「男の子のプロ」が教えるママが知りたい育児③ 勉強嫌いの息子を変える「心のごほうび」とは?

「男の子のプロ」が教えるママが知りたい育児③ 勉強嫌いの息子を変える「心のごほうび」とは?

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いま「男の子育児」関連の本に注目が集まっています。その理由は、男の子の気持ちや行動が理解できずに悩んで葛藤しているママがたくさんいるから。でも「男を生きていない」ママが、男の子を理解できないのは当然のこと! そこで、元保育士で自身も3人の息子を育てたという、NPO法人ファザーリング・ジャパン(「父親であることを楽しもう」をコンセプトに全国で父親支援をしている団体)顧問の小﨑恭弘さんに「男の子の育て方(全4回)」について連載していただきます。

3回目は、学齢期を迎えた息子の「やる気スイッチ」を押すために、親ができることを紹介します。友だちと遊ぶのが楽しいからと、勉強、習いごとをおろそかにする息子に対して、つい頭ごなしに怒ってしまうお母さんは多いはず。小﨑さんによると、単純で素直な性格の男の子には、たくさんほめてあげると効果的だと言います。やる気を出すための「ほめかたテクニック」を伺いました。

撮影:大畑陽子
学齢期は、男の子パワー絶頂期。人生最大のわんぱく年齢に突入します。
小学校に入学すると親も子どもも、毎日全力で走り抜けるような慌ただしい生活が始まります。さらに学校の都合で動くことが増え、「行事ごとの時間割変更や、持ち物の名前書きに対応するだけでも大変!」と、嘆くワーキングママも多いはず。

そんな親を尻目に、学齢期に入った男の子は「パワー絶頂期」を迎えます。有り余る体力を発散するかのように、ジャングルジムから飛び降りたり、秘密基地を作ったりと、とにかく大好きな遊びに夢中になります。自分を振り返っても、息子3人を見ていても、学齢期が人生で一番パワー全開なときだったと思います。

男の子たちは本当に生き生きと楽しそうに、そして友だちといっぱい遊びまわります。それは素敵なことですし、親もその姿を見たら、「まあ楽しそうだからいいかー」と思うことでしょう。しかし本当にそれだけでいいのでしょうか?
勉強してほしい! 男の子のやる気スイッチを押したいなら、良いほめかたを身につけましょう。

学齢期に入ると、学校ではもちろん毎日授業があり、勉強をします。また、習いごとを始めるタイミングでもあります。お友だちと遊ぶことばかりに夢中になって、勉強や習いごとをつい後回しにしやすい男の子たち。親までもが「いまが楽しければそれでいい!」という、男の子特有の「いま・ここで」という思考になってしまうのは、よくあるお話です。

男の子は、リアルを大切にする生き物です。これから先のことを見通したり、また将来のために我慢や努力をすることが少し苦手だと言われます。もし、勉強してほしい、習いごとを頑張ってほしいのなら、お母さんが男の子の「やる気スイッチ」をうまくコントロールしてあげることも必要だと思います。ただし、大切なのは、強制的に勉強させるのではなく、「男の子が自ら進んでやる状況を作る」ということ。

連載の2回目でも少し述べましたが、男の子はプライドが高い傾向にあります。他人からどう見られているかをとても気にしますし、人に負けたり、劣っていることを認めるのを嫌います。だから、「勉強しなさい!」と頭ごなしに怒るだけではなく、息子の心とプライドを上手にくすぐり、やる気を起こしてあげてください。そのためには、「良いほめかた」をお母さんが身につけると良いでしょう。
子どもをほめるとき、「すごいね」の繰り返しになっていませんか? それだけでは気持ちが伝わりません。
まずは、私が12年間の保育士時代の経験で得た、「良いほめかた五か条」を教えましょう!

・ほめるときは、より具体的に
・男の子のツボをおさえる
・オーバーなくらい感情を込める
・ほめるタイミングを逃さない
・自らの喜びとともにほめる


「なんだ、簡単じゃないの」と思った、そこのお母さん! 実際にほめてみると案外、難しいものなのです。たとえば1つ目の「より具体的にほめる」。これができているか簡単なテストをしてみましょう。紙とペンを用意したら、1分間で「子どもをほめる言葉」を書き出してみてください。それではやってみましょう! よーい、スタート!

「かわいい」「かしこい」「えらいね」「頑張ったね」「すごいね」……、5つぐらいは書けましたか? 私はこのテストをよく講演会でやるのですが、平均して6〜8個程度で、10個を超える人は少ないです。なかには30個書いてくれる強者もいますが、その多くは保育士や教師など、子育てのプロでした。つまり多くのママは、普段からほめ慣れていないということ。できるだけ多くの言葉で具体的にほめてあげることで、子どもは「自分はいま、何を達成したのか」を理解します。

具体的なほめ方の例をいくつか挙げます。1つ目の「具体的に」の場合、「玄関の靴、そろえてくれてありがとう! お父さんが仕事から帰ってきても、きれいな玄関だと気持ちいいよね」。これは、一つひとつの行動や事象を具体的にほめているので、次に同じ行動をとりやすくなります。2つ目の「ツボを押さえる」は、「工作で作った羽の角度と色がかっこいいね〜。あんな工夫どうして思いついたの!?」。男の子の小さなこだわりを共感することで、心をくすぐります。

反対に、良くないほめかたもお伝えします。

・何をしても「すごいねー」で済ませてしまう
・子どもは工作を誇っているのに、算数のテストをほめるなど、的を射ない
・顔も見ずに、毎回同じ適当な言葉でほめる
・「昨日あのプレー良かったよ」と、時間が経ってからほめる
・親の想いを込めずに、事象だけほめる


つまりこれは、親がほめていても男の子の気持ちとの間にずれが生じているということ。「ほめ」は、子どもに対する親からのポジティブなメッセージです。うまく伝えるためには、子どもの性格や想いをしっかりと理解しておく必要があります。
ものではなく、「心へのごほうび」を与えることで「自分のことが好き!」と言える子どもに育つ。
そして、子どものやる気を高めるために「ごほうび」をあげて良いか否か。これは度々議論されるテーマですよね。たとえば「今度テストで100点取ったら、好きなゲームを買ってあげる」「いま頑張ったら、今度好きなところ連れて行ってあげる」……これはまさに、「ニンジンを目の前にぶら下げて走らせる」という感じでしょうか。このような行為を、すべてダメとは言いません。時には、それが発奮の材料となって素晴らしいパフォーマンスにつながることもあります。

ただし、その方法を多用し過ぎるのはあまり良くないでしょう。これを続けると、行動のきっかけすべてにごほうびが必要となり、主体的に活動しない子に育ちます。そして段々と与えるアイテムのレベルも上がっていきます。そのようなことを永遠と続けることはできませんよね。

大事なのは物質的なごほうびではなく、「心へのごほうび」を与えることです。それはほめられる経験を通して、子どもに「お母さんが喜んでくれる」「頑張ってやることが楽しい」「これは自分のために必要なことなんだ」などの思いを抱かせることです。このような「心へのごほうび」を普段から意識的に与えることで、自主的に行動することを覚え、自分のモチベーションをコントロールできる子になることでしょう。

そして自分の行動に自信がつくと、自尊感情が芽生えます。「自分のことが好き!」「ぼくはきっと何でもできる!」、このような感覚は、親からきちんとほめられ、認められることにより、感覚として身についていくものです。とくに男の子はママが大好きです。わが家でも、「ママが喜んでくれるなら」と、息子たちが頑張る姿をよく見かけました。

このように考えると、男の子の天真爛漫な姿は認めながらも、性格や特性、好きなこと苦手なことなどをよく見て理解することが大切です。その上で男の子の心に自信の種をしっかりと植えつけてあげてください。そんな親の想いや行動で、男の子の「やる気スイッチ」を押してほしいと思います。
プロフィール

小﨑恭弘(こざき やすひろ)
1968年兵庫県生まれ。大阪教育大学教育学部 准教授。元保育士。兵庫県西宮市公立保育所初の男性保育士として12年間、保育に携わる。男性保育士では珍しく乳児も担任。父親も男三人兄弟で、自身も三兄弟の長男として育ち、わが子も男の子三人という、男系家族という環境から「男の子のプロ」として、NHK Eテレ『すくすく子育て』ほか、テレビや新聞、雑誌などで活躍。著者に『男の子の本当に響く叱り方ほめ方』『思春期男子の育て方』(以上、すばる舎)、『うちの息子ってヘンですか?』(SBクリエイティブ)などがある。

『男の子の育て方』

1,080
著者:小﨑恭弘
出版社:洋泉社

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