女性が活躍できる会社は男性も活躍できる。働き方改革に挑む大同生命の軌跡

女性が活躍できる会社は男性も活躍できる。働き方改革に挑む大同生命の軌跡

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先日、男性の育休取得率が過去最高を更新し、2.65%(2015年度 雇用均等基本調査調べ)になったというニュースが報道されました。そんななか、大同生命保険株式会社が2年連続「男性社員の育休取得率100%」を達成し、「イクメン企業アワード2015(男性の仕事・育児の両立を促進する企業を表彰するアワード)」グランプリを取得したことで注目を集めています。

さらには、「プラチナくるみん(仕事と育児の両立支援で実績を上げている企業を評価しつつ、継続的な取組を促進するための制度)」認定など、ワークライフバランスへの取り組み、社員の働き方に対する先進的な試みの数々でも評価を得ている同社。

こうした圧倒的な実績や評価を得るようになったきっかけは、どういったものだったのでしょうか。連続テレビ小説『あさが来た』(NHK)のヒロインのモデル、広岡浅子が創業者の一人であることでも知られる同社で、2013年にスタートした「人材力向上推進室」の室長を務める大枝恭子さん、そして実際にジョブリターン制度、育児休業などの制度を利用する社員の岩尾圭子さん、西山拓人さんにお話を伺いました。

取材・文:野路千晶 撮影:相良博昭
プロフィール

大枝恭子(おおえだ きょうこ)
大同生命保険株式会社。営業、CS推進、広報部門で管理職を経験。2014年より人材力向上推進室長を務める。「人材力向上推進計画」「女性の活躍推進行動計画」を策定し、すべての従業員が最大限の能力を発揮し、活き活きと働き続けられる職場の実現に取組んでいる。
http://www.daido-life.co.jp/


岩尾圭子(いわお けいこ)
大同生命保険株式会社。広島で5年間勤務した後、結婚を機に退職。その後、別の会社に勤務していたが、夫の転勤に伴いジョブリターン制度を活用し復職。現在は退職前と同じ営業担当者として、税理士事務所を通じた顧問先企業へのリスク対策提案などを支援。プライベートでは1児(4歳)の母。

西山拓人(にしやま たくと)
大同生命保険株式会社。入社以来、営業統括部門、営業(名古屋、浜松)を経て、2013年より人事総務部に所属。人材力向上推進室設立時のメンバーとして、「人材力向上推進計画」「女性の活躍推進行動計画」の策定に関わった。現在は、従業員のキャリア形成を支援する「チャレンジキャリア制度」の運営等を担当。プライベートでは2児(5歳、2歳)の父。
「イクメン企業アワード2015」グランプリを受賞したことで、社内の雰囲気がよりいっそう高まったように感じます。(大枝)
―大同生命は、日本中で106社(2016年9月末時点)しか選ばれていない「プラチナくるみん」、さらに「イクメン企業アワード2015」グランプリ、「男性社員の育休取得率100%」(2014,2015年)など、ワークライフバランスに取り組む企業のトップランナーと言えますね。

大枝:そう言っていただけるのは大変ありがたいのですが、あまり実感がないのが正直なところです。厚生労働省から「イクメン企業アワード2015」グランプリ受賞のメールが届いたときは、びっくりして思わず「本当ですか?」と、担当者の方に電話で確認してしまいました(笑)。ただ、何でも真面目にやり続けることが弊社の社風なので、もしかするとそういった側面が成果につながったのかもしれません。

大枝恭子さん
―かなり意外な結果だったんですね。

大枝:ええ、まさかグランプリをいただけるとは思っていませんでした(笑)。昔から女性が40%を占める会社だったので、女性がストレスなく仕事をするための制度作りは自然にできていたんです。ただ、そんななかで気づいたのが、いくら会社が制度を作っても、女性にとっては男性側のサポートがないかぎり継続的な問題解決にはならないということ。また、男性に育児や家事の大変さを知ってもらうきっかけとしても、男性自身にもっと育児休業を取得してもらうことが必要だと考えたんです。

―女性は「妊娠」「出産」「育児」という、わかりやすいライフイベントがあるので、「育休」も世間一般に浸透しています。でも、男性が「育休」を取るのは、まだまだ抵抗を感じる人もいるのではないでしょうか。そのあたりはどんなアプローチをされたのでしょうか。

大枝:人事から、子どもが生まれた男性社員とその上司に「育休を取りましょう」というメールを送りました。それでも取得しない人には電話をかけたり、上司からも言ってもらうようにお願いするなど、育休を取るまで粘り強く何度も案内し続けました。ただ無理矢理育休を取ってもらうのではなく、育休を取得する主旨などもきちんと説明し、こちらの意図を理解したうえで取ってもらえるような働きかけをしましたね。

―本当にコツコツ真面目にやり続けたんですね。

大枝:最初は「忙しいのに、なんで休まないといけないの?」っていう人もいたとは思います。「男性社員の育休取得率100%」っていうのも、いまはオープンにしていますけど、それを目標にしていたわけではないので、当初はわざわざアピールしてなかったんです。「イクメン企業アワード2015」グランプリを取得したことで、社内がよりいっそう「男性も育休をとろう!」という雰囲気になった気がします。

私たちの取り組みを評価してもらえたのは、日本企業の時短への取り組みが成果につながらないことの裏返しでもある。(大枝)
―グランプリ受賞理由の一つにもなった、20時になると社内のパソコンが強制シャットダウンする「リミット20」の試みも印象的です。

大枝:10年以上前には「リミット22」の時代もあったんです。ただ、それは22時に社内の照明が消えるだけで、ほとんど効果がありませんでした。ならば、パソコンをシャットダウンすればいいのでは? と考え、会社全体で取り組んでみたところ、それが意外とうまくいきました。

当初は22時だったのが、やがて21時になり、いまは20時。事前申請がなければ、全員パソコンがシャットダウンする仕組みとなっており、遅くとも20時にはほとんどの社員が退社しています。厚労省の方にもびっくりされて何度も聞かれました。「全員電源が切れるんですか? 何があっても切れるんですか!?」って(笑)。ただ、こういった取り組みを評価してもらえたのは、日本企業の時短への取り組みがなかなか成果につながらないことの裏返しでもあるんだなって思いました。

―ただ、ある意味、ものすごくトップダウンなやり方でもありますよね。現場の社員から不満の声が上がったり、混乱はなかったのでしょうか?

大枝:不満よりも不安の声が多かったと聞きました。特に営業からは「急な対応があった場合にどうすればいいんですか?」と。そういった不安に対しては、業務量を減らすなどの仕組み作りで対応してきました。極端に言えば、「業務の質が多少落ちたとしても時間は守りなさい」といったメッセージを発し続けたんです。そのことで業績が落ちるなら問題ですが、むしろ伸びています。「働けば働くほど成果が出る」ということではなく、制約のなかで成果を作ることが大事だと考えています。

―勤務時間を短縮するために、具体的に工夫されていたことはありますか?

大枝:たとえば、細かな書類作成や事務手続きを本社で一括して行う仕組みなどができました。最近はペーパーレスによる効率化も進んでいます。また、ここ数年は「長時間労働は良くない」「サステナブルな働き方ではない」という価値観が加速度的に世間一般に浸透しているように感じます。そうした世の中の雰囲気も後押ししてくれたような気がしますね。

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