仕事疲れにアートで癒やしを。幻想的な画家・ルドンの展覧会で感性を取り戻す

仕事疲れにアートで癒やしを。幻想的な画家・ルドンの展覧会で感性を取り戻す

2018年11月26日公開

Bu facebook
Bu twitter
文:外山 美徳(CHIENOWA)
仕事に忙殺される日々。癒されたくて、美術館に行ってみた
私は絵やイラストを見ることが好きで、学生時代はよく美術館へ足を運んでいました。しかし、社会人になってからは仕事が忙しいこともあり、興味がある展覧会が開催されていても「時間がなくていけない」「どこかの美術館でまた展示をやるだろう」などと自分に言い訳をし、結局美術館には行かず、展示が終わってしまうこともしばしば。

すっかり美術館から足が遠のいていましたが、先日、久しぶりにアートを観たいと思い、神奈川の箱根にあるポーラ美術館へ行ってみました。今回は、そこで開催されていた『ルドン ひらかれた夢展』についてレポートします。

『ルドン ひらかれた夢』展入り口にて。左が筆者
怪物や独自の世界観を描いた「孤高の画家」。ルドンとの新しい出会い
ルドンとは、19世紀後半から20世紀初期にかけてフランスで活動した象徴主義の画家。モネやセザンヌ、ルノワールなどの印象派の画家が活躍した時代に活動していましたが、その作風はまったく異なります。

ルドンの代表的な作品は、不気味な怪物や、神秘的で幻想的な世界を描いたものばかり。私は、やわらかくて優しいタッチの印象派の画家が活躍した時代に、このような個性的な絵を描き続けたルドンに大変興味が湧きました。

『Ⅲ.不恰好なポリープは薄笑いを浮かべた醜い一つ目巨人のように岸辺を漂っていた』
これまでルドンは、自身の内なる世界に対して孤独に向き合い続けた「孤高の芸術家」と考えられていたそうです。しかし近年の研究により、じつは雑誌などの挿絵や、同時代の美術作品など、大衆文化からも大きな影響を受け、ルドンの作風が確立したことが明らかになってきたとのこと。

本展では、初期の幻想的な作風の絵から、おどろおどろしい挿絵、後期の印象派のような柔らかく華やかなタッチの作品などが時系列で飾られていて、ルドンが時代ごとにどのような影響を受けたかを知ることができます。芸術家は周囲の影響を受けると作風が変化するとよく言われますが、こんなにも変化がある芸術家には初めて出会いました。

ルドンへ影響を与えた芸術家たち、同時代に生きた芸術家たちの作品も展示されている
本展の最後、第5章「21世紀にひらく夢 ―受け継がれるルドン」では、「ルドンと現代美術」というテーマで、「神秘的な挿絵」「幻想的な人物画」「奇怪な生物」というルドンの絵画に見られる3つの特徴に共通する、柄澤齊、イケムラレイコ、鴻池朋子といった三人の日本人芸術家の作品が展示されていました。

「ルドンと現代美術」をテーマとした、「21世紀にひらく夢 ―受け継がれるルドンの展示」コーナー

展示されている日本芸術家の一人、鴻池朋子作『素焼粘土』
さらに、ルドンが描く世界観は、芸術家たちだけでなく、漫画家にも多大な影響を与えています。『寄生獣』の作者・岩明均や『悪の花』で知られる押見修造、『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげるもその一人だったそうで、各漫画家の原画も飾られていました。


光や音楽を使った立体的な展示が観られるのも、美術館の醍醐味

ポーラ美術館では、『ルドン ひらかれた夢』展のほかにも、さまざまな芸術家たちの展覧会も開催されていました。なかでも一際目を引いた作品は、アートディレクター・増田セバスチャンが手がけたクロード・モネの『睡蓮の池』から着想した作品です。

増田セバスチャン×クロード・モネ『Point-Rhythm World 2018 ―モネの小宇宙―』
きゃりーぱみゅぱみゅを筆頭に、「原宿KAWAII」カルチャーを築いた増田セバスチャンの世界観が存分に詰まった作品です。さまざまな質感の布やオブジェ、光と音楽で『睡蓮の池』が表現されており、立体的でもあり平面的にも見える不思議な空間に魅了されました。
展覧会は「生もの」。興味がある展示はすぐに行って、心の栄養をチャージ
作品について解説してくれた学芸員の方は、展覧会を開催する際、そのテーマに沿った美術の研究と作品の収集をしていると教えてくれました。私はそれを聞いて、美術館の展示は生ものと同じということに気づかされました。

絵画一枚いちまいには、いずれどこかで出会えるかもしれません。しかし、その時々のテーマでまとめられた展覧会で観る絵画には、機会を逃すと二度と出会えないのです。それに、写真で見る絵画に比べ、現物で鑑賞する絵画の迫力はやはり雲泥の差。間近で筆遣いの細部まで見ることができ、絵画鑑賞の醍醐味を感じました。

また、今回訪れたポーラ美術館では、併設しているレストラン「アレイ」で『ルドン ひらかれた夢』展にあわせた期間限定メニューを提供していました。レストランを併設している美術館では、このように展示に合わせた特別メニューを味わえるのも、美術館を訪れる醍醐味の一つです。

『ルドン ひらかれた夢』展の限定コースメニュー。左下は、一つ目巨人の絵画がモチーフになったオードブル
美術館でアートの空気に触れ、鑑賞を楽しみ、食事を楽しんだことで、とても心地よい気分になっていました。普段、仕事に忙殺されてしまいがちですが、アートに触れることで、心の豊かな部分が蘇っていくのもわかりました。

みなさんも、もし興味のある展示を見かけたら、私のように「時間がない」「いつでも鑑賞できる」などと理由をつけずに、積極的に足を運んで自分の心を癒してあげてはいかがでしょうか?
イベント情報
『ルドン ひらかれた夢 ―幻想の世紀末から現代へ』
【開催期間】7月22日(日)~12月2日(日) 9:00~17:00
【場所】ポーラ美術館

https://www.polamuseum.or.jp/
プロフィール
外山 美徳(とやま みのり)
株式会社クレディセゾン 神奈川支社所属。
社会人4年目。大学時代から一人暮らし。趣味はレコード収集と音楽ライブ鑑賞。絵は奈良美智や宇野亞喜良がすき。

関連する記事

この記事のキーワード

RANKING
YESTERDAY

WHAT'S CHIENOWA?

staff_pickup