アナフィラキシーの症状を抑える分子を発見

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マスト細胞から産生される「プロスタグランジンD2」


画像はリリースより

 食物アレルギーやハチに刺されたときに起こる「アナフィラキシーショック」。短時間で全身に症状が出る強烈なアレルギー反応で、食物が原因の場合、発症後30分ほどで心停止に至ると報告されています。症状は、皮膚、粘膜、呼吸器などの臓器に現れ、血圧低下や意識障害を引き起こし、重篤なケースでは死亡することもあります。

 このようなアレルギー反応に関わっているのが「マスト細胞」。炎症や免疫反応などに重要な役割を持つ細胞です。アレルゲンが体内に入るとマスト細胞が活性化し、ヒスタミンなどの炎症物質を大量に放出することで、かゆみなどの症状が引き起こされるという仕組みです。

 アナフィラキシーは、これらの物質が血管透過性(タンパク質や血球のような物質や細胞が血管の中から外へ出るときの出やすさ)を急激に上昇させ、体温や血圧が低下することで発症。ヒスタミンと同時に、マスト細胞から脂質メディエーターの「プロスタグランジンD2(PGD2)」が大量に作られることがわかっていますが、この物質の作用についてはこれまで不明でした。

過度なアナフィラキシーを制御することが判明

 東京大学大学院の村田幸久准教授と中村達朗特任助教らのグループは、アナフィラキシー反応を起こしたマウスを用いた研究に着手。研究から、PGD2が血管透過性の急激な上昇を抑えることで、過度なアナフィラキシーを抑える働きを持つことを発見しました。さらに、PGD2が作用する受容体を突き止め、薬物によるこの受容体への刺激が、アナフィラキシーの抑制に有用なことも証明しました。

 つまり、マスト細胞はアレルギー症状の“元”となるヒスタミンなどの炎症促進物質を産生するとともに、過度なアナフィラキシー反応を抑えるために、PGD2も産生していることが明らかになりました。

 アナフィラキシーの治療法は現在、抗ヒスタミン薬や気管支拡張薬、重度の場合は経口副腎皮質ステロイド薬などの内服薬が使われていますが、PGD2を応用することで、新しいアナフィラキシーの治療法につながることが期待されます。同時に、研究グループでは「マスト細胞の存在意義や生体の恒常性維持機構を理解する上でも大変重要な発見」と位置づけています。(菊地 香織)

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