社会派ブロガーちきりんに教わる、自分の時間を取り戻す「生産性」講座

社会派ブロガーちきりんに教わる、自分の時間を取り戻す「生産性」講座

2017年2月10日公開

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「いかに生産性を下げないか」を考えられないのは、何かに洗脳されているんじゃないか……と思うんです。
―ちきりんさんの眼から見ると、多くのビジネスパーソンが抱える問題はどのような部分でしょうか?

ちきりん:まず、みんな真面目すぎ! 例えば、明日台風や雪で交通網が乱れることがわかっていたとしたら、念のためいつもより何時間も早く家を出ることがエラいと言われますよね。でも私が会社員だった頃は、そういう日はむしろ普段より遅く家を出ていました(笑)。

―大雪の日なら遅刻をしても怒られないですからね(笑)。

ちきりん:それもあるし、混乱が収まった頃に移動したほうが、生産性が高いじゃないですか。考えるべきなのは「何時間前に家を出れば間に合うか」ではなく、「どうすれば最も無駄な時間を減らせるか」「どうすれば生産性を下げなくて済むか」のほうでしょう。「どんなに通勤に時間がかかり、大混雑の中で疲弊し、めちゃくちゃ生産性の低い日になったとしても、それでもとにかく時間までにオフィスにたどり着かなければならない!」と考えるなんて、何かに洗脳されているんじゃないか……と思うほどです。

―いったい、どうしてそんな「洗脳」が広まっているのでしょうか?

ちきりん:「全員揃うこと」が必要な時代が長かったからでしょう。工場のラインで一部の人が「大雪だから」と出社してこないと、製造ラインが動かない。インターネットもないから、リモートでできる仕事もない。連絡事項は朝会で全員に伝えられる。そういう時代だと、「全員が同じ時間に揃って出社する」ってことが不可欠だったんだと思います。
朝5時に起きて弁当をつくって、保育園に子どもを送って、ドタバタと仕事をして帰って……それが本当に理想的な人生?
―では、ビジネスパーソンのなかでも、ママ社員の抱える問題点はどのようなものでしょうか?

ちきりん:「仕事と子育ては両立しなければならない」という前提が強固すぎることでしょうね。子ども1人なら可能かもしれませんが、子どもが2人いて、夫婦2人ともフルタイムでって……そもそもかなり無理がある。睡眠時間4時間で、朝5時に起きて弁当をつくって、雨の日も雪の日も保育園に子どもを送って、仕事をして帰って家事をすべてこなして……これって本当にみんなが手に入れたい理想的な人生なのでしょうか?

―理想とは真逆ですね……。

ちきりん:そういう生活を「なんとかして続けよう」と頑張るだけなく、「こんな生活自体、たとえ可能だとしても問題では?」という意識を持つことが必要だと思うんです。男性も女性も、子育てのために1年くらいは休める、在宅でも仕事ができる、いったん退職しても同じような仕事に復職できる。そういう社会が必要なんだという発想を持つことが大切です。

―とはいえ、理想的な生活のために現時点でママ社員ができることとは、何があるんでしょうか?

ちきりん:まずは、すべてを完璧に、しかも自分でやろうとしないこと。たとえば、週末は48時間しかないので、48マスの表をつくってみる。そして最初に、「やるべきこと」ではなく「やりたいこと」を書き込む。やりたいことに必要な時間の分だけマスを塗りつぶすんです。その後、残された時間で「やるべきこと」をやるにはどうすればいいかと考える。この順を反対にすると、「やりたいこと」は何一つできないまま終わっちゃう。

「やりたいこと」を埋めてから「やるべきこと」を書いていくと、時間の貴重さが再確認できる

平日・休日で何にどのくらい時間を使っているかを整理した「時間の家計簿」
―「やりたいこと」を書き込んでいくと、48時間の中に「やるべきこと」が収まらなくなってしまいそうです……。

ちきりん:そこがポイントです。残り時間に「やるべきこと」が収まらないと、誰だって「どうすれば時間内に終わらせられるだろう?」って考え始めますよね。でも「やるべきこと」を優先して「やりたいこと」を後に残すと、みんなすぐに諦めちゃうんです。これだと「どうすればできるのか」という思考が始まらない。だから順番が大事。

同じ「子育て」でも、子どもと話したり遊んだり、本を読んであげる時間から、子どもの汚した服を洗濯したり、子どもの日用品を買いに行く時間までさまざま。前者と後者は、まったく別の時間ですよね。優先順位の高い順に時間を確保し、重要性の低いことはできる限り手を抜いたり、外注できないかと考えれば、もっと楽になるはずです。

―ネット通販や家事サービスを活用すれば、後者の時間は削減できますね。

ちきりん:はい。そもそも、日本ほど全部をこなしている母親は世界中探してもいません。香港やシンガポールでは、住み込みのお手伝いさんが家事も子どもの面倒も見てくれます。アメリカでも、ベビーシッターや家事サービスの利用が進んでいる。反対に途上国の場合は、大家族がみんなで子育てしている。日本のお母さんだけが、仕事も家事も育児も全部自分で背負っているんです。
ワークライフバランスは、育児や介護があるからではなく、幸せに暮らしたいからという理由で尊重されるべき。
―子育てをしているママ社員のなかには時短で働いている人も多く、時短取得者とそうでない人が対立してしまう……なんていう話も耳にします。

ちきりん:日本ではワークライフバランスを確保すべき理由を、育児や介護など特定の理由に限定しすぎです。育児があるから時短勤務、介護があるから在宅ワークという形になっていますよね。でも、それは「制約がある人への配慮」でしかありません。基本的には、どんな人でも何の制約もなく休めたり、時短で働けるというのが理想だと思います。制約があるからではなく、幸せに暮らしたいからという理由でこそ、ワークライフバランスは尊重されるべきなんです。

―幸せになるための方法としてワークライフバランスが考えられれば、誰もが平等になりますね。

ちきりん:親が倒れたときしか急な休みは取れない、子どもがいないと時短勤務は選べない、新婚旅行じゃないと長期休暇は取れない……。そんなの、まともじゃないですよ。家族のためではなく自分のためのワークライフバランスを追求し、それぞれの人が自分の時間を取り戻すことが大切なんです。

―ビジネスにおいても、ライフスタイルにおいても、「生産性」という視点が豊かな人生を送るための鍵になるんですね。

ちきりん:「生産性」を誤解しないでほしい。ダラダラ過ごす時間はとても気持ちいいでしょ。私もパラオに行って何をしているのかといえば、海を見ながらビールを飲んでたり、泳いで魚を見ているだけ。韓国ドラマを一日中見ている日もある。でも、そういうゆったりする日を確保したり「やりたいこと」に使える時間を確保するためにも、他の時間の生産性はしっかり上げる必要がある。「忙しいだけの人生」じゃなくて「生産性が高く、やりたいことが全部できる人生」を手に入れるには、「生産性」の概念を正しく理解する必要がある。それをぜひわかってほしい。

そんじゃーね!

■書籍情報

1,620
著者:ちきりん
出版社:ダイヤモンド社

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