生涯年収に影響!? コミュニケーション能力も育むプログラミング教育の魅力

生涯年収に影響!? コミュニケーション能力も育むプログラミング教育の魅力

2017年10月31日公開

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2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されることが発表され、注目度がにわかに高まっています。そこで今回お話を聞いたのは、情報処理推進機構から「天才プログラマー」として認定された株式会社UEI代表の清水亮さん。

小学校からプログラミングを始め、マイクロソフトやドワンゴなどの名だたるIT企業を渡り歩いたあと、現在は自身の会社でAI(人工知能)を開発する傍ら、「秋葉原プログラミング教室」を主催し、子どもたちにプログラミングを教えています。

世界中を見渡しても「一流」の名に恥じないプログラマーである清水さんは、いったいなぜ、子どもたちへのプログラミング教育を行っているのでしょうか? そして、プログラミングは日本の社会をどのように変えていくのでしょうか? 現在のプログラミング教育の問題点や本質、そして子どもたちが歩んでいく日本の将来像についても語っていただきました。

取材・文:萩原雄太 撮影:朝山啓司
プロフィール

清水 亮(しみず りょう)
電気通信大学在学中にマイクロソフトの次世代ゲーム機向けOSの開発に関わり、1998年末に株式会社ドワンゴ入社。1999年に同社で携帯電話事業を立ち上げる。2002年退社し、米DWANGO North America Inc副社長を経て、2003年に独立。2005年、独立行政法人情報処理推進機構により、「天才プログラマー / スーパークリエータ」に認定される。深層学習簡易言語Deelや深層学習GUI環境DEEPstationを開発。専門分野はヒューマン・オーギュメンテーション。近年は深層学習を中心とした人工知能分野を重点的に研究する。著書に『教養としてのプログラミング講座』など。
プログラミングの喜びはスポーツに似ている。「わかった」ときの快感を子どもに教えたい
—清水さんは2016年より、小学生・中学生のためのプログラミングスクール「秋葉原プログラミング教室」を開催していますね。なぜ、プログラミング教育を手がけようと考えたのでしょうか?

清水:世の中に、プログラミングを正しく教える教室が必要だと思ったんです。既存のプログラミング教室のカリキュラムは表層的な内容ばかりで、このままでは子どもたちがプログラミングを誤解し、あるいは嫌いになってしまうのではないか、という懸念を感じていました。そこで自分が、プログラミングの本質的な楽しさ、おもろしさを教えられる教室をつくりたいと思ったんです。

清水亮さん
—清水さんが考える「プログラミングのおもしろさ」とはなんでしょうか?

清水:プログラミングの喜びは、スポーツに似ていると思います。いくらやってもうまくいかない、理解できなかったものが「わかった」「できた」に変わったとき、とてつもない快感を得られる。けれども世の中のほとんどのプログラミング教室は、学びの本質的な喜びである「わかった」を与えるような教え方をしていないのが現状なんです。

—どのような教え方をすれば、表層的ではなく本質的といえるのでしょうか。

清水:たとえば図形描画のプログラミングを学ぼうと思ったら、三角関数を理解することは必須です。しかし実際、それを教える教室はほとんどありません。でも、三角関数を使えないまま図形描画を行うということは、「が」を使わずに日本語を喋るのと同じようなこと。「が」が使えなければ、カタコトの日本語しか喋れませんよね。

—小学生でも三角関数を理解できるのでしょうか?

清水:うちの教室では、小学校低学年の子どもであっても、三角関数はかなり早い段階で教えてプログラミングで活用しています。じつはプログラミングを通じて教えれば、いま高校で行われているような学び方よりもはるかに簡単に三角関数を理解することができるんです。ぼく自身、国語や算数といった教科よりも先にプログラミングを覚えましたからね。
プログラミングはさまざまな教養の礎。コミュニケーション能力の育成にも

—「使う」必要があれば、子どもも自然と身につけることができるんですね。

清水:ぼくは国語の教育にも、プログラミングが効果的だと考えているんです。プログラムを正しく動かすためには、解説書に書かれているテキストを読み取り、プログラム言語のルールにのっとって、コンピューターに入力しなくてはいけません。

でも、その読み取りが間違っていれば、プログラムは正しく動かない。それによって、自分の読み方が正しかったか間違っていたかがわかり、どう間違っていたのかを試行錯誤することができる。このような体験ができるのは、コンピューターならではですね。

—著書『教養としてのプログラミング講座』には、プログラミングは「自分を表現するための道具」と書かれています。ある意味、清水さんはコミュニケーションツールとしてプログラミングを考えているのでしょうか?

清水:そうですね。言葉を使って話していても、本質的には相手の人間が何を意図しているのかは曖昧です。ところが、プログラムは命令通りにしか動かないので、曖昧であることは許されない。

先ほどの解説書の例でいえば、解説書を書いているのは人間です。人間とも、プログラミングを媒介したコミュニケーションをすることで、初めて相手が何を意図しているのかが明確になるんです。

—「プログラミング教育」と一言でいっても、プログラミングそのものだけでなく、算数や国語力、コミュニケーション能力など、さまざまな教養の礎になるんですね。

清水:ぼくは『全国小中学生プログラミング大会』の実行委員もやっていて。夏休みの宿題をプログラミングでやる子が増えたらいいなと思って、毎年夏休みの終わりを応募課題の締め切りにしているんです。

2020年には小学校でのプログラミング必修化が始まります。それまでに少しでもプログラミングの「楽しさ」や「わかる喜び」が一般的に広がれば、子どもたちの学びの意欲をより重視した教え方になるのではと期待しています。プログラミングが、図工やクラブ活動と、同列に考えてもらえるようになればいいですね。

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