【医師監修】ダウン症の検査はどう行う? 方法とリスク、検査の現状と問題点

【医師監修】ダウン症の検査はどう行う? 方法とリスク、検査の現状と問題点

Bu facebook
Bu twitter
おなかの中の赤ちゃんにもしも病気があったら、出生前に知っておきたいと考えるママも少なくありません。現在注目されているのが「胎児ドック」です。今回は「胎児ドック」の検査内容や受ける時期、母体や赤ちゃんにリスクはないのか、などについてまとめました。







この記事の監修ドクター



藤東クリニック 藤東淳也先生

女性のトータルライフをお任せいただけるような診療を目指し、
女性のライフサイクルを応援します。
https://fujito.clinic
ダウン症候群などの病気の可能性を調べる検査

検査は、胎児がダウン症候群などの病気の可能性があるのかを調べるものと、病気であることを確定する2つがあります。これから紹介するのは、「病気の可能性があるのか」を調べるもの。胎児・母体へのリスクはありません。この検査で病気の確率が高い場合は、任意で確定検査に進むこともできます。

超音波検査(超音波スクリーニング)
超音波診断装置(エコー)を使用して、おなかの赤ちゃんの発育状態を見る検査です。超音波を使うことで、赤ちゃんの大きさや状態、心拍の確認、羊水量、胎盤などを調べることができます。赤ちゃんの身体が内臓や骨まで見えるので、病気が見つかることもあるのです。

妊娠初期検査、妊娠中期検査、妊娠後期検査など、受ける時期によってチェック項目は異なります。初期の超音波検査で重要なものは、「NT(胎児後頸部浮腫)」と呼ばれるもの。胎児の首の後ろに見える黒いスペースのことで、その肥厚が高度であればあるほど、ダウン症候群の発生頻度が高くなるという研究報告があります。

ただしNTは正常でも見られる現象なので、「肥厚があるから胎児がダウン症候群である」というわけではありません。そのほかにも鼻骨など胎児の形態的な異常、心臓に流れる静脈管内の血流などを見て、総合的に判断します。一般的に、妊娠14週以降では、NTは減少し自然に消失する場合が多くあります。そのため、14週を過ぎると不正確な測定になることから、妊娠11週〜13週に受けることがベストと考えられています。

妊娠中期の超音波検査は、目で分かるような大きな身体の異常をチェックする検査です。最近は超音波検査技術が向上したことで、かなり多くの胎児の形態的な異常や胎盤・臍帯(へその緒)の異常が判断できるようになりました。妊娠25週前後の頃が最も見やすいと言われています。後期の超音波検査では、胎児の発育の具合や健康状態を中心にチェックします。

母体血清マーカー検査
母体の血液を採取し、血液中の物質を測定する検査です。これにより、今、おなかの中にいる赤ちゃんがダウン症候群や 18-トリソミー、神経管閉鎖障害(二分脊椎)などの異常を持っているかの確率を調べることができます。

現在、超音波検査などにより、ダウン症候群以外の染色体異常は、ある程度の判断が可能になっています。ただ、ダウン症候群は、絨毛検査や羊水検査をしなければ確定できません。この母体血清マーカー検査は、胎児がダウン症候群ではないかと心配する人に、絨毛検査・羊水検査を受けるかどうかを決めてもらうため、情報を得る目的で行います。

トリプルマーカーテスト/クアトロマーカーテスト
血液中の4つの物質(AFP、hCG、uE3、InhibinA)を測定することにより、染色体異常の中のダウン症、18トリソミー、そして神経管閉鎖障害(二分脊椎)のリスクを推定する検査を「クアトロマーカーテスト」と言います。これらの物質は、妊娠中に胎児または胎盤で作られる成分です。

一方、血液中の3つの物質(AFP、hCG、uE3)を調べる検査を「トリプルマーカーテスト」と言います。

ダウン症などの病気を診断・確定する染色体検査

超音波検査や母体血清マーカー検査の結果により、ダウン症候群の確率が高いと判断された場合、次のステップとして病気であることを確定する「染色体検査」を受けることができます。ただし、羊水を採取したり、絨毛を採取したりするため、流産や胎児が死亡するリスクが約300回の検査に1人程度あります。

羊水検査
染色体疾患全体がほぼ正確にわかる確定診断で、羊水が増える妊娠15週以降に受けることができます。母体の腹部の上から細い針を刺し、羊水を少量採取します。胎児の細胞が含まれている羊水を採取することにより、胎児の染色体や遺伝子を調べることができるのです。細胞を培養して染色体を調べるため、結果が出るまで、通常は2週間ほどかかります。

また、羊水を採取する際に子宮に針を刺すため、流産のリスクが0.3%ほどあります。羊水を採取した後に出血や破水、下腹痛が生じることも。超音波(エコー)を見ながら慎重に行いますが、100%安全な検査というわけではありません。料金は一般的に15万円ほどかかると言われています。

絨毛検査
将来、胎盤になる組織「絨毛」を、母体から採取する検査です。絨毛は胎児と同じDNAを持っているため、染色体疾患の確定診断ができます。絨毛を採取する方法は、腹部から絨毛を取る方法(経腹的)と、子宮の入り口から取る方法(経頸管的)の2種類があります。羊水検査の流産率は0.3%ほどですが、絨毛検査はそれよりやや流産率が高いと考えられています。ただし、海外では羊水検査と同じという報告もあります。

絨毛検査の検査時期
絨毛検査の検査時期は、妊娠11〜14週未満。羊水検査より早い時期に検査できるのが特徴ですが、技術的にも難しいため、日本での実施機関は少なくなっています。

ダウン症の検査を受けられる時期(妊娠週数)

ダウン症候群であるかどうかを調べることができる検査はさまざま。受けるのに適した妊娠週数も、検査によって差があります。いつ、それらの検査を受けることができるのかまとめました。

非確定的検査
<超音波診断>

初期(妊娠11週〜13週)……NT測定

中期(妊娠19〜26週ごろ)……胎児の形態的な異常や胎盤・へその緒などを検査

後期(妊娠28〜32週ごろ)……発育の具合や健康状態を中心に、病気がないかどうかについて検査

<トリプルマーカーテスト/クワトロマーカーテスト>

妊娠14〜18週

確定的検査
妊娠11週〜14週未満……絨毛検査

妊娠15〜18週……羊水検査

※受けるのに適した妊娠週数は医療機関によって差があります

検査は受けるべき?出産、中絶の判断は?

赤ちゃんが生まれる前に病気であることがわかると、出産に適した医療機関などを調べておくことができるだけでなく、親の方にも心構えができるというメリットもあります。しかし、検査結果によっては中絶を判断する人もいるかもしれません。検査は受けておくべきなのでしょうか? そして予期せぬ結果が出た場合、それをどうとらえておくべきなのでしょうか?

出生前検査の現状と問題点
病気の有無がはっきりわかるけれど、高額で母体や胎児へのリスクも高い羊水検査や絨毛検査。それに対し、胎児の病気の可能性があるかを調べる「非確定的検査」は、簡単にできて料金も羊水検査などと比べると低めです。

特にクアトロテストは、7〜8万円以上かかる妊娠初期超音波検査と比べ、数万円と比較的安く受けることができます。安価だけに、あまり深く考えず受ける人も多いとのこと。「安いし簡単な検査なら」と受けたはいいものの、予期せぬ結果が出て、出産まで不安な気持ちで過ごす人も多いことでしょう。中にはクアトロテストの結果を受け、リスクのある羊水・絨毛検査に進む人や、人工妊娠中絶へのファーストステップになる可能性も捨てきれません。

また、羊水検査は妊娠15週以降に受けられる検査ですが、結果がわかるまで検査から約2週間を要します。仮に妊娠18週に検査を受けたとして、結果が出るのは妊娠20週。一方、人工妊娠中絶が認められるのは、妊娠22週までです。

妊娠20週で胎児の染色体疾患が明らかになったとしたら、人工妊娠中絶が認められる期間までわずか2週間。その短い間に、赤ちゃんを出産するか、中絶するか決断しなければなりません。医師らによる遺伝カウンセリングで伝えられることは、主に病気の詳しい症状など医学的な説明で、「病気のある子どもを産んで育てること」「今後の生活について」「支援はあるのか」といった本当に知りたい情報はなかなか聞くことができないというケースも多いようです。
親の悩み・葛藤をどう解消する?
結果を受けて、出産するか中絶をするかの判断は、最終的には妊婦とその家族が決めること。しかし、妊婦は「今後の生活の不安」「中絶をしたら後悔するのではないか」「生命を自分の決断で断つという後ろめたさ」「病気がある子を受け入れられるか」など、さまざまな悩みや葛藤をかかえています。医学的な説明だけでは解消されないことも多いため、妊婦の迷いや不安に、ゆっくり耳を傾ける場が必要と言えます。

医療機関の中には、妊婦の決断の助けになれるよう、同様の経験をした母親を紹介する取り組みを始めたところもあります。ドイツには「妊婦葛藤相談所」があり、妊婦やその家族と、あらゆる可能性について話し合う機会を設けています。まずはどのような症状が出るのか、基礎知識を身につけておきましょう。

ダウン症候群の基礎知識

羊水診断や絨毛診断で確定される「ダウン症候群」。名前は聞いたことはあるが、詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。ここでは、ダウン症候群について説明します。
ダウン症候群とは?
体細胞の21番染色体が1本多く存在し、計3本(トリソミー症)持つことによって発症する、先天性の疾患群のこと。21トリソミーとも呼ばれています。平均寿命は、数十年前までは20歳前後でしたが、医療の発達により現在では平均寿命が60歳程度に延びています。

ダウン症候群の原因
21番染色体が1本過剰で3本ある事が原因です。通常、染色体は2本で対をなしていますが、3本になるのが「トリソミー」。トリソミーという現象は、どの染色体についても起こる可能性があります。21番染色体は最も小さい染色体で遺伝情報も少ないため、遺伝情報のアンバランスを引き起こすことが少なく、そのためうまく生まれて来る頻度が高いと言われています。

ダウン症候群の特徴
個人差はありますが、「長期記憶が良いが、時間の経過を把握するのは苦手」「ひとの気持ちを汲み、思いやりに富み、感受性が強い」などの特性があります。多くは、さまざまな合併症を伴っており、代表的な例では、知的障害、先天性心疾患、低身長、肥満、筋力の弱さ、頸椎の不安定性、眼科的問題(先天性白内障、眼振、斜視、屈折異常)、難聴などです。

ダウン症候群は治療できる?
ダウン症候群を根本的に治療するとすれば、身体を構成する60兆個の細胞の21番染色体の過剰な1本だけを、それぞれの細胞から取り除くことをしなければなりません。現在の最先端の技術を用いても、このような根本的治療は不可能です。ただし、ダウン症候群に伴う合併症の治療は行うことができます。
まとめ
良かれと思って受けた検査なのに、予期せぬ検査結果が出たことで、悩みや葛藤を抱える妊婦が多いのが現状のようです。体調が不安定な妊娠中に、重大な決断をしなければならなかったり、出産まで不安な思いで過ごすのは苦しいもの。夫婦でよく話し合い、検査を検討することが大切です。

関連リンク
【医師監修】出産の瞬間ってどんな感じ?どう迎える?よくある不安・疑問を解消しよう | マイナビウーマン
【医師監修】妊娠するためには?最も気をつけたい3つのこと | マイナビウーマン
【医師監修】大人だけじゃない! 子供の双極性感情障害(躁うつ病)の症状と治療法 | マイナビウーマン
元のサイトを見る

関連する記事

この記事のキーワード

RANKING
YESTERDAY

WHAT'S CHIENOWA?

staff_pickup