都内で泥んこ農業体験? 子育て世代から支持される「田んぼの学校」

都内で泥んこ農業体験? 子育て世代から支持される「田んぼの学校」

2017年8月21日公開

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「原風景」と聞くと、私たち大人世代は田んぼや畑、山や川などの自然環境を思い浮かべることが多いように思います。都市部に暮らしていると、そんな風景を見ることも少なくなりましたが、東京都内にも自然を残している地域があることをご存知でしょうか。都心にも程近く閑静な住宅街が広がる東京都調布市は自然環境が豊かで、1年を通して米づくりを体験することができる「田んぼの学校」があります。

今回、田んぼの学校の事務局にクレディセゾン海外戦略部長の小宮山嘉朗が参加しているというご縁があり、田んぼの学校のある1日の作業にSAISON CHIENOWA編集部員(以下、編集部員)が親子でお邪魔してきました。「都会のなかに存続する田んぼ」という希少な場所で私たちが体験した田んぼ作業は「苗取り」と「しろかき」。聞くところによると、子どもにとって「しろかき」は一番楽しい作業なんだとか。子どもが喜ぶ「しろかき」とは何なのか。また、田んぼの農作業を通して学べることについて、参加者からの感想も交えてお届けいたします。

取材・文:中田 陽代、菅原 友架(CHIENOWA)
自分の住む地域にあるからこそ、お米ができるまでの過程を見届けられる
東京都調布市の佐須町周辺は、駅前の商店街を中心に閑静な住宅地が広がり、田んぼや畑、野川といった豊かな自然環境があります。そんな地域に位置する田んぼの学校の校長を務める尾辻義和さんは、「野川で遊ぶまちづくりの会」代表でもあります。野川で遊ぶまちづくりの会とは、「幼少時代を過ごした田んぼや畑の風景を、次世代の子どもたちに残したい」という想いから1993年に始まった活動です。

自然の大切さを学べる田んぼの学校では、無農薬有機栽培による米づくりを中心に、1年間に渡ってさまざまなカリキュラムが用意されています。種まきから精米、土づくりまでのすべての農作業のほか、どんと焼き、縄つくろいなどの生活体験を行います。年間カリキュラムではありますが、「1年ですべてのカリキュラムに参加できなくても、何年かかけてそれぞれのプログラムに参加してもらえればいい」と、尾辻さんは言います。

今年は20組の募集に対して42組150人もの参加者が集まりました。幼児と小学生を中心とした親子参加が多いようですが、大人だけの参加も可能。子どもに自然体験をさせたいという方から、自身が農業体験を希望して参加している方まで、参加の動機はさまざまなようです。

年間カリキュラムから、今回は夏の「苗取り」と「しろかき」の回に参加
1年に一度、全身どろんこになっても怒られない日
今回は、田植えのために必要な準備として、育てた苗を小分けにして土を落とす「苗取り」と、土を耕し、田んぼに水を引く「しろかき」の作業を行いました。まずは「苗取り」作業から。苗が傷まないようにそっと洗ってみますが、土のかたまりはなかなかほぐれません。「水のなかで苗をほぐすように洗ってみるといい」と、コツを聞きやってみると、きれいに落ちました!

「苗取り」作業。水のなかで苗の土を落としていきます
「苗取り」が終わったら、「しろかき」作業がスタート。湧き水を田に引き、土を耕して、水の通り道をつくっていきます。まずはスコップやくわで土を耕すのですが、ここは子どもたちの出番です! 田んぼに水量が増えていくのに比例して、作業に没頭する子どもたちが全身泥だらけになっていきます。

土を耕しながら1枚、2枚と徐々に服を脱ぎすてていく子ども
田んぼの水量がある程度増えてきたところで、耕運機が登場します。耕運機が耕したあとを、トンボを使って土をならしていきます。田んぼに水が行きわたり、水面の凸凹が見えなくなったところで本日の作業は終了となりました。ここまでに、大人十数人がかりで約半日! 水を含んだ泥は想像以上に重く、かなりの重労働だということを知りました。この翌日、田んぼの水が土に浸透したところで、あらためて地面をならし、いよいよ田植えが行われるそうです。

耕運機を操る尾辻さん
私たち編集部員が田植え当日ではなく、あえて前日に参加したのは、この「しろかき」作業のためでした。子どもたちにとって「しろかき」は、田んぼのプールに入り、全身泥んこで遊ぶことができる最高に楽しい時間なのです。わが子も、存分に泥んこ遊びができるとあって当日は目を輝かせていました。

田んぼ一帯が泥のプールに。ここまでダイナミックに泥んこ遊びができるのは、田んぼならでは

しろかき作業終盤の子ども。もはや誰だかわかりません(笑)
「苗取り」や、「しろかき」作業の合間に、子どもたちは生き物観察を楽しんでいました。田んぼ横の用水路には、アマガエル、ザリガニ、ホタルのエサとなる小さな貝、カワニナがいました。編集部員の4歳の娘は虫が苦手で、初めは見るのも怖がっていたのに、周りのわんぱく男子たちにつられて、1日が終わるころにはすっかり慣れた様子。ザリガニを手に乗せたり、ミミズをつまんだりと、抵抗なく触れるようになっていました。子どもの順応力はすごいです。

用水路にいる生き物をどんどん見つけていました
作業中のお楽しみは、クレディセゾン社員・小宮山シェフの野草ハント
冒頭で紹介した小宮山は、社内でも料理上手として知られており、「こみちゃん亭」と称して社員たちに料理をふるまったり、田んぼの学校でも参加者たちにアウトドア料理をふるまったりしています。田んぼの周辺は緑豊かで、ハーブやミント、パクチー、セリなどの食べられる野草が点在していました。この日も、編集部員たちは小宮山に食材となる草の種類を教わりながらハーブとミントを収穫。沸かしたお湯にそれらを入れ、砂糖を加えると……即席ハーブティーのできあがり! もぎたてのハーブティーは香りが高く、大人たちに好評でした。

薪を燃やして加熱する自作のロケットストーブで、ハーブティーをつくりました

香草類で即席エスニックラーメンをこしらえる小宮山
田んぼの学校で教わるのは、「お勉強」ではなく「夢中になること」
田んぼの学校を運営する尾辻さんに、子育て世代が田んぼの学校に参加する理由をうかがうと、「みんな田んぼでの農作業がやりたくて来ているんだと思うよ」とのこと。私たちも参加してみて、思ったより重労働な作業のなかで、泥遊びや作業そのものを全力で楽しむ親子の姿を見ることができました。

田んぼの学校を運営する、野川で遊ぶまちづくりの会代表・尾辻さん
この「しろかき」作業の翌日に行われた田植えには、なんと100人の参加があったそうです! 田んぼの学校に参加した親子からは、卒業論文として毎年多くの感想が寄せられます。ここでは親からの感想文を紹介します。
「苗床作りの苦労、用水路掃除の手間、いずれも農作業の大変さを知り、体中筋肉痛になりました。でも、筋肉痛ですら楽しくなるような、ワクワクする体験の連続でした」

「田んぼに向かう途中に咲いている花や野川の木々。いままではその存在に気づかずにいたのが、最近は季節によって移り変わる景色を楽しめるようになりました。些細なことかもしれませんが、田んぼの活動を通じて周囲の景色が変わって見えるようになったのは、私にとって大きな変化です」

「稲刈りでは、小さな子どもたちも一生懸命、鎌を使っていました。『危ないから使わせない』ではなく、本物の使い方を学べる貴重な機会だとあらためて感じました」
子どもたちは、田んぼに生息する生き物観察を通じて環境保全について自ら考えたり、米づくりに一から参加することで、お米一粒一粒のありがたみを感じられるようになったりしているようです。自らの体験から得た知識は、子どもたちにとって一生の財産となることでしょう。
親も子どもも、ここでしか味わえない特別な感動が待っている
田んぼの学校が多くの親子に支持されるのは、子どもはもちろん、親にとっても初めての経験がたくさんあり、親子それぞれが楽しみを持って活動できるところにあるのかもしれません。田んぼ活動に従事したり、生き物観察に夢中になったり、山菜取りを楽しんだり、地域の人と交流したり、参加者の楽しみ方はさまざまでした。

世代交代を重ねるなかで農地が縮小していく傾向は、地価が高い地域において特に強く見られ、田んぼの学校の拠点である調布市もその例外ではありません。調布市では環境保全のために、田んぼ周辺の土地を市の保有地とすることを決定したそうです。

都会のなかの田園風景は、自然と存在しているのではなく、それらを守ろうとする人たちの長きにわたる活動によるものなのだと、尾辻さんのお話を聞いてあらためて感じました。「田んぼの学校」をはじめとした地域のなかで自然の大切さを伝える取り組みが、これからも続いていくと良いなと思います。
田んぼの学校を運営する「野川で遊ぶまちづくりの会」

【Facebookページ】日々の田んぼの様子をお届けしています!
https://www.facebook.com/groups/760982994036556/?fref=ts

【ホームページ】
http://nogawa-tanbo.sakura.ne.jp/index.html
※2017年の参加募集は締め切りました。2018年の3月募集をお待ちください。
プロフィール

中田 陽代(なかた あきよ)
クレディセゾン プロモーション戦略グループ所属。4歳の女の子のママ。
菅原 友架(すがわら ゆか)
クレディセゾン 海外戦略部所属。7歳の男の子と4歳の女の子のママ。

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