がないと、チームメンバーにも迷惑がかかってしまいますから。少し前のお話ですが、民間企業の女性幹部などによる相互交流・研鑽目的で2007年につくられたNPO法人のファウンダーが、当時「キャリアの馬に乗ったら降りるな」と語っていました。それは、「一度決めたら覚悟を持って取り組む」ということ。私はそのとき、すでに管理職の立場でしたが、任命された当時もこのような気持ちを持っていたことを思い出しました。

大石:私は腹をくくったというよりは、社長の前澤(友作)だったり、創業時のメンバーだったり、選んでくれた人を信じていた部分があって。もし私が管理職としてダメだというときは、向こうからタオルを投げてくれるだろうなという安心感があったので務めることができたんです。

武田:素晴らしい信頼関係ですね!

大石:腹をくくるのは素晴らしいことですけど、嫌だったらやめればいいし、責任感に追われて自分を犠牲にする必要もないと思うんです。来たチャンスに対して、ちょっとでも「選ばれてうれしい」とか、「チャレンジしてみようかな」とか、そういう前向きな気持ちがあるから悩むと思うので、その気持ちを信じて、あとは選んでくれた人を信用すればいいのかなと思います。

ー会社も、この人ならできると思って、オファーをするわけですもんね。

大石:そうですね。会社や上司の決断を信用できないなら、そもそも会社とその人が合わないのかもしれない。もちろんメンバーに迷惑をかけてはいけないので、リーダーや管理職になることを決めたのなら、一生懸命頑張るしかない。ただそれだけだと思います。

だから、明日全力で頑張れるかどうか。それが覚悟のきっかけでいいんじゃないでしょうか。理想のライフスタイルや家庭を投げ打つ覚悟という意味ではなく、明日も楽しくやれそうかなとイメージすることが大事なのかもしれません。

自分のキャリアにおいて、誰かのマネをする必要はない
ーマネジメント経験がない人は、管理職やリーダーになることに対して、敷居の高さを感じているのかもしれません。

武田:きっと私や大石さんは、深く考えないで、川の流れのなかでここにたどり着いていた。だけど、キャリアをすごくマジメに考えている人にとっては、管理職になること自体がすごく高い塀になっちゃっている。とはいえ、立場が人をつくることもあるんですけどね。

あと、どんな上司を見てきたかも大きく影響すると思います。「武田さんでもできるんだから」とか、その逆で、「武田さんのようにはできない」とか。

ー周りと比べてしまうんですね。

武田:私を見て、「武田さんのようにはできません」って、できない理由を探す人がいたら、「それはそうだよ。だって、あなたは私ではないのだから。あなたはあなたのやり方でやればいいんだよ」と話します。自分のキャリアにおいて、誰かのマネをする必要はないんです。

大石:うちの管理職は、課長、部長、本部長の3レイヤーなのですが、いわゆる一般職から課長に上がるタイミングで、お給料がバッと上がるんです。ただ、責任が伴うというところで天秤にかけたときに、男性だったらやりがいやお金がプレッシャーに勝る傾向があるかもしれないけど、女性はプレッシャーと対価を天秤に乗せたときに不安になるというのは、なんとなくわかりますし、それは私も一緒です。

ただ、本人の好みというか、なる、ならないの選択肢はあるわけなので、好きなほうを選べばいいと思うんですよ。基本的に会社はキャリアに対してそっぽ向いてる人をいきなり選任することはないと思うんです。

武田:管理職のメリットという意味では、裁量もありますよね。自分で決断できる人や、自分の優先順位や価値観で進めていったほうがいい人はメリットがある。そういうタイプの人は、管理職になって裁量を持ったほうが間違いなく仕事が早く進みます。いちいち報告せずに、責任を持ってどんどん好きに進めていいというのは管理職になることの大きなメリットかな。

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