生涯年収に影響!? コミュニケーション能力も育むプログラミング教育の魅力

生涯年収に影響!? コミュニケーション能力も育むプログラミング教育の魅力

2017年10月31日公開

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いまゲームがつくれる大学生とつくれない大学生とでは、生涯年収が10倍以上変わる!?
—現在、清水さんはAIの第一人者として研究開発を行っています。今後、AIが普及していくことは確実視されていますが、そんな時代に生きる子どもたちにとって、プログラミングを学ぶメリットはどこにあるのでしょうか?

清水:この先、AIが順調に普及した場合、たとえばFX取引をAIなしでやったら100%負けることになるでしょう。そこで勝つためには、より賢いAIを自分でつくるしかない。そのとき、AIに対してどんな情報をどのように与えると賢くなるのかを考え、そのアイデアを実装させるときに、プログラミング能力が必須となります。

ドルや円の動きだけを見るのではなく、ユーロや人民元を見るように設定するのか、あるいはTwitterを検索してトレンドを読むのか、政治家の発言を拾っていくのか……。プログラムの組み方によって、千差万別のAIが生まれるんです。

—より賢いAIをカスタマイズするために、プログラミング能力が不可欠になるということですね。

清水:AIが普及したあと、人間の仕事のほとんどは「AIを育てる仕事」になっていきます。そのためには、人間が解決したい現実の問題を、AIが解くことのできるコンピューター上の「問題=ゲーム」に落とし込む必要があるんです。小さなところでいえば会社の人事やセールス戦略、あるいはもっと大きなところでは政治や軍事戦略など、あらゆるものをゲームとして設定し、AIがそれを解いていく、というイメージですね。

人間相手のゲームづくりにおいてもっとも重要なのは、プレイヤーがどのように感じ、どのように喜び、どのようにその攻略法を学んでいくのかというシナリオづくり。そしてこれは、プレイヤーが人間ではなくAIになったときも、まったく同じように機能するんです。

つまり、AIをつくるのにいちばん大切なのはゲーム的な発想であり、ゲームデザインのセンスといえます。世界最強の囲碁プログラム「AlphaGo」をつくったデミス・ハサビスも、AIの本を多数執筆している三宅陽一郎さんも、もともとはゲーム出身なんですよ。将来の「トップエリート」と呼ばれる人たちは、プログラミングスキルとゲームデザインのセンスによってAIを使いこなしていくことになります。いまゲームがつくれる大学生とつくれない大学生とでは、将来的に生涯年収が10倍以上変わってくるでしょうね。

—そんなに!?

清水:現在でいうところの、英語ができる人とできない人の違いくらい。プログラミングスキルが人材の価値を左右する世の中になるでしょう。
子どものモチベーションを上げるには、教える大人が楽しむこと
—では、子どもたちのプログラミングに対するモチベーションを高めるためには、どのような工夫が必要だと思いますか?

清水:いちばん大事なのは、教えている大人がプログラミングを楽しむこと。大人たちが楽しんでいることがわかると、子どもたちもやる気になるんです。

—小手先のテクニックよりも、大人の「楽しい」という感情が子どもたちのモチベーションをあげるんですね。

清水:たとえば難しい映画を見るときも、そのおもしろさをわかっている人と一緒に見て、視点を共有したり、どこで興奮しているのかが伝わってきたりすると、その映画の楽しさがわかりますよね。そのジャンルを愛している人から学ぶことは、楽しさやおもしろさを共有するいちばんの近道です。

じつは、これは人間だけでなく、AIにも共通しているんですよ。専門的には「ディスティレーション」というのですが、「先生」となるAIを用意して「生徒」のAIを育てる際にいちばん効率のよい方法は、先生の「回答」ではなく「気持ち」を学ばせることなんです。

—AIが「気持ち」を学ぶ!?

清水:たとえば、AIに猫の画像を見せる。すると「猫である確率=80%」「たぬきである確率=10%」「うさぎである確率=5%」……といった数値がAIのなかで算出され、そこから最終的に「猫である」という回答が導き出されるんです。

そこで、「猫である」という最終的な回答ではなく、そこに至るまでの「80%は猫かもしれない」「10%はたぬきかもしれない」という先生の「気持ち」を学習させたほうが、生徒のAIは先生のAIに効率よく近づくことができるんです。場合によっては、先生を超えることもあります。

—答えを詰め込むのではなく、視点を共有するということですね。

清水:人間でいう「弟子入り」にも近いものがありますよね。そばで師匠をずっと観察し、勉強する。それによって弟子が師匠を超えることもある。AIをやっていると、だんだんと人間についての理解も深まってきます。人間の教育をしながらAIの教育をすることは、共通点も多く、とても合理的だと思いますね。

『教養としてのプログラミング講座』

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著者:清水亮
出版:中公新書ラクレ

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