酸化ストレス、妊娠高血圧症候群で意外な“効果”

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複雑な病態、発症原因もはっきりしない妊娠高血圧症候群


画像はリリースより

 妊娠中期から高血圧を発症する妊娠高血圧症候群。お腹にいる赤ちゃんの発育を妨げるだけでなく、母親に手足のむくみや臓器障害などをもたらし、命に関わる事態を引き起こすこともあります。高血圧と聞くと、生活習慣病が思い浮かぶかもしれませんが、それとは別物で、発症原因はほとんど解明されていません。

 発症率は、全妊婦の3~5%ですが、病態は複雑で、発症や悪化原因もはっきりしていません。ただ、妊娠高血圧症候群の胎盤では、細胞に傷をつける活性酸素種などの分子が蓄積した状態である「酸化ストレス」が亢進しており、酸化ストレスが血管などの胎盤組織を障害し、病態を悪化させると考えられていました。

 東北大学の祢津昌広助教らによるグループではかつて、「Nrf2」というタンパク質が、酸化ストレスを軽減する役割があることを発見していました。今回は、この酸化ストレスが妊娠高血圧症候群の病態を解明する鍵になると考え、妊娠中の酸化ストレスレベルを変化させるマウス実験を行いました。

酸化ストレスで胎盤内の血管細胞を増殖

 実験の結果、妊娠高血圧マウスでは20%程度のマウスが妊娠中に死亡しましたが、酸化ストレスレベルを下げたところ、約40%のマウスが死亡と、死亡率が倍に増加。一方、酸化ストレスレベルを上げたマウスでは、死亡率を5%以下にまで抑えることができました。

 次に、酸化ストレスが妊娠高血圧症候群の症状を改善する仕組みを明らかにするため、胎盤の解析を実施。妊娠高血圧マウスの胎盤では血管の数が少ないことが知られていましたが、酸化ストレスレベルを下げたところ、さらに少なくなりました。逆に、レベルを上げると、正常な妊娠マウスと同程度の血管が形成されることがわかったそうです。詳細な解析を行ったところ、酸化ストレスが妊娠高血圧症候群の胎盤内で血管の細胞を増殖させる働きがあることを明らかにしました。

 これまで、酸化ストレスは、妊娠高血圧症候の原因のひとつとされる“悪役”でしたが、今回の成果により、症状を改善させるという意外な“効果”が示されました。未解明部分が多い疾患だけに、研究グループは、「今回の発見が、病態解明と治療法開発につながることが期待される」としています。(菊地 香織)

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