出産から復帰し、映画化もされたバレエダンサー西野麻衣子のトライする生き方

出産から復帰し、映画化もされたバレエダンサー西野麻衣子のトライする生き方

2016年3月24日公開

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ノルウェーでは夫婦で子育てする文化と環境があるし、私も夫と初めて親になることを経験したかった。
―西野さんの舞台復帰には夫であるニコライさんの協力も大きかったと思います。ノルウェーには母親の育休を夫が代わりに取得できる制度があるそうですね。

西野:彼の理解と協力がなかったら復帰できませんでしたね。ノルウェーは共働きの夫婦が多くて、どんな仕事をしている人でも(夫婦合わせて)約1年間の育休を必ず取る。その1年を夫婦で分け合うことができます。私はすぐにトレーニングを再開したので、ニコライが8か月間の育休を取ってくれました。日本だとどちらかといえば男性が外で働き、女性は家のことをするって感じですよね。でもノルウェーでは男性も女性も同じように働いているから、頼まなくても男性が家事を手伝ってくれるんですよ。仕事も家事も、完全に男女平等な考え方なんです。

―それはうらやましいです。ちなみにノルウェーは、1978年に男女平等法が制定され、2006年には民間企業においてもクオータ制(取締役が10人以上の企業の場合、いずれの性別も4割を下回ってはならないという規定)が導入されたとのこと。それらが短期間のうちに浸透したのはなぜでしょう? 例えば、男女平等法が制定された当時に生まれた子が両親の姿を見て育ったからなど、そのあたりはどうお考えですか?

西野:どうでしょうね……。私の主人の祖父母の時代は、日本みたいな感じだったようなのですが、主人の両親は共働きだったので、その姿を見ているからというのはたしかにあるような気がします。実際に育休を取った主人が言うには、子どもが生まれたときから育児をシェアすることで母親の大変さがわかったそう。そういえば私の母親も、ノルウェーに来るといつも「街にベビーカーを押して歩いている男性がすごく多いね」と言いますね。

―赤ちゃんとパパの2人きりでの外出が多いということですか?

西野:パパがオムツとミルクを持ってカフェに行ったりするんです。パパがコーヒーを飲みながら赤ちゃんの面倒を見ている光景って、すごく朗らかでいいものですよ。日本だと子どもと一緒に入れる場所って、どうしても母親じゃないと入りにくいところが多いような気がしていて。そこを男性もウェルカムに変えていかないと、赤ちゃんと2人で出掛けにくいですよね。ノルウェーでは男性トイレにもオムツを替える台が普通にありますし、ベビーカーのまま入れるところも多いですよ。

―日本ではどうしてもお母さん神話というか、3歳まではお母さんが一緒のほうがいいとか、子育てはやっぱりお母さんがするものというのがありますけど、ノルウェーでは育児は夫婦2人でやるものという意識が確立されているんですね。

西野:私、15歳で日本を出ているので、「里帰り出産」というものの意味がわからなかったんですよ。妊娠中に帰国したとき、母の友達にも「麻衣子は日本で産むんやろ?」と言われたのですが、「いえ、産みません」って。母も「ノルウェーで産むんだったら、生まれたらすぐ手伝いに行くわ」と言ってくれたんですけど、私は「ニコライに手伝ってほしいから来なくていい」って。母はグサッときたらしいですけど(笑)。

―(笑)。たしかにお母さまからしたら、少し寂しいと感じるかもしれませんね。なぜ里帰り出産を選ばなかったのですか?

西野:ノルウェーでは子どもが生まれたら夫婦2人で育てる文化があるし、生まれたばかりの赤ちゃんと一緒に過ごすことって、お父さんにとってすごく大切だと思うんですよ。里帰り出産をすると、お父さんと赤ちゃんの繫がりが希薄になってしまうんじゃないかと思うんです。私が母の手伝いを断ったのも、決して来てほしくないということではなくて、ニコライと一緒に、お互いが初めて親になることを経験したいと思ったからなんですよね。

―ご出産を経て、ご自身のキャリアについての考え方は変化しましたか?

西野:一番変わったのは、私だけのバレエではなくなったことですね。息子がいてくれるから今の自分がいるし、今まで以上に頑張れる。バレリーナとしてまだまだ輝きたいという気持ちもあります。アイリフは今2歳4か月なんですけど、もうちょっと大きくなって、私の仕事をわかってくれる年代まで輝いていたい。もちろん、バレエでヘトヘトになるまで踊って、家に帰ってからはママ業をして、さらに自分のバレエの勉強もして……疲れますよ。疲れは子どもができるまでより大きいけれども、それでもまだ頑張ろうと思えるので、自分でも強くなったなぁと感じます。

―息子さんは今幼稚園に通われているんですか? 日本では出産前から保活をする女性も多いのですが……。

西野:保活って何ですか?

―子どもを預ける保育園を探す活動を、略して保活と言います。それでも入れないケースも多く、仕事に復帰したくてもできないママたちが多いんです。ノルウェーでの保育事情はどんな感じなのでしょう?

西野:息子は今幼稚園に通わせていますが、ノルウェーでは絶対に国が探してくれます。ノルウェーも最近はけっこう子どもが増えてきたので、ちょっと離れたところになることもあるんですけど、それでも何歳から入りたいという希望を言えば探してくれるんです。あとはベビーシッターの会社があるので、それを利用する人も多いですね。

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