共働き家庭のマネジメント術④仕事育児のヘトヘト生活は「上司との雑談」が解消する

共働き家庭のマネジメント術④仕事育児のヘトヘト生活は「上司との雑談」が解消する

2017年7月10日公開

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いま日本では、女性の社会進出や雇用不安などによって、共働きで子育てをする夫婦が増加中。しかし、仕事に育児、家事と、多忙な生活を送る夫婦には課題も多く、「喧嘩が絶えない」「コミュニケーション不足」だと嘆く声は、男女ともに聞こえてきます。家庭を一つの「チーム」と考えたとき、夫婦でどうマネジメントしていくのがいいのでしょうか。

そこで、NPO法人ファザーリング・ジャパン(「父親であることを楽しもう」をコンセプトに全国で父親支援をしている団体)理事の林田香織さんに「共働き家庭のマネジメント術(全5回)」について連載していただきます。

今回は共働き夫婦がともに理想の働き方を叶えるためのプランを紹介。みなさんはパートナーがどんなキャリアプランを持っているか、ご存知ですか また、仕事と家庭の両立には会社の理解や協力が欠かせません。上司や同僚といい関係を築く方法についてもお聞きしました。

撮影:川上秋レミイ
毎日バタバタの夫婦。「なぜ共働きをしているのか」、あらためて考えてみましょう
共働き夫婦はつねにバタバタだし、ギリギリだし、ヘトヘト……とにかく毎日が綱渡り状態で、大変なことだらけです。それでも共働きを続けている理由ってなんでしょう。私が担当する「仕事と家庭の両立研修」のなかでも「なぜ共働きをしているのか」を考えてもらうことがあります。そのときに、妻側からよく耳にする理由は3つ。

一つ目は、仕事を通して自分自身が成長できるし、やりがいを感じるから、と「自分自身」にプラスだからという意見。

二つ目は、経済的に安定する、家計に余裕ができる、と「家族」にプラスだからという意見。

三つ目は、親に頼れないぶん自立心が芽生えるなど、「子ども」にプラスだからという意見。

このようにあらためて考えてみると「共働き」であることは大変なことばかりでなく、いいこともたくさんあります。それを再確認することは「いまは大変だけど夫婦で乗り越えていこう」と結束を固める機会となります。

林田香織さん
わが家の場合、夫は私が働くことに大賛成ではありませんでした。なぜなら、私は夫のアメリカ転勤を機に7年間の専業主婦を務めていたこともあり、夫は共働きになることで家事育児の負担が増えるというデメリットしか見えていなかったからです。私が仕事と家庭の両立でいっぱいいっぱいになると、「だったら辞めれば」とよく言われ、その度にバトルでした。

「だったら辞めよう」と何度も思いましたが、ここで諦めたら一生彼のせいにしてしまうと思い、踏みとどまりました。私の仕事が徐々に増え、家庭で夫の出番も増えていくと、夫自身が子どもたちと関わることに楽しさを感じるようになり、どんどん主体的になりました。

「妻ができないから仕方なくやる」のではなく、「自分がやりたいからやる」に変化したのだと思います。子どもたちが成長し、習いごとや部活、食費などにお金がかかるようになってからは、「共働き」のメリットを夫婦共々さらに感じています。
夫婦でキャリアプランを共有していますか
両立研修の参加者に聞くと、「キャリアプランをパートナーとは共有していない」という人が意外と多いのです。でもじつは「働き方」について夫婦で話すことは、とても重要なこと。

お互いの仕事について情報を共有し、理解している夫婦をインタビュー調査すると、「相手の仕事に対して尊敬の念を抱き、キャリアをサポートする姿勢」を持ち合っていることが多いのです。

どちらかに不満を持っていたり、共働きであることに迷っていたりするなら、「私たち夫婦が共働きをしている理由」について一度話してみてください。両立体制の構築や、夫婦関係の改善にプラスになるはずです。また、「デメリット以上にメリットがあること」を夫婦で認識しておくことがポイントです。共働きに不安を感じているときは、「とにかく一年間やってみよう」と期間限定で提案してみるのも良いでしょう。
自分のキャリアに悩んだら、「とりあえず、いまを乗り切る」を目標にしてもOK
「キャリアプランの共有」といっても子育てと仕事に日々追われていると、「今日」を乗り越えるのに精一杯ですし、頑張っても1週間先を考えるのがやっと、という人も多いはず。そんな場合は「とりあえず、いまを乗り切る」が目標でも大丈夫。正直、私も子どもが小さかったときはとにかく目の前の仕事・家事・育児をこなすのが精一杯でした。でも、目の前のことに全力で取り組むことによって、段取り力、コミュニケーション能力、柔軟性など、いろいろな能力が高まり、それがいま仕事をするうえで非常に役立っていると感じます。

職場では「できないこと」を伝えがち。「できること」を共有することも大切です
職場の同僚や上司のサポートは、共働き夫婦にとってなくてはならないもの。ここでも自分から「働くこと」について情報共有することが、いい関係をつくるうえで大切になってきます。

みなさんは「イクボス」という言葉をご存知でしょうか。ニュースや新聞ではよく「子育てに理解のある上司」と紹介されていますが、じつはイクボスの育は、「育児」の「育」ではありません。イクボスの「育」は「育てる」の「育」。イクボスとは、「ともに働く部下・スタッフのワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、業績の成果を出しつつ、 自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司」。つまり、部下・組織・社会、そして自らも「育てるボス」がイクボスです。

イクボスとして大切なことは、部下の多様な背景を知ることです。ところが、管理職のみなさんにとって、部下全員のプライベートを把握するというのは意外とハードルが高い。さらに、子育て社員の家庭状況が「育休復帰直後」からアップデートされていないことが多いようで、「産前はこうだったから」というスタンスを取るケースさえあります。

子育てしながら働いていると、頻繁に状況が変化しますよね。たとえば、「子どもの夜泣きが減って負担が少なくなったので、もう少し仕事を頑張りたい」など、「できない」と思っていたことが「できるようになる」ことがあります。その反対も然り。まずは仕事に関するコミュニケーションをしっかりとって、上司との信頼関係をつくっておくことが大切です。

子育て期は「できないこと」ばかりを周囲に伝えがちですが、限られた時間と環境でも「できる」ことをしっかりと伝えましょう。100%の自信がなくても「できるかも」と思ったことにチャレンジする姿勢が、上司と情報を共有する土台づくりにもなります。

上司や同僚にもワークライフはある。「お互い様」の心を忘れずに
また、一緒に働く仲間との情報共有も大切です。ただし、一方的に自分の情報を共有するだけでなく、相手の背景も知ろうとする姿勢を持ちましょう。ワークとライフの両立は子育て中の社員だけの特権ではなく、すべての人の権利です。とくに独身の人と子育て中の人では、プライベートの環境や事情が大きく違うので、ライフについて共有するきっかけがなかなか持てません。上司も含めすべての人にライフがあると理解することで自然と「お互い様」の関係が生まれます。

たとえば、セミナーに参加してくれたあるママ社員は、職場の上司や同僚が興味を持ちそうな新聞記事を通勤電車や移動中に携帯で読んでいるそうです。興味があることを会話の糸口にすることで、少しずつライフの情報共有もできるようになったそう。さらに、社外の人や顧客とのコミュニケーションにも役立ち、一石二鳥だと話してくれました。

子育てと仕事が忙しくて、いまは「働くこと」の理想像や希望が明確でない人も多いはず。まずは周囲に自分の気持ちを言葉にして伝え、サポーターを増やすことが多忙ないまを乗り切るコツです。限られた時間のなかで与えられた役割や責任に全力で取り組む姿勢は、周りへの信頼感を高めると同時に、自分の自信にもきっとつながります。
プロフィール

林田香織(はやしだ かおり)
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。NPO法人コヂカラ・ニッポン理事。ロジカル・ペアレンティングLLP代表。お茶の水女子大学大学院修士(家族社会学)。日米の教育機関において、長年にわたり日本語教育(高校・大学・ビジネスマン向け)に従事。8年の在米期間を経て、2008年帰国。自治体、企業において、両立支援セミナー、配偶者同伴セミナー、夫婦向けコミュニケーションセミナー、管理職向けイクボスセミナーなどの講師を多数務める。プライベートでは九州男児の妻、3人の男の子のママ。
http://fathering.jp/

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