『ワーク・ライフ・セルフの時代』著者・石田裕子の「わたし時間」から考える、人と比べない幸せの価値

『ワーク・ライフ・セルフの時代』著者・石田裕子の「わたし時間」から考える、人と比べない幸せの価値

2016年2月23日公開

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非効率なことをすることで自分の知らないことに気づくことがあるんです。(石田)
—視野や考え方を変えるだけで、プレッシャーからも解放されるのかもしれませんね。上川さんが、著書『ワーク・ライフ・セルフの時代』を参考に、クレディセゾン社員にアンケートを取ったと聞きました。ワーク、ライフ、セルフのグラフやQ&Aを振り返ることで、自分に必要なこと・大切なものを見直す機会になったと。

上川:そうなんです。未婚・既婚・年代・役職有無など様々な社員に、24時間をワーク(仕事)、ライフ(家庭)、セルフ(個の時間)に分けて、現状と理想をそれぞれ円グラフに書いてもらいました。グラフのほかにもQ&Aをつけ、「仕事におけるモットーは?」「人生における価値ベスト3は?」「好きなモノやコト、ベスト3は?」について、答えてもらいました。その円グラフとQ&Aを私もやってみたのですが、普段何にどれだけの時間を使っているか把握していなかったので、改めて書き出すことでスッキリしたというか。グラフに表すと、セルフの時間は通勤時間以外ないということにも気づかされました。その貴重な時間も今は仕事の情報収集のためにひたすらスマホを見ているんです。

上川が実際に書いたアンケート。右の円グラフは、Wがワーク、Lがライフ、Sが個の時間(セルフ)を表している。左は自分の好きなコトやモノを振り返るQ&Aを書く欄に。
—では、休みの日はいかがでしたか?

上川:こちらはほぼライフでした。ただ中身を見ると、買い物・掃除といった生活に必要な用事や、公園で子どもの見守り数時間!などマスト時間に費やすだけで、子どもと向き合って何かをしている時間が少ないことに気づいたんです。そうやって1週間を見直したとき、必要だと思い込んでいる用事を何か手放すことで「休日のライフ」をもう少しなんとかしたいと思いました。それからもう一つ、「効率」に縛られていると感じました。ぼうっとする時間もない中で、無駄を極力省いて過ごしていたんです。例えば本を買うにしても最近はネットで買ってしまうことが多くて。本当は本屋さんに行って本を手に取って選びたいんですけど……。

石田:その気持ち、すごくわかります! というのも、私自身が効率の塊なので(笑)。若い頃から効率性を無意識に考えてしまうタイプで、とにかくムダが嫌いで、何でもすぐに決断して実行するクセがついていて。だから今、意識して実践しているのが、「敢えて遠回りする」ということ。プライベートではまだできていないんですけど、仕事では始めていますね。

上川:遠回りとは具体的にどんなことをするんですか?

石田:膨大な業務量を効率よく高速で捌くことが多かったので、私の業務スピードはけっこう自慢できるくらい速いほうだと思うんです。会社を経営するようになってからも、そのクセで意思決定するときにパッパッパッと決めてしまっていたんですけど、そこを敢えて遠回りする。この遠回りっていうのは、すぐに直感や今までの経験値だけで決めるんじゃなくて、熟考する時間を意識して増やしてから決断するということ。今の時代、これだけインフラが整っているわけですから、何でも効率的にやろうと思えば簡単ですし、そのほうがいいケースも多い。でも、先ほど上川さんがおっしゃったような、本屋さんに買いに行ってみると、ほしかった本以外のものも目に入ってきて、新たな出会いがあったりもする。仕事でもプライベートでも、そうやって敢えて非効率なことを選択することで気づくことってたくさんあると思うんです。2016年はそういうことを大切にしていきたいなとちょうど考えているところでした。

上川:遠回りしようと思ったのには何かきっかけがあったんですか?

石田:自分が効率性に縛られていたことに気づいたことが一つと、もう一つは、自分が何かと対峙した際、すぐに答えを出してしまっているなぁと。今までいろいろな経験を重ねてきたことで、「こういう場合はこうでしょ」ってすぐに選択肢を絞ってしまう自分がいて。そこに危機感を覚えたというか。あるとき思っちゃったんですよ、「あれ? 答えがいつも一緒だな」と。

—ちなみに、石田さんの効率のよさを一番身近でご覧になっている旦那さんは何ておっしゃってるんですか?

石田:そうですね……ある日、子ども用の滑り台の片づけを夫にお願いしたんですね。そしたら、「今やらないとダメなんだよね?」みたいなニュアンスのことを言われたことがありました(笑)。私の性格的に、すぐやらないと気が済まないことを知っているから。たしかに家事とかも効率を考えてやっているので、きっと周りから見たらいつもせかせかして忙しない人と思われているんだろうな、自分のやり方を押しつけちゃダメだなと、主人の反応を見て少し思いましたね。

上川:その旦那さんの空気に気づいてすぐ改善しようと思えるのもすごいですよね。

石田:そこはやっぱり、相手のペースや価値観がありますから。今まで自分の人生の中ではこれが正しいと思っていたことでも、さまざまな価値観や考えに触れることで、そういう考え方もあるのかと、相手のことを理解し認め、尊重することの大切さが今更ながらわかるようになりました。仕事も同じで、自分とは違う価値観や知らなかった情報に出会うためには、もっと自分から探しに行かなくてはと思うんです。先ほどの遠回りに繋がるんですが、効率だけがすべてじゃないんだということに、やっと向き合えた感じですね(笑)。

上川:そういう意味でいうと、子どもはそれこそ効率性とは真逆の存在ですね。

石田:本当にそう。というか、育児を含めて対人関係って全部そうですよね。効率のよさを考えるのではなくて、時間をかけて築いていくものじゃないですか。「あなたと私、今日から親友ね!」なんてことは絶対に無理で(笑)。そうやって少しずつ築いていく時間が本当に大切なんだなぁと身に沁みて感じていて、今は忙しくて忘れていたものを見つめ直す時期なのかなと思っています。なので、社員アンケートでセルフが充実されている方のバランスをぜひ参考にさせていただきたいです。

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