人気産婦人科医・宋美玄が語る。現代女性が抱える高齢出産・不妊治療の真実

人気産婦人科医・宋美玄が語る。現代女性が抱える高齢出産・不妊治療の真実

2016年6月1日公開

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妊娠だけに固執して盲目的にならず、いろいろな人の話を聞くことで視野を広げてほしい。
―さまざまな苦境のなかで行わざるを得ない不妊治療や妊活で、気をつけたほうがいいことは何ですか?

:不妊治療の先生たちが口をそろえて言うのが、妊娠だけに固執して、盲目的にならないでほしいということです。「子どもができればすべてが解決して幸せになれる」とか。子どもが欲しいときは、子どもを生んでいる人がすべてを手に入れたように見えたりするじゃないですか。私も初産が遅かったので、同じような思いを抱えたことがあります。でも、実際に産んでみると、まったくそんなことありません。また別の悩みが生まれるのです。なので、視野を広げることが大切。ただ、子どもが欲しい人にとっては、それもなかなか難しい話ですけどね。

―固執してはいけないとわかっていても、治療中の女性は精神的にも体力的にも、センシティブになってしまいがちです。

:そうですよね。でも一つ言えるのは、子どもができたらバラ色の人生があるというようなものではなくて、産んだ人には産んだ人の喜びや悲しみがあるし、産んでいない人にも同じように喜びや悲しみがある。なので、いろいろな人の話、正直なところっていうのを聞いてみるのがいいと思います。それから、よく「人生の経験として子どもを産むべき」とか言う人がいるじゃないですか。でも、産んだほうが人生の経験値が上がるなんてことはないと思います。

―女性として生まれたからには、子どもを産みたいと考える人もいます。

:女の証は妊娠だけじゃなくて、月経があることもそうだし、膣があることもそうだし。自分がどうして子どもが欲しいのかということを、改めて考えておくのも大事だと思いますね。私の場合は、家族が欲しかったんですよ。だからやっぱり産みたいなと。だけど旦那はまったく子どもを欲しそうではなくて。「私が子どもを産めない年齢になるのを待っているでしょ!?」とか散々言って(笑)、相手がようやく重い腰を半分くらい上げたときに子作りを始めました。
自分でコントロールできないのが「妊娠」。だから「自分のせい」と考え過ぎないでほしい。
―宋さんは昨年、2人目のお子さんをご出産されましたが、なかには2人目がなかなかできないという話も耳にします。最近は、働きながらの子育てが負担になっていることも考えられるのでしょうか?

:よくある「2人目不妊」ということですけど、みんな勘違いしているのは、1人産んだら何人でも産める身体なのかと言えば、そういうわけではないのです。子どもを産もうが産むまいが、卵子は平等に年を取っていくもの。なので、1人目より2人目のほうが妊娠しづらいのは当たり前なんですよね。専業主婦の方でも2人目不妊はいっぱいいます。自然妊娠の場合で考えると、男女というのは結婚して同居し、妊娠、出産するたびに、どんどんセックスレスになっていく。それもあって、自然妊娠という面からすると2人目は不利だし、年とともにできづらくなるというのはあります。

―逆に、いまは産む予定はないけれど、将来的には欲しいという人が準備しておくべきことっていうのはありますか?

:そういう方は、ピルを処方するのも一つの方法だと思います。例えば初潮が13歳だとして、それから妊娠をしないまま30歳くらいまで約17年、排卵・生理・排卵・生理を毎月繰り返すということは、少なからず身体に負担がかかっているんですよね。場合によっては子宮内膜症とか子宮筋腫とか、将来的には卵巣がんとかに繫がることもありますから、排卵と生理による負担を抑えてあげるのがいいと思います。逆に、いま子どもが欲しいという人は基礎体温を2〜3か月でもつけると、排卵をしているかどうかの情報になります。それから、たばこを吸っている人は禁煙。あと、標準体重であること。痩せ過ぎも太り過ぎも排卵障害を引き起こす原因にもなります。

―平均初産年齢が30歳であるいま、女性たちは早くから自分の身体を見つめ直す必要がありそうですね。でも現実は、仕事が忙しくて生活が不規則になっている女性も多いと思うのですが……。

:私も当直を月に13回とかしていて、こんなんで大丈夫なのかなぁって思いましたけど、どうしても不規則になっちゃいますよね。世間で「妊活」と呼ばれているものを見ると、ストレスをなくしましょうとか、規則正しい生活をして身体にいいものを食べましょうとか言われています。もちろん、それも大事なことですが、結局のところ、こうしたら確実に妊娠するというものはありません。自分でコントロールできる部分は少ないんです。だから、あまり「自分のせい」だとか考えすぎないようにしてほしい。とは言え、「あのときこうしていたら……」と、考えちゃう性格の人は、あとから後悔しないためにもバランスのいい食事に変えるなどして、生活や体質改善はしておいたほうがいいのではないでしょうか。

―また、いまは35歳からが高齢出産と言われますが、高齢出産によって高まるリスクにはどんなことがありますか?

:最大のリスクは「不妊」です。その次が流産で、よく言われるダウン症といった障害を持った子どもが生まれるリスクは、それらに比べたら低いです。高齢出産の場合、何よりもまずは妊娠できるかどうかなんです。もちろん、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病、難産といったリスクは、若いときに比べたら高まります。でも、そういったことは通常の妊婦検診を受けて、きちんとした病院で産めば対処してもらえることなので、高齢出産だからと言ってあらゆるリスクを考えすぎるのもよくありませんよ。

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