千原せいじのがさつ力道場。「日本人は共通の敵を作るとチーム力が上がる」

千原せいじのがさつ力道場。「日本人は共通の敵を作るとチーム力が上がる」

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人気お笑いコンビ・千原兄弟の兄せいじさんは、その歯に衣着せぬ物言いや、飾らぬ人柄によって、芸能界以外にもたくさんの交友関係を築いてきました。たとえば、新幹線で乗り合わせた一般人とすぐ打ち解けたり、海外で出会った現地の人を、バイクの後ろに乗せて観光したり。そんな、数々の伝説を作り上げた彼の圧倒的なコミュニケーション能力は、『がさつ力』(小学館よしもと新書)という書籍にもなり、会社や家族との人間関係で悩むことも多い私たちにヒントを与えてくれています。

空気を読まず、ズカズカと踏み込んでいく。一見すると乱暴な「がさつ力」。そこには、生まれ持った「合理性」や、相手への「敬意」など、コミュニケーションに欠かせない大事な要素が含まれています。

そこで今回は、SAISON CHIENOWA編集部のメンバーが日々感じている仕事や子育て、コミュニケーションについての一般的なお悩みを、二児の父でもある千原せいじさんに答えていただきました。


取材:CHIENOWA編集部 文:黒田隆憲 撮影:江森康之
プロフィール

千原せいじ(ちはら せいじ)
1970年、京都生まれ。吉本総合芸能学院(NSC)大阪校8期生。1990年に実弟の千原ジュニアとのコンビ・千原兄弟としてデビュー。『第15回 ABCお笑い新人グランプリ』優秀新人賞(1994年)、『第29回 上方漫才大賞』新人賞(1994年)。近著に『がさつ力』(小学館よしもと新書)がある。
http://search.yoshimoto.co.jp/talent_prf/?id=019
「視野」も「人脈」も無理に広げなくていいんです。
—せいじさんは芸人さんだけでなく、交流されている方の幅が非常に広いことで有名ですが、それは何か心がけているんですか?

千原:いや、まったく(笑)。芸人以外の人とつき合って視野を広げたいなんて思ってもいないし、興味がある人がおったら普通に仲良くなる。それだけのことなんですよ。

千原せいじ
—よく、若い会社員や学生のあいだでは「人脈作り」や「視野を広げること」が大事だと言われます。それを気にしすぎてコンプレックスを感じる人もいるそうですが、せいじさんはまったく意識されていない?

千原:そうですね。いろんな人と交流して視野を広げることが大事な人もいると思うけど、興味のない人は無理にやらなくてもええんと違うかな? 無理してやってもしんどいし、そこに時間をかけて悩むくらいなら、自分らしいペースで生きていたほうが、新しい道も開けると思う。だって本当にやる気があるなら、悩む間もなく動いているやろうから。

—「視野を広げる」ことをコンプレックスに感じる人は、いまの自分に満足しておらず、「環境を変えたら、自分も変われるかもしれない」っていう焦りがあるのかもしれないですね。たとえばせいじさんは、まだ駆け出しの若手芸人だったころ、「このままじゃいけない」とか、「こう変えてみよう」とかはなかったですか?

千原:もちろん大変な時期もあったけど、自分で選んだ道やからね。目の前のことを一つひとつやるだけ。そういえばこのあいだ、同期芸人のFUJIWARAの二人(藤本敏史、原西孝幸)とも話してたんやけど、たくさんいた同期のなかで、いまでもちゃんとテレビや舞台に出続けられている人に共通しているのは、まったく売れてないころから、この世界で飯が食えている「絵」が見えていたということなんです。ぼくもまったく同じで、その「絵」がはっきり見えていた。

—ゴールの「絵」が見えていれば、「いまこの瞬間に何をすべきか?」っていうことも、逆算すればすぐわかるわけですね。

千原:そうそう。プラモデルでも完成形のイメージがあるから、次に何をやればいいのかがわかる。ゼロからいきなり全部、自分で設計してしまえる天才は別やけど、普通の人はまず「完成形」をイメージする。それも具体的にイメージすることが大事やと思う。

だから、厳しい言い方になってしまうけど、ゴールも見えていないのに「視野を広げなきゃ」と焦っている人は、ある意味、真面目に生きてないと思うねんなあ……。

—なるほど。そこで悩むくらいなら、まずは「いまできること」に集中していれば、いずれ自分に合った次の道が開けてくるかもしれないですよね。
できないことは「できない」と伝えたほうが、全体の効率が上がる。
—「いまできること」に集中するという話からもつながってきますが、『がさつ力』でも後輩芸人さんとのエピソードで「できないことは『できない』とちゃんと言ったほうが良い!」と書かれていましたよね。

千原:そう。何かを頼んだとき、「はい、やっておきます!」「できます!」って、勢い良く返事するくせに、全然できてないとか。それで段取り全体が円滑に進まないのは、本当に効率が悪いし面倒くさい。

だから、「できないならできないで大丈夫だから、最初から言ってくれ」「ほかに得意な人を探してお願いするから」と、いつも言ってるんです。「できない」と言われたからって、何かマイナスになるわけでもないし。

—つまり「効率」を考えれば、変な気を遣わずに正直に言ってくれたほうがいいということですね。ただ、「できない」と言うことで上司からの評価が下がったり、機嫌を損ねたりすることを多くの会社員は気にしてしまうかもしれません。

千原:「できる」と言われて「できていない」ことのほうが、余程ダメージが大きいんですよ。ただ、部下が「できない」って伝えてるのに、それでも上司に頼まれてしまうのは、じつは「できてしまう」のがわかっているから、という可能性もありますよね。まあいずれにしてもはっきり言うしかない、「できません」って。

—たとえばせいじさんは、先輩芸人さんから何か無理難題をお願いされたときはどうしていましたか?

千原:普通に「兄さん、無理やで。それは」って言ってました(笑)。「すいません、◯◯◯なので本当にできません。お引き受けしても迷惑をかけてしまいます」って言うことなんて、芸人だけじゃなく、会社員の世界でもたいしたことじゃないと思う。それを断ったら出世できないとか、給料が下がるとか、そんなことあるんかなぁ?

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