【医師監修】軽度発達障害の症状や原因、上手な付き合い方

【医師監修】軽度発達障害の症状や原因、上手な付き合い方

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発達障害はその症状や重さに関係なく、適切な理解や支援が必要だと考えられています。今回は、誤解も多い発達障害について、その原因やタイプ、上手な付き合い方を解説しました。







この記事の監修ドクター

わだ小児科クリニック 和田直樹先生

これまで30年余りの病院小児科での経験をいかして お子様の健康と病気全般を扱うクリニックにしてまいりたいと思っています。また背の低い子供の診療も積極的に取り組んでいきたいと思っています。
わかりやすい説明をモットーに子供たちの頼れるかかりつけ医をめざしています。日々お母さんたちが抱いている疑問や悩みについても気軽にご相談ください。
http://www.wadaclinic.com/
軽度発達障害とは

軽度発達障害の範囲
厚生労働省によれば「発達障害」は2つの条件で定義されます。1つは「広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、あるいはこれに類する脳機能障害があること」、2つ目は「普通はそれらの症状が低年齢で現れること」です。

おそらく、この定義を見ただけで発達障害を正しく理解できる方はいません。発達障害は身近な障害ですが、この「わかりにくさ」こそが、発達障害の社会的理解を阻んできた一因となっています。

発達障害を持った子どもは、少し変わった性格だったり、問題行動を繰り返す等の症状が出るケースが多いようです。例えば、コミュニケーションや対人関係に難があったり、注意力が散漫だったり、読み書き計算のいずれかが極端に不得意だったり…など、さまざまな症状が現れます。ただし、それが単にお子さんの成長過程だったり、性格的な傾向というケースもあるため、両親だけで正確に見極めることは比較的難しいと言えるでしょう。心配な方は、専門家へご相談されることが一番です。

なお、発達障害は知的な遅れを伴う場合と、そうでないケースがあります。知的な遅れを伴わない発達障害については、これまで「軽度発達障害」と呼ばれてきました。
「軽度発達障害」という言葉について
文部科学省からの通達により「軽度発達障害」という表現は、2007年から原則的に使われない方針となりました。その理由は「軽度発達障害」という表現が、発達障害への誤解を助長してしまう恐れがあったためです。

実際に「軽度発達障害」と聞くと障害の程度が軽そうなイメージを受けます。しかし、知的な遅れがない場合でも、発達障害を抱えている方は、社会生活などの面で大変な苦労を経験しているケースもあります。また、知的な遅れを伴う発達障害と、知的な遅れを伴わない発達障害を区別してしまいがちですが、発達障害は知的の遅れの有無を問わずに周囲からの理解や支援が不可欠です。

(*今回は「軽度発達障害について理解を深めたい」と考える読者の方々を想定し、「軽度発達障害」という表現を引き続き使用致します)
軽度発達障害の原因

発達障害の原因=脳機能(認知)の障害
発達障害の原因については、まだまだわからない点もあります。しかし、現段階においては少なくとも「発達障害とは脳機能(認知)の障害である」ということがわかっています。つまり、発達障害のお子さんは、脳の機能(認知機能)に偏りがあるということです。従って発達障害は、親の育て方やしつけが原因ではなく、同時に精神疾患でもありません。

具体的には、発達障害の要因として「遺伝的素因」「環境要因」の2つがあるといわれています。
1.遺伝的素因
ある病気のかかりやすさについては、遺伝が関係するケースがあります。「遺伝的素因」は、発達障害の場合も大きな要因であり、脳機能(認知)障害と大きな関係があると考えられています。例えば、一卵性双生児の場合、1人が広汎性発達障害である場合、もう1人も同様の障害を持つ確率は約9割と言われています。明確に解明あるいは証明されているわけではありませんが、発達障害と遺伝が何らかの関係を持っている可能性は高いと言えるでしょう。

2.環境要因
発達障害の大きな要因として、環境汚染物質を挙げる方もいます。ダイオキシンや重金属、ポリ塩化ビフェニル、水銀などが脳に悪影響を及ぼしていると言うもので、これらの物質を取り除くことで発達障害の改善が期待できるのではないか、という説もあるようです。ただし、根拠に欠けており、現在も研究中です。

なお、後天的な要因も全く無関係と言うわけではないようです。例えば、虐待やいじめなどにより大きなストレスが脳の発達などに悪影響を与えるケースがあり、脳機能(認知)にも影響する説もあります。
軽度発達障害のタイプ1:広汎性発達障害

発達障害には3つのタイプがありますので、1つずつチェックしていきましょう。

1つめの広汎性発達障害(高機能広汎性発達障害)では、コミュニケーションや人間関係についての障害が見られます。加えて、行動がパターン化したり、特定の何かに強いこだわりや関心を見せたり、感覚が過敏になるなどの症状も多いと言えるでしょう。ちなみに「感覚が過敏になる」とは、他人とのコミュニケーションを極端に嫌がったり、あるいは周囲の音に敏感で、反応が過剰になったりなどの症状を指します。なお、広汎性発達障害(高機能広汎性発達障害)という名称は、通常「高機能自閉症」と「アスペルガー症候群」を総称して使用されます。
高機能自閉症の症状
広汎性発達障害(高機能広汎性発達障害)の1つで、言葉の発達に遅れがある場合を指します。

症状の具体的な例としましては、初めての場所や急な予定の変更で、その場から動けなくなるケースがあります。これは、想定されるパターンから外れて大きな不安を感じているためです。周りが無理に動かそうとすると、大声を上げてしまうケースもありますが、自閉症の方は自分の気持ちを伝えることが難しいため、周囲の方もどうしていいか、わからなくなってしまうことがあります。
アスペルガー症候群の症状
広汎性発達障害(高機能広汎性発達障害)の1つで、言葉の発達に遅れがない場合を指します。言語の発達が普通であるため、アスペルガー症候群であると言う自覚が本人にもなく、また、周囲も気づかないと言うケースがあります。特に、興味がある分野や好きな分野については、驚くほどの知識を持っていることがあるため「発達障害とは思いもよらなかった」という場合があるようです。ただし、言葉の発達の割には不器用な面が目立つ特徴があります。

具体的な症状と例としましては、相手の話に割り込んで、なおかつ、興味があることばかりを話して止まらなくなるということが頻繁に起こります。これは、自閉症の方と同様に相手の気持ちを理解することが難しいためです。そのため、アスペルガー症候群の方とコミュニケーションを取る際には、曖昧な言葉ではなく、はっきりと意図を伝えることが重要となります。
軽度発達障害のタイプ2:学習障害(LD)

学校の学習などで必須される、読み・書き・計算の能力。このいずれかをおこなうことが極端に苦手で、一般的な学習が困難であるような障害を学習障害といいます。こちらは2つめの発達障害のタイプです。

学習障害が一般に認知されていなかった時代には「真剣に話を聞かないから勉強が分からない」、「怠けているからできないのだ」などと周囲から誤って判断される場合がありました。しかし学習障害の子供の場合は、勉強が単に不得意というわけでは無いのです。事実、学習障害をお持ちの方は、一部の学習能力が極端に低いものの、知的発達の遅れが全体的として現れているわけではありません。
症状
学習障害の子どもは、正確に字を書けないケースが多いと言われています。これは、文字が単なる図形のように認識されてしまうからです。また「言葉」と「その言葉が意味する発音」が結びつかないケースもあります。そのため、学習障害の子どもの場合には、通常とは異なった学習法を実践することが効果的です。

さらに、学習障害の症状の1つとして、人の話を聞くことが苦手な場合もあり、例えば「メモを取りながら話を聞く」といったことができないケースもあります。これは、文字を書くことに集中してしまい、相手が話している内容がわからなくなってしまうからです。

軽度発達障害のタイプ3:注意欠陥多動性障害(AD/HD)

子供の場合、落ち着きがないことは決して珍しくありません。しかし、周囲のお子さんに比べて極端に落ち着きがなかったり、衝動的な行動が多い場合には、注意欠陥多動性障害(AD/HD)が疑われます。なお、注意欠陥多動性障害(AD/HD)は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つが大きな特徴です。さらに、注意欠陥多動性障害(AD/HD)をお持ちのお子さんは、他の障害も抱えている可能性が比較的高いと考えられます。例えば、注意欠陥多動性障害(AD/HD)をお持ちのお子さんの中で、学習障害を抱えるお子さんは、60%にも上ると言われています。

症状
大切な日の予定や約束、あるいは、物や宿題など、様々なものを忘れてしまうケースが多く見られます。同時に、集中力が続かずケアレスミスの繰り返しも多いため、注意力が散漫な点も特徴的です。これは学習障害を抱える人の「一時的な記憶領域が少ないため」と言われています。また、授業中に静かに座っていることができず、席を離れて歩きまわることがあります。さらに、急に走り回ったり机の上に上がったりなど、衝動的な行動も目立ちます。

軽度発達障害とのつきあい方

発達障害の療育と支援
発達障害の治療は「療育」と呼ばれます。心理・行動・薬物の3大療法が主軸となっており、さまざまな方面から障害の改善を目指すものです。いずれもカウンセラーや臨床心理士、医師などの専門家によって実施されます。なお薬物療法は、処方が必要なため医師が担当することになります。保険診療が受けられ、自治体によっては、就学前のお子さんの薬物療法が無料になるケースがあるようです。

また2005年4月には「発達障害者支援法」が施行されました。厚生労働省などが、発達障害への理解を広げるための支援を実施しているのです。各都道府県にも、発達障害者支援センターが設けられ、日常的な相談から、就労支援までも実施しています。また、発達障害者支援センターが窓口となり、各関係機関と連携を図ることも可能となっています。もちろん一般の教育現場においても、発達障害に対する理解と、適切な対処を行うための支援体制が整備されてきています。

まだまだ完全とは言えないものの、発達障害に対する理解と支援体制は確実に広がっています。
防ぎたい二次障害
発達障害を持つ子どもには「その子に合わせた総合的なサポート」が必要になります。親御さんの理解はもちろん、周りの方々の理解と接し方、教育現場や支援センター、病院など関係機関との連携も不可欠です。上記で述べたように「知能の発達に問題がない(軽度発達障害)だからサポートなんて必要ない」と自分たちだけで判断を下してしまうことは危険です。サポートの方法は、発達障害の程度や症状によって異なりますが、やはり適切な援助によって支えていくという気持ちが必要になります。

例えば「本人のやり方を尊重する」という気持ちは大切ですが、大人が適切に「教える」「止める」ことが必要な場面もあります。発達障害も個性だと、周囲が認める姿勢はステキなことですが「発達障害を抱える本人は、変わらずに苦しんでいることがある」ということは忘れてはなりません。適切な理解とサポートを深めるためにも、発達障害者支援センターや専門家へ相談するのをおすすめします。

このように適切な理解とサポートが欠けた状態では「二次障害」という形で、発達障害を持つ子どもをさらに苦しめてしまうことがあるのです。具体的には自信の喪失をはじめ、不登校やひきこもり、うつ状態へとつながるケースが考えられます。このような二次障害を防ぐためにも「自分のことをきちんと理解してもらえている」と、 発達障害を持つ子どもに感じてもらえるようになることが何よりも大切です。
まとめ

発達障害者支援法が施行されてから10年以上が経ちました。これによって、自閉症、学習障害、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害、といった言葉は一般に認知されるようになりました。しかし、それが具体的にどのような障害なのかをきちんと理解している方は、まだまだ少ないと言えるでしょう。

発達障害という言葉すらなかった時代には、周囲の人々に正しく理解されない状況が、発達障害を持つ方々をより苦しめてきた経緯もあります。そして今でも、発達障害は少々わかりにくく、誤解されている点が多い障害と言えるでしょう。

発達障害にはさまざまな症状があり、知的発達の程度や表面的な症状の多少にかかわらず、適切な理解とサポートが必要となります。事実、発達障害は普遍的なハンディキャップではなく、成長とともに発達し改善されていく部分も期待できます。そのためにも、発達障害に対する理解を深め、個々人に合った支援体制を作り上げていくことが望まれます。

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